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3-3 債務は財政的クッションである。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「3-3 債務は財政的クッションである。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS,  III.3. Debt as a fiscal cushion. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 3-3 債務は財政的クッションである。 Barro (1979)は、債務を減じるための重い初期課税は、債務が減じた後、より低い将来の死荷重の現在価値によって相殺されないので、歪んだ税制が存在する場合、公的債務を急いで清算することが最適とは言えないことを、単純で定式化されたモデルによって示した。 その代わり、彼のモデルでは、債務と税収は、$E_t b_{t+1} = b_t, \; E_t \tau_{t+1} = \tau_t$のように、マルチンゲール過程に最適に従う(ここでは、$\tau$は総税収を意味する)。 彼の枠組みでは、$\tau$は$b$の増加を伴って増加する。 LucasとStokey (1983)は、政府が偶発債務を発行できるとき、現在の債務の水準を参照することなしに、税金を設定することが実際に最適であることを示した。 Chari、Christiano、そしてKehoe (1994)は、金融政策は、インフレを決定することにより、債務に対する収益における適切な偶発を生み出すことができることを示した。 私の論文 (2001)では、これらの洞察がBarroの定式化された枠組...

3-2 テイラー・ルールのための財政的裏付け。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「3-2 テイラー・ルールのための財政的裏付け。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, III.2. Fiscal backup for a Taylor rule. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 3-2 テイラー・ルールのための財政的裏付け。 Cochrane (2007)は、テーラー・ルールによる金融政策を有するモデルにおける確定的物価水準を主張する試みに対して、均衡経路へ導くためにのみなされる「財政支援」を主張することにより反論した。 彼の論拠については分からない。 しかし、いずれにしてもこの節における単純なモデルは、無視できるほど小さい規模ではあるが、たとえ均衡状態であろうと常になされる財政支援を主張することにより、テイラー・ルールによる物価水準の一意性を証明し得ることを示している。 その均衡は、財政支援なしのモデルのそれへと、任意に近接する。 このモデル及び先行モデルにおいて、安定的物価のためには財政支援の存在が重要であるが、その支援を市場が感知する場合には、均衡における支援の規模は極めて小さくなることを結論する。 財政支援はどこでなされるのか、あるいはそれが存在するかどうかさえ不確かである、EMUのような制度は不安定化している;平時においては、均衡状態で大規模な財政支援による介入はなされないので、財政支援の重要性は見失われやすい。  モデルは非常に単...

3-1 サミュエルソンの、蓄積あり純粋消費ローンモデル。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「3-1 サミュエルソンの、蓄積あり純粋消費ローンモデル。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, III.1. Samuelson’s pure consumption loan model, with storage. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 3-1 サミュエルソンの、蓄積あり純粋消費ローンモデル。 このモデルは、債務あるいは貨幣を裏付ける税金がなく、物価は不定である。 その場合一つの安定的な物価が存在し、そこでは実質的な配分は効率的であり、他のあり得る初期物価の連続体では、それぞれが非効率的均衡に相当していて、政府債務あるいは貨幣の実質価値はゼロへ収縮する。 もし政府がプライマリーバランスの黒字(無利子の歳出に対する歳入超過)になれば、民間エージェントは将来における課税を彼らの購買力を減じるものとみなす。 よって彼らは、国債の価値が将来の課税の現在価値と一致するのに十分なほど物価が低下するまで、貯蓄(貨幣あるいは政府債務を蓄積しようとする試み)する。 このメカニズムは非一意性を排除し、プライマリーバランスの黒字がいかに小さくとも、そしてわずかなプライマリーバランスの黒字に対しても、実質的な配分を任意に効率的なものへと近付ける。  無限に連続する期間、それぞれの期間において2期間生存する同数のエージェントが生まれ、1単位の消費財、穀物が与えらる。 穀物は貯...

論文和訳を再公開することにしました。

1 論文和訳の再公開  以前公開していた下記の論文和訳を、再度公開することにしました。 ・『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』: https://tanakah17191928.blogspot.com/2019/02/blog-post_19.html ・『紙幣』: https://tanakah17191928.blogspot.com/2019/02/blog-post_66.html 2 Google神と著作権  上記の論文和訳の公開を停止していたのは、Googleアドセンスを導入したので、著作権的にGoogle神のご機嫌を損ねる可能性があるものを完全に排除したかったからである。 ・このブログについて。: https://tanakah17191928.blogspot.com/2018/07/blog-post.html ・Googleアドセンス合格。: https://tanakah17191928.blogspot.com/2018/07/blog-post_6.html しかし、Googleアドセンスによる収益が実質的にはない状況であるので、そこまでGoogle神に忖度する必要もないかと思い直し、再度公開することにした。 ライセンスがクリエイティブ・コモンズだからである。 3 コピーレフト  僕はコピーレフトの思想に共鳴する者たちの一人であるので、経済学に関する小難しい論文を和訳し公開することにどれほどの価値があるかは分からないけれど、偶然このブログにたどり着くどこかの誰かの何かの役に立つことを祈りつつ、公開するものである。 ・ コピーレフト 、 継承 (クリエイティブ・コモンズ) 、 Wikipedia:クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植 (ウィキペディア) ・ 表示 - 非営利 - 継承 3.0 非移植 (CC BY-NC-SA 3.0)(Creative Commons)

