第24条【通信、文書及び帳簿の不可侵】、第25条【個人及び車両の捜索】、第26条【移動の自由】、第27条【亡命の権利】、第28条【請願権】、第29条【国の裁判所及び下級機関への自由なアクセス】、第30条【行政行為の公開】、第31条【国の公文書及び登録簿へのアクセス】、第32条【召喚の目的】、第33条【集会及びデモの権利】、第34条【結社の権利】、第35条【思想を伝達する自由】、第36条【宗教の自由】、第37条【教会の法人格】、第38条【武器の所持及び携帯】、第39条【私有財産】、第40条【収用】、第41条【財産権の保護】、第42条【著作者又は発明者の権利】、第43条【工業、商業及び労働の自由】、第44条【人間に固有の権利】、第45条【侵害者に対する訴訟及び抵抗の正当性】、第46条【国際法の優位】
第2編【人権】
第1章【個人の権利】
第24条 全ての人の通信、文書及び帳簿は不可侵である。これらは、管轄裁判官が法律上の手続きに従って言い渡した確定判決によってのみ、調査又は差押えをすることができる。通信、電話、無線、有線及びその他の近代的な機器に関する秘密は保障される。税務当局は、法律に従って租税の納付に関する帳簿、文書及び記録を調査することができる。納税額、利益、損失、費用及びその他の監査済みの会計に関するデータを、個人又は法人に開示することは、法律によって公表が義務付けられる貸借対照表を除いて、処罰の対象となる。
本条に違反して取得された文書又は情報は真正なものとは認められず、裁判における証拠とはならない。
第25条 個人及び車両の捜索は、正当な理由が証明された場合に限り、治安部隊の隊員によって行うことができる。そのために、治安部隊の隊員は、正規の制服を着用し、捜索を受ける者と同性でなければならない。また、個人の尊厳、プライバシー及び品位を尊重しなければならない。
第26条 全ての人は、法律で定められた以外のいかなる制限もなく、入国、滞在、通過及び出国する自由、並びに住所又は居所を変更する自由を有する。
グアテマラ人は、国外追放され、入国を禁止され、又はパスポート若しくはその他の身分証明書を拒否されることはない。
グアテマラ人は、ビザを取得することなく入国及び出国することができる。
法律により、この規定に違反した者が負う責任について定めるものとする。
第27条 グアテマラは亡命の権利を認める。国際慣行に従い、これを承認するものとする。
犯罪人引渡しは、国際条約の規定に従うものとする。
政治犯罪によるグアテマラ人の引渡しは、人道に対する罪又は国際法に違反する犯罪に関する条約及び協定に規定する場合を除いて、これを行ってはならない。いかなる場合も、外国政府に引き渡すことはできない。
政治難民を国内から迫害国へ追放することは認められない。
第28条 グアテマラ共和国の国民は、個人又は集団として、当局に請願する権利を有する。当局は請願を処理する義務を負い、法律に従い、これを解決しなければならない。
行政上の事項に関しては、請願を解決し、これを通知するのに30日を超えてはならない。
税務に関しては、不服申立て又は調停による行政上の決定を争うために、税金の前払い又は保証金の提供を要しない。
第29条 全ての人は、法律に従い、訴訟を提起し、その権利を主張するために、国の裁判所、下級裁判所及び機関へ自由にアクセスすることができる。
外国人は、裁判を拒否された場合にのみ、外交ルートを利用することができる。
判決がその利益に反しているだけではその資格はなく、いかなる場合も、グアテマラ法の定める法律上の救済措置が尽くされなければならない。
第30条 行政行為は全て公開される。利害関係者は、随時、請求する報告書、写し、複製品及び証明書を取得し、閲覧を希望する書類の開示を受ける権利を有する。ただし、国家の安全保障に関わる軍事事項若しくは外交事項、又は秘密保持の保障の下で私人から提供されたデータを除く。
第31条 全ての人は、公文書、記録又はその他の形式の国の登録簿における、自己に関する記録及びその情報が使用される目的を知る権利を有する。また、その情報を訂正、修正及び更新する権利を有する。選挙及び政党に関する機関を除いて、政治的所属に関する登録及び公文書は禁止される。
第32条 当局又は公務員への出頭は、その召喚状に手続きの目的が明記されていなければ、強制力を有しない。
第33条 平和的かつ武器を持たない集会の権利は認められる。
公共の場での集会及びデモの権利は、制限、抑制又は縮小されることはない。法律により、公共の秩序を保障することのみを目的として、これらを規制することができる。
寺院外での宗教的デモは認められており、法律に従うものとする。
これらの権利の行使は、管轄当局に事前に届け出ることを要する。
第34条 自由な結社の権利は認められる。
何人も自警団又はこれに準じる団体又は協会に加入する義務はない。ただし、職業上の団体の場合を除く。
第35条 いかなる手段による思想の伝達も、検閲又は事前の許可なく自由である。この憲法上の権利は、いかなる法律又は政府の規則によっても制限されない。この自由を行使して私生活又は道徳を侵害した者は、法律に従って責任を負うものとする。侵害されたと思料する者は、その抗弁、主張及び訂正を公表する権利を有する。
