令和8年度愛知県公立高校入試国語問4【古文】
1 原文 安居院の正安寺、常に宗旦と交り厚かしりが、庭に妙蓮寺と云ふ椿咲き出でしを、新発意に持たせ、宗旦へ贈りしが、道にて花落ちけるを、ぜひなく持ち行きて、 「この花途中にて落としつるよ、このこと老僧に告げなば、本意なきことにせむ。無沙汰になしたまへかし。」 と侘びければ、宗旦直に出合い、 「よくこそ申されたれ。暫く待ちたまへ。」 とて、今日庵の掛け物をはづして、利休が作の園城寺と云ふ一重の花入れをかけて、その枝を入れて、落ちたる花を下に置き、新発意を招きいれ、薄茶点じてかへしぬ。 (『閑夜茶話』より) 2 現代語訳 安居院の正安寺の住職は、いつも宗旦と親しく交流していた。庭に妙蓮寺という品種の椿が咲いたので、小僧に持たせて宗旦へ贈ったが、その道で花が落ちてしまった。どうしようもないのでそのまま持って行き、 「この花は道の途中で落ちてしまいました。このこと老僧に告げたら、老僧をがっかりさせてしまいます。何事もなかったようにしてください」 と困って頼み込んだところ、宗旦が直接会い、 「よく申されました。暫くお待ちくだされ」 と言った。宗旦は今日庵の掛け物を外し、利休作の園城寺という名の一重の花入れを掛けた。そして椿の枝を入れ、落ちた花を下に置き、小僧を招き入れて、薄茶を点てて応えた。 ・ 愛知県公立高校入試過去問古文・漢文現代語訳に戻る。