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第118条【経済的及び社会的な制度の原則】、第119条【国の義務】、第120条【公共サービスを提供する企業への介入】、第121条【国有財産】、第122条【国の保有領域】、第123条【国境地帯における制限】、第124条【国有財産の処分】、第125条【再生不可能な天然資源の開発】、第126条【森林再生】、第127条【水利権】、第128条【水域、湖沼及び河川の利用】、第129条【電力供給】、第130条【独占の禁止】、第131条【商業輸送サービス】、第132条【通貨】、第133条【金融委員会】、第134条【分権及び自治】

第2編【人権】

第2章【社会権】

第10節【経済的及び社会的な制度】

第118条 グアテマラ共和国の経済的及び社会的な制度は、社会正義の原則に基づくものとする。
 国は、天然資源及び人間の潜在能力を活用し、富を増大させ、完全雇用及び国民所得の公平な分配を実現するために、国民経済を指導する義務を負う。
 国は、必要に応じて、前述の目標を実現するために、民間のイニシアティブ及び活動と補完的に活動するものとする。

第119条 国の基本的な義務:
(a)農業、畜産業、工業、観光業及びその他の活動におけるイニシアティブを刺激し、国家の経済発展を促進すること。
(b)国内の適切な地域開発を実現するために、行政経済の分権化を組織的に推進すること。
(c)天然資源の保全、開発及び効率的な利用のために必要な措置を講じること。
(d)家族の幸福を実現することにより、全ての国民の生活水準の向上を保障すること。
(e)協同組合に必要な技術的及び財政的な援助を提供することにより、その設立及び運営を奨励及び保護すること。
(f)共和国の内陸部に設立される、地方分権に貢献する工業企業に対し、法律に従って奨励金を交付すること。
(g)国民向けの住宅の建設を優先的に推進し、適切な融資制度を通して、多くのグアテマラ人家族が住宅を所有できるようにすること。ただし、新興住宅又は協同組合の住宅は、保有制度が異なる場合もある。
(h)集団に不利益をもたらす、財産及び生産手段の集中につながる過度な慣行の運用を防止すること。
(i)国内消費用及び輸出用の製品の品質保持に関して、健康、安全及び適法な経済的利益を保障するために、消費者及び利用者を保護すること。
(j)私有財産及び家族の財産保護の原則に基づき、国民生産の増大及び多角化を目指す農村開発プログラムを積極的に推進すること。農民及び職人に技術的及び経済的な援助を提供するものとする。
(k)資本形成、貯蓄及び投資を保護すること。
(l)国内及び国外の貿易の秩序ある効率的な発展を促進し、国産品の市場を育成すること。
(m)経済政策の中で、公共支出と国民生産の間の整合的な関係を維持すること。
(n)国内及び国外の資本による投資を促進するための適切な条件を整備すること。

第120条 国は、不可抗力により、コミュニティに不可欠な公共サービスを提供する企業の運営に支障がある場合、厳密に必要な期間、これに介入することができる。

第121条 国有財産:
(a)公有地にあるもの。
(b)領土の沿岸の海域、湖沼、航行可能な河川及びその沿岸、共和国の国境線となる河川、泉及び水路、水力発電の目的で利用される滝及び泉、地下水、法律で規制するその他の水域、並びに法律の定める範囲及び期間、私人による利用が制限される水域。
(c)ムニシピオ、分権団体又は自治団体の財産を含む、国の財産を構成するもの。
(d)法律又はグアテマラが批准する国際条約で定める範囲及び方法による、海域の海底、大陸棚及び空域。
(e)地下土壌、炭化水素及び鉱物の鉱床、並びに地下土壌に含まれるその他の有機物質又は無機物質。
(f)考古学的な記念碑及び遺物。
(g)財政収入及びムニシピオの収入、並びに法律によって分権団体及び自治団体に割り当てられる私的な性質の収入。
(h)無線周波数