『紙幣』

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 要旨  近年の中央銀行のオペレーションと金融機関における劇的変化は、物価水準決定を説明するのに以前は標準的だったアプローチを時代遅れにしてしまった。 近年の中央銀行のバランスシートと富裕国の公的債務の水準の拡張は、進展する欧州通貨統合の政治経済と同様に、財政政策と金融政策はより合わさっていることを明らかにした。 インフレについて本論稿が思考、説示することは、金融政策と財政政策は、財政金融政策の相互作用を考慮するモデルに基づくべきであるということである。 第1章 導入 第2章 FTPLから導かれる考察、そしてその応用 2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。 2-2 紙幣は財政的裏付けを要する。 2-3 中央銀行のバランスシートは重要である、それは金融政策と財政政策を連結するものだからである。 2-4 名目債務と実質債務は全く異なる。 2-4-1 名目債務は株式のようなクッションである。 2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。 第3章 モデル 3-1 サミュエルソンの、蓄積あり純粋消費ローンモデル。 3-2 テイラー・ルールのための財政的裏付け。 3-3 債務は財政的クッションである。 第4章 結論...

2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.4.2. Nominal debt is (almost) non-defaultable, hence important to the lender of last resort. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。 通常の指標によれば、表1の前二国は後三国と比較して著しく悪い状態とは言えない。 しかし後三国はその国債をはるかに低い金利で売却している。 このことは、後三国は主に名目債務を発行しており、それは自身の国の通貨建てであり、前二国は実質(すなわちユーロ建て)債務を発行していることを反映している。 前二国は何らかの形でデフォルトする非自明な確率が存在するが、後三国は債務が名目なので全くデフォルトしそうにない。  経済学者とジャーナリストは時にインフレをデフォルトの一形態として扱うが、そうではない。 デフォルトは約束された支払いが履行されない状況であり、契約はその不測の事態に何が起こるかを明示しない。 民間企業にとって、これは再交渉(と/か)訴訟手続きに至る。 長期間、投資家は投資にアクセスできなくなり、彼らにいくら戻るかは分からなくなる。...

2-4-1 名目債務は株式のようなクッションである。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-4-1 名目債務は株式のようなクッションである。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.4.1. Nominal debt is a cushion, like equity. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 2-4-1 名目債務は株式のようなクッションである 決定論的な安定した国家では、投資家は債務保有の実質価値にインフレが及ぼす影響を十分に補うほどに高い名目金利を要求する。 政府債務の実質利益は、名目、実質に関係なく、同じである。 しかしもし名目金利が固定利率の長期名目債務の発行日以後に下降すれば、債務の市場価値は上昇し、異常に高い収益を債務保有者にもたらす。 インフレが期待以上に高率で生じれば、名目債務の実質価値は、その満期にかかわらず、異常な低下を被ることになる。 これらメカニズムは財政状況における予期せぬ変化の衝撃を緩和し得る。 我々は確率論的な世界を生きており、これら二つのメカニズムからの政府債務上の収益にはかなり驚かされる。 図1はアメリカ政府債務の驚きの利得と損失のGDP比を時系列で示したものである。 驚きの利得と損失のGDP比は、財政赤字の年々の変動と同じ変動を示してきた。 それらは未払債務の値の比として示され、驚きの収益率となり、さらに拡大された。 債務が実質であるかのようにアメリカ経済をモデルしても良い近似値を得ることはできない、...

