第175条【行政機関の構成】、第176条【大統領の職務執行】、第177条【大統領及び副大統領の選挙及び任期】、第178条【大統領及び副大統領の多選制限】、第179条【大統領及び副大統領の要件】、第180条【大統領及び副大統領の欠格事由】、第181条【大統領及び副大統領の就任及び宣誓】、第182条【就任の場の特例】、第183条【大統領の専権事項】、第184条【大統領が大臣と共に行使する権限】、第185条【副大統領の権限】、第186条【国務大臣の副署】
第6編【行政機関】
第1章【共和国大統領及び副大統領】
第175条 行政機関は、この憲法の規定に従い、共和国大統領及び国務大臣によって構成される。第176条 共和国大統領は、自ら、若しくは各分野の大臣と共に、若しくは閣僚評議会の全ての大臣と共に、又はこの憲法の定めるその他の方法により、その職務を執行するものとする。
第177条 共和国大統領は、直接選挙による多数決で選出され、任期は5年とする。副大統領は、共和国大統領と共に、同じ方法及び任期で選出される。この憲法の規定に従い、大統領が不在の場合にその職務を代行するものとする。
第178条 大統領又は副大統領に選出された公務員は、直後の大統領任期の2期において同役職に再選することができない。
第179条 共和国大統領又は副大統領になるには、以下の要件を満たさなければならない。:
(1)出生によるパナマ人であること。
(2)35歳に達していること。
第180条 裁判所の執行力ある判決により、5年以上の拘禁刑に相当する悪意犯罪で有罪判決を受けた者は、共和国大統領及び副大統領に選出されないものとする。
第181条 共和国大統領及び副大統領は、選挙後の7月1日に国民議会において就任し、以下の宣誓を行うものとする。:「私は、神と祖国に対し、憲法及び共和国の法律を忠実に遵守することを誓います。」
宗教的な信仰を表明していない市民は、宣誓における神への言及を省略することができる。
第182条 何らかの理由で共和国大統領又は副大統領が、国民議会において就任することができない場合は、最高裁判所において就任する。それが不可能な場合は、公証人の面前で、それが不可能な場合は、2人の能力ある証人の面前で就任するものとする。
第183条 共和国大統領のみが、以下の権限を行使するものとする。:
(1)国務大臣を自由に任命及び解任すること。
(2)行政及び公共施設の業務を調整すること。
(3)公共の秩序の維持を保障すること。
(4)憲法又は臨時会を召集する政令で定める日に立法議会が開催されるよう、必要な措置を講じること。
(5)各議会の冒頭、通常会の初日に、行政に関するメッセージを提出すること。
(6)不適当又は執行不能という理由で、法案に反対すること。
(7)第186条に基づき、国務大臣が発行した命令又は規定を無効とすること。
(8)憲法又は法律に基づくその他の権限。
第184条 共和国大統領が、関連する大臣と共に行使する権限は、以下の通りである。:
(1)法律を制定及び公布し、これを遵守し、その厳格な遵守を保障すること。
(2)警察庁の長官及びその他の構成員を任命及び解任し、そのサービスの利用について定めること。
(3)県知事を自由に任命及び解任すること。
(4)立法機関によって補充される役職の欠員を、立法機関に報告すること。
(5)国家の収入の徴収及び管理を監督すること。
(6)他の公務員又は団体が補充しない国の役職又は雇用に就く者を、第11編の規定に従って任命すること。
(7)共和国大統領の就任日が議会の開始日と重ならない限り、最初の年の議会の最初の1か月以内に、国の一般予算案を立法機関に送付すること。この場合、共和国大統領は、会期の開始後40日以内にこれを行うものとする。
(8)この憲法及び法律の規定に従い、サービスの提供及び公共工事の実施のための行政契約を締結すること。
(9)外交関係を指揮し、国際条約及び協定を締結し、これを立法機関に提出して審議させ、外交官及び領事館職員を信任及び接受すること。
(10)この憲法に定めるサービスを指揮、規制及び検査すること。
(11)自治団体、半自治団体及び国営企業の長、理事及び管理者を、その法律の規定に従って任命すること。
(12)政治犯罪に対する恩赦を命じ、一般犯罪の受刑者に対して減刑し、仮釈放を認めること。
(13)警察官に対して、その序列及び関連する法的規定に従って昇任を認めること。
(14)いかなる場合も、その条文又は精神から逸脱することなく、法律のよりよい執行のために必要な規制を行うこと。
(15)外国政府の役職に就くことを希望する国民に対して、法律に基づき必要な場合にその許可を与えること。
(16)この憲法及び法律に従い、その他の権限を行使すること。
第185条 共和国副大統領は、以下の権限を行使する。:
(1)共和国大統領が一時的又は確定的に不在の場合に、その職務を代行すること。
(2)閣僚評議会の会議に出席すること。ただし、発言権はあるが、投票権はない。
(3)共和国大統領が決定する事項について、大統領に助言すること。
(4)公的行為、国内外の会議、又は共和国大統領から委任された特別任務において、大統領を補佐及び代理すること。
第186条 共和国大統領の行為は、大統領が単独で行うことができるものを除いて、その責任を負う国務大臣が副署しなければその効力を生じない。
共和国大統領の指示により、国務大臣が発行した命令及び規定は拘束力を有する。共和国大統領のみ、上訴を妨げることなく、憲法又は法律に反するという理由でこれを無効にすることができる。
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