第122条 国は、海岸沿いの上潮線から3キロメートル、湖沼の沿岸沿い200メートル、航行可能な河川の両岸100メートル、及び国民に水を供給する泉の湧水域沿い50メートルの領域を保有するものとする。
 前述の保有領域の例外:
(a)都市圏に所在する不動産。
(b)1956年3月1日以前に土地登記簿に登記された権利が存在する不動産。

 外国人が前2項の例外に含まれる不動産の所有権を取得するには、行政府の許可を要する。国定記念物に指定された不動産、又は記念物群に含まれる不動産については、国が優先的な権利を有する。

第123条 出生によるグアテマラ人、又は同様の資格を有する構成員からなる会社のみが、分割線から国境沿いの幅15キロメートルの地帯に所在する不動産を所有又は占有することができる。ただし、1956年3月1日以前に登記された都市圏の不動産及び権利は例外とする。

第124条 国有財産は、法律の定める方法でのみ処分することができる。この法律により、その運用及び財政目標が従うべき制限及び手続きを定めるものとする。
 分権団体又は自治団体は、その法律及び規則の規定に従うものとする。

第125条 炭化水素、鉱物及びその他の再生不可能な天然資源の技術的及び合理的な開発は、公共の利益及び必要に適うものであることを宣言する。
 国は、その探査、開発及び商業化のための条件を整備及び推進するものとする。

第126条 国家の森林再生及び森林保全は、国家の緊急課題であり、社会的な利益に適うものであることを宣言する。法律により、樹脂、ガム、未耕作の自生植物の産品及び類似のその他の生産物を含む、森林資源の合理的な利用及びその再利用のための方法及び要件を定め、その産業化を奨励するものとする。これらの全ての資源の開発は、グアテマラ人の個人又は法人のみ行うことができる。
 河川及び湖沼の沿岸並びに水源付近の森林及び植物は、特別な保護を享受するものとする。

第127条 全ての水域は公有地であり、不可譲かつ不可侵である。その開発、利用及び享受は、社会的利益に従い、法律の定める方法で認められる。特別法により、この事項を定めるものとする。

第128条 湖沼及び河川の水域を農業、畜産業、観光業及び国民経済の発展に寄与するその他の目的で利用することは、特定の個人ではなくコミュニティの責務である。ただし、利用者はその沿岸及び河床の森林を再生し、アクセス経路を整備する義務を負う。

第129条 国内の電力供給は国家の緊急課題であることを宣言する。国及び地方自治体によって策定される計画に基づき、民間のイニシアティブで参加することができる。

第130条 独占及び特権は禁止される。国は、国民経済に不利益をもたらす、1つ以上の産業部門又は同様の商業活動若しくは農業活動の生産を買収し、又はその傾向のある企業の操業を制限するものとする。法律により、これに関する事項について定めるものとする。国は、市場経済を保護し、市場の自由を制限し、又は消費者に不利益をもたらす傾向のある会社を防止する。

第131条 国家の発展における経済的な重要性により、陸路、海路又は空路にかかわりなく、船舶、車両、設備及びサービスを含む、あらゆる商業及び観光の輸送サービスは、公共の利益に適うものと認められ、よって国の保護を享受するものとする。
 商業用の陸上ターミナル、空港及び港湾は公共の共有財産とみなされ、輸送サービスと同様に市民当局のみが管轄権を有する。政府機関及び国軍が所有する船舶、車両及びターミナルを、商業目的で使用することを禁止する。この規定は、輸送サービスを提供する国の分権団体には適用されない。
 国内又は国際輸送サービスの設置及び運営は、政府の認可を要する。そのために、申請者が関連する法的要件を満たしたときに、政府当局は直ちに認可するものとする。