2-4 名目債務と実質債務は全く異なる。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-4 名目債務と実質債務は全く異なる。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.4. Nominal debt and real debt are very different. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 2-4 名目債務と実質債務は全く異なる。 実質公的債務は将来の何らかの支払いを約束するものではあるが、その何らかを政府は確保できない可能性もある― 金本位での金について言えば、ユーロに対するEMU構成各国、ドルに対する主に外国通貨建てで借り入れている開発途上国である。 名目公的債務は将来の政府証券の支払いを約束するだけであり、政府証券は常に確保できるものである。 これら債務は両種とも、国の債務の実質価値は将来のプライマリーバランスの黒字( ― 利子費を除く歳出を超過する歳入)の割引現在価値であるという均衡条件を満たさなければならない。 しかしもし逆に財政拡張が債務を増加すれば、増加した実質債務は将来のプライマリーバランスの黒字の増加を要求するのだが、その一方で名目債務と一緒にバランスを戻す方法は二つ存在する。 ― インフレは将来のコミットメントの実質価値を直接的に減価し、名目金利変更は長期債務の現在市場価値を変化させる。  明白にあからさまな名目債務のデフォルトは実質債務のデフォルトよりありそうもない話である。 国がプライマリーバランスの黒字のプラスを...

2-3 中央銀行のバランスシートは重要である、それは金融政策と財政政策を連結するものだからである。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-3 中央銀行のバランスシートは重要である、それは金融政策と財政政策を連結するものだからである。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.3. Central bank balance sheets matter, because they connect monetary and fiscal policy. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 2-3 中央銀行のバランスシートは重要である、それは金融政策と財政政策を連結するものだからである。 以前、中央銀行のバランスシートは会計上のフィクションであり、何の実質的な利益もないと論じるマネタリストが存在した。 現在市場価値でマイナスの純資産を有することの含意が、中央銀行と一般企業あるいは民間企業で異なるのは正しい。 純資産がマイナスの企業は債権者から支払いを求められる可能性が高いが、完済できる可能性は低い。 中央銀行は「貨幣を印刷することができる」 ― 請求に対する支払いとして預金を提供することができる。 それは通常の取付けの対象ではないので、その後債権者は支払われないことを恐れて、従って即時支払いを要求することになる。 その負債は政府証券建てであり、それは随意に発行され得るものである。  このことを念頭に置いて、ほとんどの経済学者は、本当に重要な唯一の、全体として政府のバランスシートを有する中央銀行を、政府の一部...

2-2 紙幣は財政的裏付けを要する。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-2 紙幣は財政的裏付けを要する。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.2. Paper money requires fiscal backing. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 2-2 紙幣は財政的裏付けを要する。 裏付けのない紙幣が価値を有するような経済モデルを構築するのは容易ではあるが、そのようなモデルでは一般的に貨幣が価値を失う可能性もあるし、急速に減価し経済が物々交換で均衡する可能性もある。 そのようなモデルにおいて、政府負債の金利支払い、あるいは無利子負債発行のために課税を導入することは(このようにして、デフレを経由し、実質的に返還する)、不確実性を解決し、物価水準を一意に決定する傾向がある。 第3章における最初の二つの例は、このパターンの帰結を有するまったく異なったモデルを示すものである。  機関設定に依存するが、財政的裏付けは均衡状態では一見明らかであり、名目債務の安定的な量を手当てする課税を伴っているが、さもなければ黙示的であり、非常な環境下でのみ望まれるものであり、仮に中央銀行のバランスシートが悪化すれば中央銀行への財移転をコミットメントすることになる。 しかし、金融機関と財政機関を評価してみると、物価水準のための財政的裏付けの性質についての疑問は、有用な始点である。 そこから私が考えたのは(2004; 1999)、EMUにおいて財...

2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.1. Monetary policy actions, to be effective, must induce a fiscal policy response. into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。 このことは、高インフレ、高水準の名目債務、政治的なデッドロックや企みのために財政政策が凍結された経済では最も理解するのが容易であろう。 そのような経済では、金利は高いであろうし、高水準の債務を伴い、予算における利子費の割合はかなりのものになっており、おそらくは支配的でさえあるだろう。 もしインフレが更に高まるようであれば、通常の金融政策の処方箋は政策金利の引き上げであり、それはインフレ率以上の引き上げでさえある。 しかし、もしそのような経済において議会が機能不全であれば、金利が政府の予算を超えて上昇することを中央銀行は理解することになるだろうし、それは金利上昇の唯一の財政的な効果である名目債務の発行割合増加を伴うだろう。 もし実際このような状況になり、民間部門の債券ディーラーがこの状況を理解すれば、金利上昇は収縮効果を発揮することはない。 実際には、それはインフレ率を...

