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第101条【労働の権利】、第102条【労働法制の最低限の社会権】、第103条【労働法の保護】、第104条【ストライキ及びロックアウトの権利】、第105条【労働者の住居】、第106条【労働権は放棄できない】

第2編【人権】

第2章【社会権】

第8節【労働】

第101条 労働は人権であり、社会的義務である。国家の労働制度は、社会正義の原則に従って組織されなければならない。

第102条 以下の権利は、労働法制並びに裁判所及び当局の活動の基礎となる最低限の社会権である。:
(a)雇用を自由に選択する権利、並びに労働者及びその家族に尊厳ある生活を保障するのに十分な経済条件に対する権利。
(b)法律に特別の定めがある場合を除いて、全ての労働には公正な報酬が支払われなければならない。
(c)同一の条件、能率及び年功の下で行われた同一労働に対する同一賃金。
(d)法定通貨で労働者に支払う義務。ただし、農業労働者は、本人の意思により、賃金の30%を上限として食料品を受け取ることができる。この場合、使用者は、原価以下の価格でその物品を支給しなければならない。
(e)法律の定める場合における賃金の差押え禁止。いかなる理由であれ、個人の仕事道具を差し押さえることはできない。ただし、労働者の家族を保護するために、裁判所の命令により、賃金の一部を留保し、関係者に引き渡すことができる。
(f)法律に従い、最低賃金を定期的に改定するものとする。
(g)通常の実質的な労働時間は、1日8時間、1週間に44時間を超えてはならない。ただし、賃金の支払いのみを目的とする場合は48時間に相当する。夜間の通常の実質的な労働時間は、1日6時間、1週間に36時間を超えてはならない。通常の実質的な混合労働時間は、1日7時間、1週間に42時間を超えてはならない。通常の労働時間外に実際に行われた労働は時間外労働となり、そのように報酬を支払わなければならない。法律により、労働時間に関する規定が適用されない、非常に特殊な例外的状況について定めるものとする。
 法律、慣習又は使用者との合意により、昼間の労働時間が1週間に44時間未満、夜間の労働時間が1週間に36時間未満、又は混合労働が1週間に42時間未満の労働者は、週給全額を受け取る権利を有する。
 実質的な労働とは、労働者が使用者の命令に従い、又は使用者の裁量で労働する全ての時間を意味する。
(h)労働者は、通常の労働週又は連続する6日間の労働ごとに、1日の有給休暇を取得する権利を有する。法律の認める休日も有給とする。
(i)労働者は、勤続1年ごとに15就業日の年次有給休暇を取得する権利を有する。ただし、農業企業の労働者は10就業日を取得する権利を有する。休暇は実質的なものであり、雇用関係がすでに終了している場合を除いて、使用者はその他の方法でこれを補償することはできない。
(j)使用者は、毎年、月給の100%以上の賞与を、支給日前の1年間、継続して勤務した労働者に支給する義務を負う。それ以上の場合はその賞与を支給するものとする。法律により、その支給方法を定めるものとする。勤続1年未満の労働者に対して、勤務時間に応じて賞与を支給する。
(k)女性労働者の保護及び女性がサービスを提供する条件の規制。
労働に関して、既婚女性と未婚女性の間に区別を設けてはならない。法律により、女性労働者の母性の保護について定めるものとする。女性労働者に対し、妊娠に危険な労力を要する労働に従事することを要求してはならない。働く母親は、出産前の30日間及び出産後の45日間、給与の100%の割合の義務的な休暇を取得する権利を有する。授乳期間中は、勤務時間中に2回の特別休憩を取得することができる。産前及び産後の休暇は、医師の診断により、身体の状態に応じて延長されるものとする。
(l)14歳未満の未成年者は、法律の定める例外を除いて、いかなる種類の労働にも従事させてはならない。未成年者を、その身体的な能力に適さない業務、又は道徳的な育成を危険にさらす業務に従事させることは禁止される。
60歳以上の労働者は、年齢相応の待遇を受けなければならない。
(m)視覚障害者、身体障害者、精神障害者又は感覚障害者の労働の保護及び推進。
(n)法律の定める平等な条件及び割合の下で、外国人労働者よりもグアテマラ人労働者を優先するものとする。平等な条件の下で、グアテマラ人労働者は、外国人労働者と比較して、低い賃金を受け取り、劣悪な労働条件を強いられ、又は不利な経済的恩恵若しくはその他の便益を得ることがあってはならない。
(ñ)個別的及び集団的な労働契約における使用者及び労働者に対する義務的な基準の設定。使用者及び労働者は、共通の利益のために企業の経済的な発展を追求するものとする。
(o)労働者を不当又は間接的に解雇する場合、法律によって労働者により良い便益を与えるより簡便な他の制度を定めない限り、使用者は勤続1年あたり1か月分の給与を補償する義務を負う。
勤続年数の計算において、雇用関係が開始した日付けにかかわらず、その日を算入するものとする。
(p)使用者は、在職中に死亡した労働者の配偶者若しくはパートナー、及び未成年の子ども又は障害を持つ子どもに対し、勤続1年当たり給与の1か月分に相当する手当を支給する義務を負う。この給付は、月割りで後払いされ、その金額は、労働者が最後に受け取った給与を下回ってはならない。
リスクが社会保障制度で全額補償される原因で死亡した場合、使用者のこの義務は終了する。この制度が給付の全額を補償しない場合、使用者はその差額を支払わなければならない。
(q)労働者の自由な組合結成の権利。この権利は、いかなる差別もなく、事前の許可なく、法律の定める要件を満たすことのみを条件として行使することができる。労働者は、労働組合の結成に参加したことを理由に解雇されることはない。労働監督署に通知した時からこの権利を享受する。
出生によるグアテマラ人のみが、労働組合の組織、運営及び顧問に参加することができる。ただし、政府による技術援助、及び国際条約又は行政機関が認可した組合間協定の規定に関するものを除く。
(r)労働者のために、あらゆる種類の給付、特に障害給付、退職給付及び遺族給付を交付する社会保障経済機関の設立。
(s)使用者が解雇の正当な理由を証明しない場合、使用者は労働者に対し、裁判が1回の審理で終結した場合は損害賠償として1か月分の給与を、判決に対して上訴した場合は2か月の給与を支払わなければならない。審理が2か月を超える場合、審理がこの期間を超える1か月ごとに労働者の給与の50%を、最高6か月まで支払わなければならない。
(t)国は、労働者により良い保護又は条件をもたらす、労働問題に関する国際的又は地域的な条約又は協定に参加するものとする。
この場合、その協定及び条約の規定は、グアテマラ共和国の労働者が享受する最低限の権利の一部とみなされる。

