第109条【国民の健康管理】、第110条【保健に関する国の責任】、第111条【医薬品政策の立案】、第112条【人口政策の立案】、第113条【失業時の保障、社会保障サービス、社会扶助及び社会福祉の施設】、第114条【年金に関する補完的な基金】、第115条【政府の保健部門の統合】、第116条【保健プログラムに関するコミュニティの義務及び権利】、第117条【住宅政策の立案】
第3編【個人的及び社会的な権利及び義務】
第6章【保健、社会保障及び社会扶助】
第109条 共和国の国民の健康を管理することは、国家の本質的な役割である。個人は、コミュニティの一員として、健康の増進、保護、維持、回復及びリハビリテーションを受ける権利を有する。また、完全な身体的、精神的及び社会的な福祉として捉えられる、健康を維持する義務を負うものとする。第110条 国は、保健の分野において、予防、治療及びリハビリテーションの機能を統合し、主として以下の活動を展開する責任を負う。:
(1)十分な食料の入手、消費及び生物学的な利用を促進することにより、全ての国民が最適な栄養状態を確保できるように、国の食料及び栄養に関する政策を立案すること。
(2)人及び環境の健康に関して、個人及び集団の義務及び権利に関する知識を普及する教育活動を通して、個人及び社会集団を養成すること。
(3)妊娠、授乳、幼児期及び青少年期の成長及び発達の過程における包括的なケアを保障し、母親、児童及び青少年の健康を保護すること。
(4)環境衛生、飲料水の供給施設の開発、予防接種、予防措置及び治療措置を、集団的又は個別的に、全ての国民に提供することにより、伝染病を撲滅すること。
(5)各地域の必要に応じて、全ての住民に総合的な保健サービスを提供し、医薬品を供給する施設を設置すること。これらの保健サービス及び医薬品は、資力に乏しい人々に無料で提供されるものとする。
(6)職場が満たさなければならない安全衛生条件の遵守を規制及び監督し、産業及び労働の医学及び衛生に関する国の政策を立案すること。
第111条 国は、全ての国民に対する医薬品の生産、供給、利用、品質及び管理を推進する、国の医薬品政策を立案するものとする。
第112条 国は、国家の社会的及び経済的な開発の必要に応じた、人口政策を立案する義務を負うものとする。
第113条 全ての個人は、働くことができない場合又は有給の雇用を得ることができない場合、生活するための経済的な手段を保障される権利を有する。社会保障サービスは、自治団体によって提供又は運営され、病気、出産、障害、家族手当、老齢、寡婦、孤児、強制失業、労働災害、職業病、並びにその他の社会福祉及び社会保障の対象となる不測の事態を網羅するものとする。法律により、必要に応じてこれらのサービスを設けることについて定めるものとする。
国は、社会扶助及び社会福祉の施設を設置する。扶養家族又は困窮者の経済的及び社会的な再建、並びに精神障害者、慢性疾患の患者、生活困窮者及び社会保障制度に加入していない集団のケアは、その基本的な任務である。
第114条 国は、年金に関する社会保障サービスを改善するために、公共企業及び民間企業の労働者の拠出及び参加により、補完的な基金を設置することができる。法律により、これに関する事項について定めるものとする。
第115条 政府の保健部門は、その自治機関及び半自治機関を含め、組織上及び運営上、統合するものとする。法律により、これに関する事項について定めるものとする。
第116条 コミュニティは、各種の保健プログラムの計画、実施及び評価に参加する義務及び権利を有するものとする。
第117条 国は、この社会的な権利の享受を全ての国民、特に低所得者層に提供することを目的とする、国の住宅政策を立案するものとする。
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