第1章 導入

PAPER MONEY CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「第1章 導入」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, I. INTRODUCTION into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 第1章 導入  多くの国々における中央銀行は2008年以降、かつて「ハイパワードマネー」と呼ばれたものを急速に拡大しながらも、インフレを引き起こすことなく、そのバランスシートを大きく拡張してきた。 ヨーロッパ各国の財政政策の政策的含意のために、欧州の銀行を監督するための欧州中央銀行の政策と提案は、激しい論争の中心である。 アメリカと日本は、平時においては前例のない比率で債務を蓄積しており、最終的にはインフレを引き起こすのではないかと心配する者もいる。 現在、ほとんどの中央銀行は準備預金に金利を支払っており、それは政府の有利子債務の一部である。 これらの事実が明らかにすることは、金融政策と財政政策は共に結束されており、無利子のハイパワードマネー、「貨幣乗数」、物価水準と貨幣量の間の堅い関係を想定した従来のマクロモデルは、通貨政策を議論するためのフレームワークとしては不十分であるということである。  物価水準の財政理論、FTPLの先行研究は、金融政策と財政政策を統合し、財政政策が物価水準の決定要因であること、唯一の決定要因とさえ言えることを説示する。 この領域における最初の論文は、テクニカルなものだと思われたかもしれない。 その論文が示したことは、政府...

『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』

FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/JacksonHole16/JHpaper.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRISTOPHER A. SIMS into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 要旨  ここ数年の金融政策についての諸々の難問は、マクロ経済モデルによる政府予算制約の伝統的な除外が緩和されれば、より明白に理解することができる。 この領域における先行研究では主に、厳格すぎるか非現実的だと思われる連立方程式モデルが使われてきた。 ここでは、いくつかの特定の政策についての問題を形式ばらずに議論することにより、財政金融政策の相互作用を地に足がついたものとすることを希望する。 第1章 導入 第2章 FTPLについての非公式な説明 第3章 中央銀行の独立性 第4章 巨大な中央銀行のバランスシート 第5章 なぜ、アメリカ、ヨーロッパそして日本において、金融政策は効果を発揮していないのだろうか? 第6章 ゼロ金利政策という効果のない金融政策を財政赤字と置き換えることはできるか? 第7章 結論  インフレは、増減税、政府歳出、そして中央銀行の公開市場操作についての決定間の相互作用の結果である。 そのことについて、より複雑で、しかしより現実的なこの枠組みで考えることは、旧...

第6章 ゼロ金利政策という効果のない金融政策を財政赤字と置き換えることはできるのか?

FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/JacksonHole16/JHpaper.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』の「第6章 ゼロ金利政策という効果のない金融政策を財政赤字と置き換えることはできるのか?」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRISTOPHER A. SIMS, VI. CAN DEFICITS REPLACE INEFFECTIVE MONETARY POLICY AT THE ZERO LOWER BOUND? into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 第6章 ゼロ金利政策という効果のない金融政策を財政赤字と置き換えることはできるのか?  この質問に対する回答は、これ以前の章における議論より、ほとんど明らかである。 金利の低下は、効果的な財政拡大によれば、需要を刺激し得る。 例えば、金利をマイナスに押しやれば、マイナス金利により銀行制度及び貯蓄から徴収された資金は単に、期待された減税や歳出拡大ではなく、名目上の赤字を補填するための予算に使われることが許容される。 マイナス金利はインフレではなくデフレ圧力を生む。  必要とされるのは、インフレ率上昇という目的のためにコーディネートされた財政金融政策を実施して、財政政策の狙いがインフレ率を上昇することにあるとみなされることである。 日本ではこれ...

第5章 なぜ、アメリカ、ヨーロッパそして日本において、金融政策は効果を発揮していないのだろうか?

FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/JacksonHole16/JHpaper.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』の「第5章 なぜ、アメリカ、ヨーロッパそして日本において、金融政策は効果を発揮していないのだろうか?」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRISTOPHER A. SIMS, V. WHY HAS MONETARY POLICY BEEN INEFFECTIVE IN THE US, EUROPE AND JAPAN? into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 第5章 なぜ、アメリカ、ヨーロッパそして日本において、金融政策は効果を発揮していないのだろうか?  低金利、巨大な中央銀行のバランスシート、そしてこれらの国々における低インフレに対する一般的な説明は、ゼロ金利政策が実施され、金融政策からの効果的な財政拡大に失敗したことである。 もちろんこれらの国々では財政赤字は巨大であり、債務の対GDP比は増加してきた。 しかし、財政赤字の拡大は、増税とポピュラーな歳出プログラムの長期的効果を手書きしたことによる。 ヨーロッパでは、緊縮財政の強調が明確で広範なものであった。 債務の増加は部分的に債務の支払いになるインフレを創造することになるという考えは、公的議論にはならない。 日本では、初期の見かけ上の財政...

