第168条【大統領の権限及び任務】、第169条【行政及び軍の公務員及び従業員の任命、解任、辞任の受諾及び休暇の付与】、第170条【外交官及び領事の代表職の要件】、第171条【大統領、副大統領、国務大臣及び副大臣の連帯責任】
第6編【政府機関、権限及び管轄権】
第2章【行政機関】
第168条 共和国大統領の権限及び任務:(1)憲法、条約、法律及びその他の法的規定を遵守及び執行すること。
(2)共和国の主権及び領域の保全を無事に維持すること。
(3)社会の調和を図り、国内の平和及び平穏、並びに社会の一員としての人間の安全を保障すること。
(4)国際条約を締結し、立法議会の批准に付し、その遵守を監督すること。
(5)対外関係を指揮すること。
(6)毎年度末から2カ月以内に、行政の業務に関する年次報告書を、大臣を通して立法議会に提出すること。また、財務大臣は、各会計期間の終了後3か月以内に、最終予算の一般会計並びに財政及び政府財産の状況に関する計算書を提出するものとする。
これらの任務が期間内に遂行されない場合、それを怠った大臣はその事実をもって解任される。これは直ちに共和国大統領に通知され、大統領は後任の大臣を任命する。この者は、その後30日以内に報告書を提出する。この場合においても規定が遵守されないときは、新しい大臣は解任されるものとする。
(7)秘密軍事計画の場合を除いて、立法議会が要求する報告を行うこと。共和国大統領は、秘密を保持する必要がある政治交渉について、秘密会議で審議するよう通告するものとする。
(8)法律を承認、公布、発行及び執行すること。
(9)司法府の公務員が判決を行うために必要な支援を提供すること。
(10)最高裁判所の報告及び賛成意見に基づいて減刑すること。
(11)法律に従い、軍を組織、指揮及び維持し、軍の階級を授与し、その士官の配属、任務又は除隊を命じること。
(12)国家の主権及び領域の保全を守るために軍を動員すること。例外的に、国内の平和、平穏及び公共の安全の維持のための通常手段が尽きた場合、共和国大統領は、この目的のために軍を動員することができる。軍の行動は、秩序を回復するために厳密に必要な期間及び範囲に限定される。この任務が達成され次第、終結するものとする。共和国大統領は、このような行動について立法議会に報告する。議会はいつでも、そのような例外的措置の中止を命じることができる。いかなる場合も、共和国大統領は、その終了後15日以内に、軍の行動に関する詳細な報告を立法議会に提出するものとする。
(13)戦争及び講和を指揮すること。後者の目的のために締結された条約は、直ちに立法議会に批准を要求するものとする。
(14)執行の責任を負う法律の適用を容易にし、保障するために必要な規則を制定すること。
(15)行政の効率的な運営及び実施を監督すること。
(16)立法議会が共和国大統領職に任命する2人の被任命者の、3人の候補者名簿を提案すること。
(17)人権を厳格に尊重し、文民当局の指揮の下で、都市部と農村部の両方において、平和、平穏、秩序及び公共の安全を守るために、国家文民警察を組織、指揮及び維持すること。
(18)国家情報機関を組織、運営及び維持すること。
(19)軍及び国家文民警察の妥当な人数を毎年設定すること。
(20)法律によって付与されるその他の権限を行使すること。
第169条 行政及び軍の公務員及び従業員の任命、解任、辞任の受諾及び休暇の付与は、行政機関の内部規則又は適用されるその他の法律及び規則に従うものとする。
第170条 共和国が信任する外交官及び領事の代表職は、出生によるサルバドル人でなければならない。
第171条 共和国大統領、副大統領、国務大臣及び副大臣は、権限を付与された行為について連帯して責任を負う。大臣会議で採択された決議について、決議が採択された直後に辞任しない限り、出席した大臣又はその代行者は、投票を保留したとしても責任を負うものとする。
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