2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。
PAPER MONEY
CHRISTOPHER A. SIMS
http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf
下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。
下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。
I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.1. Monetary policy actions, to be effective, must induce a fiscal policy response. into Japanese.
This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.
そのような経済では、金利は高いであろうし、高水準の債務を伴い、予算における利子費の割合はかなりのものになっており、おそらくは支配的でさえあるだろう。
もしインフレが更に高まるようであれば、通常の金融政策の処方箋は政策金利の引き上げであり、それはインフレ率以上の引き上げでさえある。
しかし、もしそのような経済において議会が機能不全であれば、金利が政府の予算を超えて上昇することを中央銀行は理解することになるだろうし、それは金利上昇の唯一の財政的な効果である名目債務の発行割合増加を伴うだろう。
もし実際このような状況になり、民間部門の債券ディーラーがこの状況を理解すれば、金利上昇は収縮効果を発揮することはない。
実際には、それはインフレ率を下降させるのではなく、むしろ上昇させることになる。
中央銀行は、このことを理解した後、従来の政策的処方箋に従うことを差し控えるかもしれない。
そうすることによって、インフレを加速させるのではなく、減速させることになる。
1990年代、このことはせいぜい処置を誤ったテンアメリカ諸国の経済に適用される分析であると思われたが、多くの経済学者(私を含む)が最近4年間のアメリカ連邦準備制度のバランスシートの拡張はインフレ圧力を生じないとかつて論じた推論に思いを致すべきである。
連邦準備制度は現在、準備預金の金利を支払う権限を有する。
現在の低金利では(短期アメリカ財務省証券の金利は高いままだが)、連邦準備制度は仮にインフレ圧力が生じたとしても自由に金利を引き上げることができる。
たとえ連邦準備制度が準備預金量を変化させるために公開市場操作をしないとしても、準備預金の金利引き上げは強力な収縮効果を持つだろう。
完全に安全な準備預金が貸出金利に相当する金利を支払うのであれば、銀行は貸出量を拡張しようとはしない。
しかしこの話には、金融政策の効果についての他の話と同様に、財政政策の裏話が存在する。
準備預金と財務省証券は密接な代替材であるので、準備預金の金利上昇は一般的に政府債務の金利もまた上昇させる。
アメリカ政府債務のGDP比の水準は前例のない水準になっている。
仮に債務がGDP比100%であれば、金利が2%という現在の水準から6%まで上昇すると、現在は連邦政府支出の10%以下である利子費を30%まで拡大し、財政政策反応がないとすれば、従来漸増してきた赤字を劇的に増大させることになる。
反応はあるだろうか。
数年前までは答えは「もちろん、Yes」だった。
しかし、これまでの赤字の増加が非常に大きかったので、反応は相当な税収増を含む必要があるだろう。
近年繰り返されてきた債務の限界についての議会におけるチキンゲームと、長期予算問題を解決するための取引が不能である状況下では、現在その答えは少々疑わしい。
中央銀行がインフレに直面しても金利の安定を維持し、財政当局が増加する実質債務に反応してプライマリーバランスの黒字を増加させなければ、物価はおそらく既定のままであろう。
しかし、インフレの主要な決定要因は、金融政策の通常の手段を用いることではなくむしろ、財政赤字なのである。
・『紙幣』に戻る。
CHRISTOPHER A. SIMS
http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf
下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。
下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。
I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.1. Monetary policy actions, to be effective, must induce a fiscal policy response. into Japanese.
This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.
2-1 金融政策活動が有効であるためには、財政政策反応が誘発されなければならない。
このことは、高インフレ、高水準の名目債務、政治的なデッドロックや企みのために財政政策が凍結された経済では最も理解するのが容易であろう。そのような経済では、金利は高いであろうし、高水準の債務を伴い、予算における利子費の割合はかなりのものになっており、おそらくは支配的でさえあるだろう。
もしインフレが更に高まるようであれば、通常の金融政策の処方箋は政策金利の引き上げであり、それはインフレ率以上の引き上げでさえある。
しかし、もしそのような経済において議会が機能不全であれば、金利が政府の予算を超えて上昇することを中央銀行は理解することになるだろうし、それは金利上昇の唯一の財政的な効果である名目債務の発行割合増加を伴うだろう。
もし実際このような状況になり、民間部門の債券ディーラーがこの状況を理解すれば、金利上昇は収縮効果を発揮することはない。
実際には、それはインフレ率を下降させるのではなく、むしろ上昇させることになる。
中央銀行は、このことを理解した後、従来の政策的処方箋に従うことを差し控えるかもしれない。
そうすることによって、インフレを加速させるのではなく、減速させることになる。
1990年代、このことはせいぜい処置を誤ったテンアメリカ諸国の経済に適用される分析であると思われたが、多くの経済学者(私を含む)が最近4年間のアメリカ連邦準備制度のバランスシートの拡張はインフレ圧力を生じないとかつて論じた推論に思いを致すべきである。
連邦準備制度は現在、準備預金の金利を支払う権限を有する。
現在の低金利では(短期アメリカ財務省証券の金利は高いままだが)、連邦準備制度は仮にインフレ圧力が生じたとしても自由に金利を引き上げることができる。
たとえ連邦準備制度が準備預金量を変化させるために公開市場操作をしないとしても、準備預金の金利引き上げは強力な収縮効果を持つだろう。
完全に安全な準備預金が貸出金利に相当する金利を支払うのであれば、銀行は貸出量を拡張しようとはしない。
しかしこの話には、金融政策の効果についての他の話と同様に、財政政策の裏話が存在する。
準備預金と財務省証券は密接な代替材であるので、準備預金の金利上昇は一般的に政府債務の金利もまた上昇させる。
アメリカ政府債務のGDP比の水準は前例のない水準になっている。
仮に債務がGDP比100%であれば、金利が2%という現在の水準から6%まで上昇すると、現在は連邦政府支出の10%以下である利子費を30%まで拡大し、財政政策反応がないとすれば、従来漸増してきた赤字を劇的に増大させることになる。
反応はあるだろうか。
数年前までは答えは「もちろん、Yes」だった。
しかし、これまでの赤字の増加が非常に大きかったので、反応は相当な税収増を含む必要があるだろう。
近年繰り返されてきた債務の限界についての議会におけるチキンゲームと、長期予算問題を解決するための取引が不能である状況下では、現在その答えは少々疑わしい。
中央銀行がインフレに直面しても金利の安定を維持し、財政当局が増加する実質債務に反応してプライマリーバランスの黒字を増加させなければ、物価はおそらく既定のままであろう。
しかし、インフレの主要な決定要因は、金融政策の通常の手段を用いることではなくむしろ、財政赤字なのである。
・『紙幣』に戻る。