第232条【基礎自治体の性質】、第233条【基礎自治体及び行政機関の責任、地方分権】、第234条【基礎自治体当局の義務】、第235条【国の行政当局は基礎自治体の公務員を停職又は免職できない】、第236条【非常事態における国による基礎自治体行政の補完】、第237条【基礎自治体議会の設置】、第238条【基礎自治体の合併又は連合】、第239条【市民の発議及び国民投票の権利】、第240条【基礎自治体の専門管理官制度による統治】、第241条【基礎自治体の首長及び副首長】、第242条【基礎自治体議会の権限】、第243条【首長の権限】、第244条【首長の報酬】、第245条【基礎自治体税】、第246条【基礎自治体の財源】、第247条【基礎自治体企業又は合弁企業の設立】、第248条【基礎自治体税の免除】、第249条【基礎自治体の融資契約】、第250条【共同体委員会の設置】、第251条【共同体委員会の構成】
第8編【基礎自治体及び県の政府】
第2章【基礎自治体の政府】
第232条 基礎自治体は、郡内に設置されるコミュニティの自治的な政治組織である。基礎自治体の組織は民主的で、地方政府の行政の本質的な性質に応えるものでなければならない。
第233条 基礎自治体は、独自の民主的で自治的な政府を持つ、国家の政治行政部門の基本的な団体として、公共サービスを提供し、法律の定める公共工事を施工し、その区域の開発を組織し、市民参加を促進し、住民の社会的及び文化的な向上を図り、憲法及び法律の付与するその他の職務を遂行する責任を負う。
行政機関は、自治、補完性、公平性、平等性、持続可能性及び効率性の原則に基づき、基礎自治体の地域性、人口及び基本的な必要を考慮した上で、パナマ国家が推進及び実施する権限及び公務の分権化プロセスの中で、これらの目的の遂行を保障するものとする。
法律により、行政の分権化の方法、並びにこの規定を遵守するための権限及び財源の移譲について定めるものとする。
第234条 基礎自治体の当局は、憲法及び共和国の法律、行政府の政令及び命令、並びに通常裁判所及び行政裁判所の決定を遵守及び執行する義務を負うものとする。
第235条 国の行政当局は、基礎自治体の公務員を停職又は免職にすることはできない。
第236条 国は、伝染病、公共の秩序の重大な混乱又はその他の一般的な利益のために、基礎自治体の行政が不十分な場合は、法律の定める方法により、その行政を補完するものとする。
第237条 各郡に、その郡内で選出される全ての郡区代表で構成される、基礎自治体議会と称する組織を設置する。郡内に郡区が5つ未満である場合、法律の定める手続き及び比例代表制に従い、直接選挙によって選出するものとする。この場合、基礎自治体議会の議員数は5人とする。
議会は、その議員の中から議長及び副議長を選任する。後者は、前者が不在の場合にその職務を代行するものとする。
第238条 住民の発議及び議会の投票により、2つ以上の基礎自治体は、共通の利益のために合併又は連合を要求することができる。法律により、その手続きについて定めるものとする。
県内の基礎自治体は、同様の要件により、共通の会計課及び財政課を設置して、その組織を統合することができる。この場合、基礎自治体協議会を設置することができる。その構成は、法律によって定めるものとする。
第239条 市民は、議会の権限に属する事項に関して、発議及び国民投票の権利を有する。
第240条 法律により、基礎自治体の経済力及び人的資源に応じて、基礎自治体の定めるサービスを提供するための専門管理官制度による統治について定めることができる。
第241条 各郡内に、基礎自治体の行政の長である首長及び副首長を置く。直接選挙によって選出され、その任期は5年とする。
第242条 基礎自治体議会は、法律の定めるその他の職務を損なうことなく、以下の事項に関して、基礎自治体の協定及び決議を発行、修正、改正及び廃止することができる。:
(1)首長室が作成する、基礎自治体の歳入及び歳出の予算の可決又は否決。
(2)首長が提案する、基礎自治体の行政機構の決定。
(3)基礎自治体の行政の監督。
(4)コンセッション及びその他の公共サービス提供方法、並びに基礎自治体の公共工事の施工に関する契約の締結の承認又は拒否。
(5)法律に従い、租税を承認又は廃止すること。
(6)基礎自治体の公共サービスの提供の新設又は廃止。
(7)基礎自治体議会に勤務する、基礎自治体の公務員の任命、停職及び解任。
(8)首長による基礎自治体会計官の任命の承認。
(9)法律に基づく、基礎自治体の権限に関連する事項。
基礎自治体協定は、その基礎自治体内において法律の効力を有する。
第243条 首長は以下の権限を有する。:
(1)協定案、特に歳入及び歳出の予算案を提出すること。
(2)予算及び会計規則に従い、地方行政の支出を命じること。
(3)第11編の規定に従い、その任命が他の当局の権限に属さない、基礎自治体の公務員を任命及び解任すること。
(4)基礎自治体コミュニティの進歩を促進し、公務員の任務の遂行を保障すること。
(5)法律によって付与されるその他の権限を行使すること。
第244条 首長は、その職務の報酬を受け取る。その報酬は、法律の規定に従い、国庫又は基礎自治体の会計課が負担するものとする。
第245条 郡外に影響を与えない租税は、基礎自治体税とする。ただし、法律により、そのような影響を与える租税であっても、基礎自治体税とする例外について定めることができる。これに基づき、法律により、国と基礎自治体の歳入及び歳出を適切に区分して定めるものとする。
第246条 前条に基づき、法律によって定めるものに加えて、以下ものを基礎自治体の財源とする。:
(1)その地域又はエヒードの収入及びその財産からの収入。
(2)商品及びサービスの利用料。
(3)公的な興行に関する租税。
(4)アルコール飲料の販売に関する租税。
(5)砂、砕石、凝灰岩、粘土、サンゴ、砂利及び石灰岩の採取に関する、法律の定める租税。
(6)基礎自治体の当局が科す罰金。
(7)国の補助金及び寄付金。
(8)木材の伐採並びに森林の開発及び伐採に関する租税。
(9)牛及び豚のと殺に関する租税。この租税は、家畜の出荷地である基礎自治体に納付するものとする。
第247条 基礎自治体は、商品又はサービスの開発のために、基礎自治体企業又は合弁企業を設立することができる。
第248条 国は、基礎自治体の租税を免除することはできない。基礎自治体は、基礎自治体協定によってのみ、これを行うことができる。
第249条 基礎自治体は、行政機関の事前の認可を得て、融資を契約することができる。法律により、その手続きについて定めるものとする。
第250条 各郡区に、共同体の開発を推進し、その問題の解決を保障する共同体委員会を設置する。
共同体委員会は、自主的な調停の職務及び法律の定めるその他の職務を執行することができる。
第251条 共同体委員会は、委員長である郡区代表、及び法律の定める方法で選出される、郡区に居住する4人の市民によって構成される。
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