第130条【議員の退任事由】、第131条【立法議会の任務】、第132条【特別調査委員会に協力する義務、その結論の効力】
第6編【政府機関、権限及び管轄権】
第1章【立法機関】
第1節【立法議会】
第130条 議員は、以下の場合に退任するものとする。:(1)重大な犯罪の有罪判決が確定した場合。
(2)この憲法の第128条に規定する禁止事項に該当する場合。
(3)議会によって認められる、正当な理由なく辞任した場合。
これらの場合、選挙期間中、他の公職に就く資格を失うものとする。
第131条 立法議会は、以下の任務を負うものとする。:
(1)内部規則を制定すること。
(2)議員の証書を受領又は拒否し、憲法上の宣誓を受け、この憲法の定める場合にその責任を追及すること。
(3)議員から提出された辞任を審議し、それが正当かつ法的に証明された理由に基づく場合に、これを認めること。
(4)正規の議員の死亡、辞任、選挙の無効、一時的な休暇又は出席不能の場合に、補欠議員を召集すること。
(5)二次法を制定、公式に解釈し、改正及び廃止すること。
(6)衡平な比率により、あらゆる種類の商品、サービス及び収入に対する租税及びその他の賦課金を定めること。また、侵略、適法に宣言された戦争又は災害が発生した場合に、通常の公的収入が不足するときは、同じ比率で強制融資を命じるものとする。
(7)行政府が他国又は国際機関と締結した条約又は協定を批准し、又はその批准を拒否すること。
(8)行政の歳入及び歳出の予算並びにその修正を布告すること。
(9)公務員制度に従い、公務員及び従業員の官職を新設及び廃止し、給与を配分すること。
(10)給与の予算及び制度並びにその修正を、履行に必要な資金を保障することを唯一の目的として、共和国大統領と事前に協議の上で、承認すること。その予算が承認された後に、行政の歳入及び歳出の予算に組み込まれるものとする。
(11)文化、科学、農業、工業、商業又はサービス上の活動の推進のために、財政上の優遇措置及びインセンティブを、いかなる性質のものであれ、一般的な方法で命じること。
(12)公的債務の承認に関する法律を制定し、その支払いに必要な資金を調達及び配分すること。
(13)国家の通貨制度を整備及び規制し、外貨の流入及び流通について決議すること。
(14)憲法上の宣誓を受け、共和国大統領及び副大統領の役職に就任する市民に、法律に従い、これを付与すること。
(15)共和国大統領、副大統領及び被任命者が申請する休職及び休暇について、議会での個別の事前承認を経て、決議すること。
(16)憲法上の任期が満了した共和国大統領又はその代行者が、引き続き職務を執行している場合に、これを強制的に失職させること。その場合に、法的に大統領職に就くよう要請される者がいないときは、暫定大統領を任命するものとする。
(17)この憲法の定める場合及び順序に従い、その大統領任期の全期間において、公開の記名投票により、共和国大統領職を執行する2人の被任命者を選出すること。
(18)行政府が大臣を通して提出する業務報告書を受領し、承認又は拒否すること。
(19)公開の記名投票により、以下の公務員を選任すること。:最高裁判所長官及び裁判官、最高選挙裁判所長官及び裁判官、共和国会計裁判所長官及び裁判官、共和国検事総長、共和国司法長官、人権保護訟務長官並びに国家司法評議会の構成員。
(20)共和国大統領、副大統領及び議会の選任する公務員の身体的又は精神的な職務の執行不能を、議会の任命する5人の医師によって構成される委員会の全会一致の意見に従い、議員の3分の2以上の賛成によって宣言すること。
(21)この憲法に規定されていない場合に、各種の公務員の権限及び管轄権を定めること。
(22)祖国に提供された関連する役務に対して、現行の政府形態に相応する称号、名誉ある栄典及び報奨金を、個人又は集団に授与すること。
ただし、以下の公務員に対して、在任中にそのような称号、名誉及び報奨金を授与することを禁止する。:共和国大統領及び副大統領、国務大臣及び副大臣、立法議会議員並びに最高裁判所長官及び裁判官。
(23)サルバドル人に対して、外国政府から授与される名誉ある栄典を受領する許可を与えること。
(24)文化的又は科学的な活動又は業務に対して、一時的な許可又は特権を付与すること。
(25)行政機関から提出される報告に基づき、宣戦を布告し、講和を批准すること。
(26)政治犯罪若しくはこれに関連する一般犯罪又は20人以上の者が行った一般犯罪に対して、恩赦を与えること。また、最高裁判所の有利な報告に従い、赦免を与えること。
(27)この憲法の第29条に従い、公開の記名投票における議員の3分の2以上の賛成により、憲法上の保障を停止及び回復すること。
(28)サルバドル人に対して、エルサルバドルで執行される外交官又は領事の役職を受諾することを許可又は拒否すること。
(29)外国の部隊による共和国領域の通過、及び国際条約又は慣行で定められる期間を超える、他国の軍艦又は軍用機の駐留を許可又は拒否すること。
(30)この憲法の第120条に規定するコンセッションを承認すること。
(31)最高裁判所の推薦により、職員があらゆる種類の刑事、民事、商事、労働、行政訴訟、農事及びその他の事件を審理するために、管轄権を設定し、官職を設置すること。
(32)国家的な利害に関する事項を調査する特別委員会を任命し、その報告に基づいて、必要と認める決議又は勧告を採択すること。
(33)国家の象徴を定めること。
(34)大臣又は省庁担当者及び自治権を有する公共機関の長に対して、質問すること。
(35)第80条最終段に規定する不可抗力又は不測の事態を認定すること。
(36)共和国検事総長、人権保護訟務長官、共和国会計裁判所長官及びエルサルバドル中央準備銀行総裁が提出する業務報告書を受領すること。
(37)共和国大統領に対して、国務大臣の解任を勧告すること。また、特別委員会の調査又は尋問の結果、適当と認める場合に、自治権を有する公共機関の公務員の解任を、関連する機関に勧告すること。重大な人権侵害を理由として、国の公安機関又は情報機関の長に関する場合、議会の決議は拘束力を有する。
(38)この憲法の定めるその他の権限を行使すること。
第132条 自治権を有する公共機関の職員及び軍の隊員を含む、全ての公務員及び従業員は、立法議会の特別委員会に協力する義務を負う。また、これらの者及び前述の委員会が要求するその他の者の出頭及び供述は、訴訟において遵守されるのと同様の召喚状によって義務付けられる。
立法議会の特別調査委員会の結論は、裁判所を拘束するものではない。また、訴訟又は判決に影響を与えるものでもない。ただし、その結論が共和国検事総長に通知され、適切な訴訟が追行されることを妨げるものではない。
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