公務員及び従業員の職務の執行についての不服申立て、批判又は告発を含む公表は、犯罪又は軽犯罪を構成しない。
公務員及び従業員は、法律の定める方法で構成される名誉裁判所に対し、影響を受けた公表が不正確な事実に基づくものであること、又は根拠のないものであることを宣言するよう請求することができる。被害者の名誉を回復する判決は、告発が掲載されたのと同じマスメディアで公表されるものとする。
マスメディアの活動は公共の利益のために行われるものである。いかなる場合も、これを取り上げることはできない。マスメディアの企業、職場、設備、機械及び器具は、思想の伝達に関する不正行為又は犯罪を理由として、閉鎖、差押え、傍受若しくは没収され、又はその運営を妨害されることはない。
情報源へのアクセスは自由であり、いかなる当局もこの権利を制限することはできない。
国が個人に付与するコンセッションの認可、制限又は取消しを、思想の自由な伝達を制限する圧力又は強制の手段として利用してはならない。
陪審員は、本条に規定する犯罪又は軽犯罪のみを審理する。
この憲法上の権利に関するあらゆる事項は、思想の伝達に関する基本法によって定めるものとする。
マスメディアの所有者は、生命保険を契約することにより、記者に社会経済的な保障を提供しなければならない。
第36条 あらゆる宗教の実践は自由である。全ての人は、公共の秩序、位階の尊厳及び他の宗教の信徒を尊重することを条件として、公的にも私的にも、教授、崇拝及び礼拝により、自己の宗教又は信仰を実践する権利を有する。
第37条 カトリック教会の法人格は認められる。その他の教会、宗派、並びに宗教的性質を有する団体及び協会は、その機関の規則に従って法人格の認証を取得する。政府は、公共の秩序を理由とする場合を除いて、これを拒否することはできない。
国は、カトリック教会に対し、その目的のために現在、平穏に保有する不動産の権利証を無料で発行する。ただし、過去にカトリック教会の財産の一部を構成していた場合に限る。第三者のために登録された財産、及び国が伝統的にそのサービスのために使用する財産は、影響を受けないものとする。
礼拝、教育及び社会扶助を目的とする宗教団体の不動産は、租税を免除されるものとする。
第38条 法律で禁止されていない、個人で使用する武器を住居で所持する権利は認められる。管轄裁判官が命じる場合を除いて、これを引き渡す義務はない。
法律によって定める武器を携帯する権利は認められる。
第39条 私有財産は人間固有の権利として保障される。全ての人は、自己の財産を法律に従って自由に処分することができる。
国は、この権利の行使を保障する。また、全てのグアテマラ人の利益のために個人の進歩及び国家の発展を達成することを目的として、所有者がその財産を使用及び享受するための条件を整備しなければならない。
第40条 私有財産は、特定の場合、集団的な効用、社会的な利益又は公共の利益が適正に証明される理由により、収用することができる。収用は、法律の定める手続きに従うものとする。対象となる財産は、現在の価値に基づき専門家によって評価される。
補償は、関係者との間で他の方法による補償が合意されない限り、法定通貨による前払いで行われるものとする。
戦争、災害又は重大な騒乱の場合に限り、事前に補償することなく財産を占有、差押え又は収用することができる。ただし、緊急事態が終息した直後に、その補償を行わなければならない。法律により、敵国の財産に関する規則を定めるものとする。
遊休地の収用に対する補償金の支払いの方式は、法律によって定めるものとする。いかなる場合も、その支払期間は10年を超えてはならない。
第41条 財産権は、政治に関する活動又は犯罪を理由に、いかなる方法でも制限されないものとする。財産の没収及び没収的な罰金の賦課は禁止される。罰金は、いかなる場合も、未納税額を超えてはならない。
第42条 著作者及び発明者の権利は認められる。これらの権利者は、法律及び国際条約に従い、その著作物又は発明の独占的な権利を享受する。
第43条 工業、商業及び労働の自由は、社会的な理由又は国益のために法律によって課される制限を条件として、認められるものとする。
第44条 憲法が付与する権利及び保障は、憲法に明示的に規定されていない、人間に固有のその他の権利を排除するものではない。
憲法が保障する権利を棄損、制限又は歪曲する法律及び政府の規則又はその他の命令は、当然無効である。
第45条 人権の侵害者を告発する訴訟は公開され、保証金又は形式的な手続きを経ることなく、簡易的な告発によって提起することができる。憲法に明記される権利及び保障を、保護及び擁護するための国民の抵抗は正当なものである。
第46条 人権に関する事項について、グアテマラが受諾及び批准する条約及び協定が国内法に優先するという、一般原則を定めるものとする。
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