2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。
PAPER MONEY
CHRISTOPHER A. SIMS
http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf
下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。
下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。
I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.4.2. Nominal debt is (almost) non-defaultable, hence important to the lender of last resort. into Japanese.
This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.
しかし後三国はその国債をはるかに低い金利で売却している。
このことは、後三国は主に名目債務を発行しており、それは自身の国の通貨建てであり、前二国は実質(すなわちユーロ建て)債務を発行していることを反映している。
前二国は何らかの形でデフォルトする非自明な確率が存在するが、後三国は債務が名目なので全くデフォルトしそうにない。
経済学者とジャーナリストは時にインフレをデフォルトの一形態として扱うが、そうではない。
デフォルトは約束された支払いが履行されない状況であり、契約はその不測の事態に何が起こるかを明示しない。
民間企業にとって、これは再交渉(と/か)訴訟手続きに至る。
長期間、投資家は投資にアクセスできなくなり、彼らにいくら戻るかは分からなくなる。
異なる満期か形式の債務を保有する債権者は異なる度合いで損失を被り、債権者間の損失の割り当ては不確実なものである。
例えば、小さなデフォルトは長期債務の元本返済の少しの遅延をも含む。
他の債権者は動かないかもしれないが、もし一人の短期債務の保有者が法廷に行けば、全債務者が害される。
同様の、もしかするとより深刻な不確実性が公的デフォルトにはある。
異常な高インフレは名目公的債務の投資家に損失を負わせるが、それは再交渉や訴訟手続きを伴わない。
約束された支払いは履行される。
証券は売買可能なままである。
将来のプライマリーバランスの黒字について不確実である同様な国では、それゆえに、投資家にとって、インフレと名目金利の変動ではなくデフォルトにより財政的不均衡が解決される際に、公的債務の投資への収益についてさらに不確実になりそうである。
金融恐慌では、契約相手のリスクが市場参加者間に普及して、債券市場が凍結してしまう。
健全性と流動性に疑義のない機関は自由に貸し出すことによりその状況を救済することができる。
巨大民間銀行が歴史的に時にそのような最後の貸し手として振る舞うことができる一方で、それを試みるいかなる民間機関も流動性について不安の対象になる危険にさらされる。
プライマリーバランスの黒字を維持し名目債務を発行し得る国庫に裏付けられた中央銀行は、理想的な最後の貸し手である。
それは預金を創出できるので、決してデフォルトする必要がないのである。
もしそれが資本損失を生じ、そして財政当局により裏付けがなされなければ、バランスシートを修復するために高インフレを強制されることになるが、財政的裏付けがあれば問題にはならない。
通貨同盟を設立したヨーロッパでは、ECBが最後の貸し手の役割を担うことについて熟慮しなかった。
各国の中央銀行はもはやその役割を担うことができない、なぜならば預金を創出する独立した権限がなく、そしてその国庫は実質債務のみ発行するからである。
近年の危機においてECBは事実上、最後の貸し手の役割を担ったが、この役割についての活動と声明は北部諸国の経済官僚により定期的に批判されるため、その効果は限定的である。
・『紙幣』に戻る。
CHRISTOPHER A. SIMS
http://sims.princeton.edu/yftp/PaperMoney/PaperMoneyAER.pdf
下記の文章は、上記のクリストファー・シムズ氏の論文『紙幣』の「2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。」の原文を、英語から日本語に翻訳したものです。
下記の文章を、原文のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)に従い、同様のライセンス(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)により公開します。
I translated PAPER MONEY, CHRISTOPHER A. SIMS, II.4.2. Nominal debt is (almost) non-defaultable, hence important to the lender of last resort. into Japanese.
This document is licensed under the Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.
2-4-2 名目債務は(ほとんど)デフォルト不可、従って最後の貸し手にとって重要である。
通常の指標によれば、表1の前二国は後三国と比較して著しく悪い状態とは言えない。しかし後三国はその国債をはるかに低い金利で売却している。
このことは、後三国は主に名目債務を発行しており、それは自身の国の通貨建てであり、前二国は実質(すなわちユーロ建て)債務を発行していることを反映している。
前二国は何らかの形でデフォルトする非自明な確率が存在するが、後三国は債務が名目なので全くデフォルトしそうにない。
経済学者とジャーナリストは時にインフレをデフォルトの一形態として扱うが、そうではない。
デフォルトは約束された支払いが履行されない状況であり、契約はその不測の事態に何が起こるかを明示しない。
民間企業にとって、これは再交渉(と/か)訴訟手続きに至る。
長期間、投資家は投資にアクセスできなくなり、彼らにいくら戻るかは分からなくなる。
異なる満期か形式の債務を保有する債権者は異なる度合いで損失を被り、債権者間の損失の割り当ては不確実なものである。
例えば、小さなデフォルトは長期債務の元本返済の少しの遅延をも含む。
他の債権者は動かないかもしれないが、もし一人の短期債務の保有者が法廷に行けば、全債務者が害される。
同様の、もしかするとより深刻な不確実性が公的デフォルトにはある。
異常な高インフレは名目公的債務の投資家に損失を負わせるが、それは再交渉や訴訟手続きを伴わない。
約束された支払いは履行される。
証券は売買可能なままである。
将来のプライマリーバランスの黒字について不確実である同様な国では、それゆえに、投資家にとって、インフレと名目金利の変動ではなくデフォルトにより財政的不均衡が解決される際に、公的債務の投資への収益についてさらに不確実になりそうである。
金融恐慌では、契約相手のリスクが市場参加者間に普及して、債券市場が凍結してしまう。
健全性と流動性に疑義のない機関は自由に貸し出すことによりその状況を救済することができる。
巨大民間銀行が歴史的に時にそのような最後の貸し手として振る舞うことができる一方で、それを試みるいかなる民間機関も流動性について不安の対象になる危険にさらされる。
プライマリーバランスの黒字を維持し名目債務を発行し得る国庫に裏付けられた中央銀行は、理想的な最後の貸し手である。
それは預金を創出できるので、決してデフォルトする必要がないのである。
もしそれが資本損失を生じ、そして財政当局により裏付けがなされなければ、バランスシートを修復するために高インフレを強制されることになるが、財政的裏付けがあれば問題にはならない。
通貨同盟を設立したヨーロッパでは、ECBが最後の貸し手の役割を担うことについて熟慮しなかった。
各国の中央銀行はもはやその役割を担うことができない、なぜならば預金を創出する独立した権限がなく、そしてその国庫は実質債務のみ発行するからである。
近年の危機においてECBは事実上、最後の貸し手の役割を担ったが、この役割についての活動と声明は北部諸国の経済官僚により定期的に批判されるため、その効果は限定的である。
・『紙幣』に戻る。