第4章 巨大な中央銀行のバランスシート

FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/JacksonHole16/JHpaper.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』の「第4章 巨大な中央銀行のバランスシート」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRISTOPHER A. SIMS, IV. LARGE CENTRAL BANK BALANCE SHEETS into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 第4章 巨大な中央銀行のバランスシート  2008年以前のアメリカでは連邦準備制度の負債は、際立った通貨によって支配されていた。 その資産は主に有利子国債であった。 プラスの通貨発行益はそれゆえにほとんど保証されて、金利における通常のビジネスサイクルの変動はあっても、ほとんどそれは変動しなかった。 連邦資産のポートフォリオは単純だったし、リスクを取ることに対する、あるいは別の発行形態を好むがゆえの批判があるだけであった。 それは、一時的にリスクを取って、時には最後の貸し手を引き受ける必要があったが、バランスシート自体が、そのような介入がバランスシートの問題を継続させないほどに十分強力であった。  イングランド銀行は、そのバランスシート上に財政的なフローを作ることから、更に一層強力に隔絶されていた。 それは二つの分離されたバランスシートを持っていて、一つは発行部で...

第3章 中央銀行の独立性

FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/JacksonHole16/JHpaper.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』の「第3章 中央銀行の独立性」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRISTOPHER A. SIMS, III. CENTRAL BANK INDEPENDENCE into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 第3章 中央銀行の独立性  財政金融政策の相互作用の一種は可能なもの、そして有害なものとして、長い間認識されてきた。 債務によってファイナンスされる支出に賛成し、そしてこれにより生じる高金利を避け、中央銀行にその債務を引き受けるよう要求するのに、短期的視野の政治家にとってそれを魅力的なものである。 そのような政策が引き起こす高インフレは(少なくとも最初のうちは)遅れてやってくるし、もしかすると次の選挙の後かもしれない。 ヨーロッパのハイパーインフレのエピソードとラテンアメリカの高インフレ時代は、マネーサプライの急速な成長と高インフレを伴う巨大な財政赤字となり、この特徴を持っていたと考えられる。  中央銀行の独立性は多様な特殊制度的な形態によるものではあるが、その狙いは、短期的な政治的焦点から絶縁された機構を創設し、インフレのコントロールに一次的な責任を負わせることだ。 この機構は財政的なも...

第2章 FTPLについての非公式な説明

FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/JacksonHole16/JHpaper.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』の「第2章 FTPLについての非公式な説明」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRISTOPHER A. SIMS, II. INFORMAL DESCRIPTION OF THE FISCAL THEORY OF THE PRICE LEVEL into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 第2章 FTPLについての非公式な説明  FTPLは一つのシンプルな考えに基づいている。 物価というものは、経済における通貨の財との交換比率であると同時に、ドル建て有利子政府負債の財との交換比率でもある。 インフレは、20ドルの請求書を減価するのと同じように、10000ドルの期限が到来した国債も減価する。 ほとんどの富裕な経済では、有利子政府負債は通貨よりも価値がある。 有利子政府債務の存在を無視した単純なモデルでは、物価は貨幣量によってコントロールできると考えられる。 人々は通貨を有するが、それは金利を生まないので、売買等取引をするのに便利であるがゆえに所有する。 政府はドルという貨幣量をコントロールすることはできるが、人々が取引目的で所有したがる貨幣の均衡がもたらす現実の貨幣価値をコントロールすることはでき...

第1章 導入

FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE CHRISTOPHER A. SIMS http://sims.princeton.edu/yftp/JacksonHole16/JHpaper.pdf  下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『財政政策、金融政策そして中央銀行の独立性』の「第1章 導入」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。  下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。  I translated FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRISTOPHER A. SIMS, I. INTRODUCTION into Japanese.  This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License. 第1章 導入  本稿は、関連するいくつかの現在の政策問題についての小論である。 現在の環境下での中央銀行の独立性とは何であろうか、そしてそれはいかにして維持され得るものだろうか。 巨大な中央銀行のバランスシートは良性のものだろうか、それとも悪性なのか。 なぜ、アメリカ、ヨーロッパそして日本において、インフレを目標水準まで引き上げるのに金融政策は効果がないのだろうか。 財政赤字のファイナンスを、現在の条件下で効果のない金融政策と置き換えることはできるのだろうか。 これらの問題はすべて広く議論されてきたものだ。 それらをここでは一緒くたにする理由は、FTPL(Fiscal Theory of Price Level)は、このアプローチになじみのなかった問題に新しい考察を提供することにより、この問題に光を当てることができるからだ。  FTPLについての先行研究はほとんど動的連立方程式モデルを使い、未来の事象、それは政策に...