第103条 使用者及び労働者の関係を規制する法律は、融和的なものとする。労働者を保護し、関連するあらゆる経済的及び社会的な要素を考慮する。農業労働については、その必要性及び執行区域を特別に考慮するものとする。
 全ての労働争議は専属管轄に服するものとする。法律により、この管轄権に関する規則及びその執行に責任を負う機関を定めるものとする。

第104条 全ての調停手続が尽くされた後に、法律に従って行使されるストライキ及びロックアウトの権利は認められる。これらの権利は、経済社会的理由によってのみ行使することができる。法律により、ストライキ及びロックアウトが認められない場合及び状況を定めるものとする。

第105条 国は特定の団体を通して集合住宅の計画及び建設を援助し、労働者が健康条件を満たす適切な住宅を選択できるように、各種のプログラムに対応する適切な融資制度を整備するものとする。
 企業の経営者は、法律の定める場合は、前述の要件を満たす住宅を労働者に供給する義務を負う。

第106条 労働者は、本節に規定する権利を放棄することはできない。ただし、個別的又は集団的な契約を通して、法律の定める方法でこれを乗り越えることができる。そのために、国は団体交渉を奨励及び保護する。憲法、法律、グアテマラが批准した国際条約、規則、又は労働に関するその他の規定において、労働者に有利に認められる権利の放棄、棄損、歪曲又は制限を意味する条項は、それが集団的又は個別的な労働契約、協定又はその他の文書で明記されているとしても、当然に無効であり、労働者を拘束しない。
 労働に関する法律、規則又は契約上の規定の解釈又は範囲に疑義がある場合、労働者にとって最も有利に解釈されるものとする。

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