第132条 通貨を発行及び規制し、国民経済の秩序ある発展に有利な為替及び信用条件を創出及び維持する政策を立案及び実施することは、国の専権事項である。通貨、銀行及び金融活動は、中央銀行制度の下で組織され、貨幣の流通及び公的債務に関するあらゆる事項を監督するものとする。この制度は、グアテマラ銀行を経営する金融委員会が管理する。これは、独自の財産を有する自治団体であり、その組織法及び金融法に従うものとする。
 金融委員会は、以下の委員によって構成される。:
(a)委員長。グアテマラ銀行総裁を兼ね、法律の定める期間、共和国大統領によって任命される。
(b)財政、経済、農業、畜産業及び食料を所管する大臣。
(c)共和国議会によって選任される委員1名。
(d)商業、工業及び農業の各業界団体から選任される委員1名。
(e)全国の民間銀行の理事会の理事長によって選任される委員1名。
(f)サン・カルロス・デ・グアテマラ大学によって選任される委員1名。

 後半の3名の委員の任期は1年とする。
 金融委員会の全ての委員には、補欠委員がいる。ただし、大統領については副大統領が、国務大臣については各副大臣が、その補欠委員になるものとする。
 金融委員会の副委員長及びグアテマラ銀行の副総裁は、共和国大統領によって任命される。大統領と共に金融委員会の会議に出席し、発言することはできるが、投票権は有しない。ただし、大統領の職務を代行する場合は、投票権を有するものとする。
 委員長、副委員長、及び最高大学評議会及び共和国議会によって任命される委員は、経済及び金融に関して知識及び能力を備えた、名声のある著名な人物でなければならない。
 金融委員会の行為及び決定は、行政上の不服申立て並びに行政訴訟及び上訴の対象となる。

第133条 金融委員会は、国の金融、為替及び信用に関する政策を決定する責任を負う。国内の銀行システムの流動性及び支払能力、並びに国民貯蓄の安定及び強化を保障するものとする。
 金融委員会は、国の通貨、為替及び信用の安定を保障するために、グアテマラ銀行に対し、国、その分権団体若しくは自治団体、又は民間のノンバンクに、直接的又は間接的な融資、保証又は担保を行う権限を認可してはならない。同様の目的で、グアテマラ銀行は、そのような団体がプライマリー・マーケットで発行又は取引する証券を購入することはできない。ただし、災害が発生したときに、共和国大統領の要請を受け、議会の総議員の3分の2以上の賛成で承認された場合に限り、例外的に融資を認めることができる。
 銀行監督局を、法律に基づいて組織する。これは、銀行、信用機関、金融企業、保証会社、保険会社、及び法律の定めるその他の機関を監督及び検査する機関である。

第134条 ムニシピオ並びに自治団体及び分権団体は、国の委任に基づいて活動する。
 自治は、共和国憲法に規定する特別な場合を除いて、団体の効率性を向上し、その目的をより良く遂行するために不可欠であるとみなされる場合にのみ認められる。分権団体及び自治団体を設立するには、共和国議会の3分の2以上の賛成を要するものとする。
 ムニシピオ並びに全ての分権団体若しくは自治団体の最低限の義務として、以下の事項を定める。:
(a)国の一般的な政策及び関連する部門の特別な政策と、その政策を調整すること。
(b)国の計画機関との緊密な連携を維持すること。
(c)プログラム、プロジェクト、活動、収入及び支出を明記した詳細な通常予算及び臨時予算を、共和国の行政機関及び議会に参考情報として送付すること。ただし、サン・カルロス・デ・グアテマラ大学を除く。この送付は、法律の規定する場合は承認を目的とする。
(d)一般的な銀行及び金融機関における私人の運用の秘密保持の性質を損なうことなく、同機関の業務に関する報告書及び必要な特別報告書を同機関に提出すること。
(e)財政管理を所管する機関が、その職務を広範かつ効果的に遂行するために必要な便宜を供与すること。
(f)国際的な性質を有する活動に関して、行政機関が立案する政策に従うものとする。

 分権団体の運営が不可能とみなされる場合、共和国議会の3分の2以上の賛成によって廃止されるものとする。

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