第201条【司法の運営】、第202条【司法機関の構成】、第203条【最高裁判所の構成、最高裁判所裁判官の欠格事由】、第204条【最高裁判所裁判官の要件】、第205条【司法府の職員の欠格事由】、第206条【最高裁判所の権限】、第207条【最高裁判所の判決に対する違憲訴訟の禁止】、第208条【上級裁判官の兼職禁止】、第209条【裁判官の任命】、第210条【裁判官の独立、上位者の決定の遵守】、第211条【裁判官の身分保障】、第212条【司法府の職員の兼職禁止】、第213条【最高裁判所裁判官の報酬、司法府の雇用の廃止】、第214条【司法府及び検察庁の予算】、第215条【訴訟法の原則】、第216条【裁判官の不逮捕特権】、第217条【法律扶助】、第218条【陪審裁判の設置】
第7編【司法の運営】
第1章【司法機関】
第201条 司法の運営は、無料で、迅速かつ中断されることがない。あらゆる訴訟の管理及び遂行は、普通の書面によって行われ、いかなる税金も課されない。裁判官及び司法府の職員の休暇は、その裁判所の継続的な運営を妨げてはならない。
第202条 司法機関は、最高裁判所及び法律の定める裁判所で構成される。司法の運営は、法律の定める仲裁裁判権によっても行使することができる。仲裁裁判所は、その管轄権について審理及び決定することができる。
第203条 最高裁判所は、法律の定める人数の裁判官によって構成される。立法機関の承認を得て、閣僚評議会の同意によって任命され、その任期は10年とする。裁判官の確定的な不在は、その任期の残りの期間、新たな任命によって補充されるものとする。
各裁判官に、正規の裁判官と同じ方法で、同じ任期で任命される補欠裁判官を置くものとする。この補欠裁判官は、法律に従い、正規の裁判官が不在の場合にその職務を代行する。補欠裁判官として任命できるのは、司法機関に勤務する司法職の公務員に限られる。
2年ごとに2人の裁判官を任命する。ただし、裁判所の裁判官の人数により、2人を超える裁判官又は2人未満の裁判官を任命する場合を除く。裁判所の裁判官の人数を増員する場合は、そのために必要な任命を行うものとする。その法律により、期間をずらして任命する原則を維持するための適切な規定を設けるものとする。
以下の者は、最高裁判所裁判官に任命されない。:
(1)現憲法下で共和国議員又は補欠議員を務める者、又は務めたことのある者。
(2)現憲法下で行政機関の指揮及び監督の権限を行使している者、又は行使したことのある者。
法律により、裁判所を各3人の常勤裁判官で構成される法廷に分割するものとする。
第204条 最高裁判所裁判官になるには、以下の要件を満たさなければならない。:
(1)出生によるパナマ人であること。
(2)35歳に達していること。
(3)市民的及び政治的な権利を完全に享受していること。
(4)法学の学位を有し、法律の定める事務所に大学の学位を登録していること。
(5)司法機関、検察、選挙裁判所又はオンブズマン事務所において、弁護士の職務、法学の大学学位が必要な職務、又は大学の教育施設において法学部の教授職を、その区別なく10年間務めたことがあること。旧憲法の規定に従って付与された、最高裁判所裁判官の資格の効力は認められる。
第205条 裁判所によって言い渡される執行力ある判決により、悪意犯罪の有罪判決を受けた者は、司法府のいかなる役職にも就くことができない。
第206条 最高裁判所は、憲法上及び法律上の権限のうち、以下のものを有する。:
(1)憲法の完全性を保護すること。そのために、裁判所は、法律、政令、合意、決議及びその他の行為の違憲性について、実質的又は形式的な理由で何人かが提訴した場合、国の司法長官又は行政訟務長官の意見を聞いて、大法廷で審理及び決定するものとする。
訴訟において、司法の執行を行う公務員が、その事件に適用される法律又は規制の規定が違憲であることを知り、又は当事者の一方から指摘されときは、その規定が裁判所によって既に宣言されている場合を除いて、この問題を大法廷に提出し、判決の準備が整うまで、その事件の審理を継続するものとする。
