失敗の本質。
1 先の敗戦
日本は先の大戦で敗北し、その敗因分析はいろいろなされてきた。今回は個人的に考えたことを、できるだけ簡単にまとめてみたい。
結論は、民主政が衆愚政治に帰着したのだと思っている。
2 断絶か連続か
明治維新から大正時代までの日本は良かったけれど、昭和の時代に突然変質してしまったような印象を語る識者は多い。司馬遼太郎氏による司馬史観は有名である。
・「大正デモクラシー」はどうして戦争を止められなかったのか 成田龍一氏インタビュー(SYNODOS)
個人的には言い方の問題だと思っていて、その境は大正デモクラシーの前後だと思っている。
・「大正デモクラシー」が満州事変を生んだ(池田信夫 blog)
3 賢人政治と民主政
大正デモクラシー前は、日本の民主政は賢人政治よりだったけれど、大正デモクラシー後はより民主政よりになった。民主政は油断すると衆愚政治になる。
空気の暴走がそのまま衆愚政治となり、国家を衰退させ、場合によっては滅亡させることさえある。
・古くて新しい賢人政治という思想。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2020/05/blog-post_18.html
おまけに明治憲法には統帥権という致命的なバグがあった。
明治までは元勲などの大物政治家のおかげで何とかコントロールできていたけれど、元勲がいなくなった大正デモクラシー後、統帥権問題は戦前日本を最期まで迷走させることとなった。
4 自由と民主主義、国家と戦争
自由と民主主義は貴重なものである。それを維持するためには相応のコストがかかる。
そして、それだけのコストをかけても、大切に守るだけの価値がある。
(小室直樹『日本いまだ近代国家に非ずー国民のための法と政治と民主主義ー(Amazon)』)
・「総力戦体制」としてのデモクラシー(池田信夫 blog)
・総動員体制から総力戦体制へ(池田信夫 blog)
「進化論的には、強い者や賢い者が生き残るのではなく、環境の変化に対応して自分自身も変化することができる者が生き残る。
高度に洗練された民主主義国家こそ、進化論的に最強の政体なのかもしれない。」(私的政治哲学入門。)
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