当事者は、そのような指摘を1回の審理につき1回のみ行うことができる。
(2)公務員並びに国、県、基礎自治体並びに自治団体又は半自治団体の当局が、職務を執行する際に、又は職務の執行を口実として、執行、採択、発行又は実施した行為、不作為、公共サービスの提供の欠陥若しくは不足、決議、命令又は規定に関する行政訴訟の管轄権。そのために、最高裁判所は、行政訟務長官の意見を聞いて、違法と告発された行為を無効とし、侵害された私権を回復し、告発された規定に代わる新たな規定を設け、行政行為の意味及び範囲又はその法的価値について、予備的な判決を言い渡すことができる。
行政訴訟管轄権については、問題の行為、決議、命令又は規定によって影響を受ける者、及び公的行為に関して国内に居住する自然人又は法人が提訴することができる。
(3)議員の調査及び告発。最高裁判所大法廷は、調査のために調査官を任命する。本条に規定する権限の行使における裁判所の決定は、最終的、確定的で、拘束力を有し、官報に掲載されるものとする。
第207条 最高裁判所又はその法廷の判決に対しては、違憲訴訟又は憲法上の保障のアンパロ裁判は認められない。
第208条 上級裁判官は、大学の教育施設における法学の教授を除いて、その他の公職に就くことができない。
第209条 法律により設置される裁判所において、上級裁判官は、最高裁判所によって任命される。また、下級の裁判官は、その上位の裁判官によって任命される。下級職員は、それぞれの裁判所又は裁判官によって任命される。そのような任命は全て、第11編の規定に従い、司法職制に従って行われるものとする。
第210条 裁判官は、職務の執行において独立し、憲法及び法律にのみ服する。ただし、下位者は、上位者が言い渡した判決を上訴で取り消し、又は修正する場合、上位者が下した決定を遵守する義務を負う。
第211条 裁判官は、法律の定める場合及び手続きに従う場合を除いて、その職務の執行について、解任、停職され、又は異動させられることはない。
第212条 司法府の職務は、第208条に規定する場合を除いて、選挙における投票を除く政治への参加、弁護士業又は商業の業務及びその他の報酬がある役職とは両立しない。
第213条 最高裁判所裁判官の給与及び手当は、国務大臣の給与を下回ってはならない。司法府における雇用の廃止は全て、その任期の終了時に効力を生じる。
第214条 最高裁判所及び国の司法長官は,司法府及び検察庁の予算を作成し、公共部門の一般予算案に組み込むために、適宜行政機関に提出するものとする。裁判所長官及び司法長官は、全ての段階において、その予算案を支持することができる。
司法府及び検察庁の予算は、合わせて中央政府の経常収入の2%を下回ってはならない。
ただし、この金額が司法府及び検察庁が提案する基本的な必要を賄うために必要な金額を上回る場合、行政機関は、その余剰分を中央政府の予算案のその他の支出項目又は投資項目に含め、国民議会が適切なものを決定できるようにするものとする。
第215条 制定する訴訟法は、特に以下の原則に基づくものとする。:
(1)手続きの簡素化、経済性、及び形式的な手続きの排除。
(2)手続きの目的は、実体法に定める権利の承認である。
第216条 裁判官は、裁判権を有する司法当局の書面の命令による場合を除いて、拘禁又は逮捕されない。
第217条 法律により、経済的事情で自ら法律相談及び弁護を受けることができない者に対して、そのために設置される公共機関及び国によって承認される弁護士の職能団体を通して、これらを提供する手段を仲裁するものとする。
第218条 陪審裁判を設置する。法律により、この制度によって決定される事件について定めるものとする。
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