第282条【経済活動の主体】、第283条【法律で定める措置】、第284条【国による企業への介入】、第285条【国内の民間公益企業の株主】、第286条【国による公益事業体の設立】、第287条【地域開発のための自治機関又は半自治機関の設置】、第288条【協同組合の振興及び監督】、第289条【土地利用の規制】、第290条【外国による領域支配の禁止】、第291条【外国人の所有が禁止される土地】、第292条【譲渡できない財産及び償還できない債務の不存在】、第293条【小売業に従事することができる者】、第294条【卸売業】、第295条【独占の禁止】、第296条【狩猟、漁労及び森林の利用】、第297条【国によるギャンブルの独占】、第298条【市場における自由競争】
第10編【国民経済】
第282条 経済活動の実施は、基本的に私人の責任である。ただし、国は、国富を増大させ、可能な限り多数の国民にその利益を保障することを目的として、社会的な必要に応じて、本編の規定の範囲内で、これを指導、指揮、規制、代替又は創造するものとする。国は、専門の機関又は部局を通して、経済的及び社会的な開発を計画する。その組織及び職務は、法律によって定めるものとする。
第283条 前条の目的を達成するために、法律により、以下の措置を講じることを定めるものとする。:
(1)技術者又は専門家の委員会を設置し、あらゆる種類の経済活動の条件及び可能性を調査し、その発展のための勧告を立案すること。
(2)前項に規定する勧告に従って活動する民間企業の設立を促進し、国営企業を設立し、国が参画する合弁企業の設立を促進すること。社会的な必要並びに公共の安全及び利益を実現するために、国営企業を設立することができる。
(3)小規模な経済活動に従事する人々に便宜を供与するために、信用機関及び振興機関を設立し、又はその他の適当な手段を定めること。
(4)商業、農業、畜産業及び観光業、並びに手工芸を含む職業及び芸術の教育、並びに専門的な労働者及び工業経営者の養成のために、理論的・実践的な施設を設立すること。
第284条 国は、この憲法に規定する社会正義を実現するために、特に以下の目的のために、法律の定める規制の範囲内で、あらゆる種類の企業に介入するものとする。:
(1)租税、サービス、及びあらゆる性質の物品、特に基礎的な必需品の価格について、特別機関によって規制すること。
(2)サービスの適正な効率性、及び前項に規定する物品の適切な品質を要求すること。
(3)サービス及び物品の生産を調整すること。法律により、基礎的な必需品に該当する物品を定義するものとする。
第285条 国内で活動する民間の公益企業の株主の過半数は、法律の定める例外を除いて、パナマ人でなければならない。法律により、これを定義するものとする。
第286条 国は、自治団体若しくは半自治団体を通して、又はその他の適当な手段により、公益事業体を設立するものとする。
同様の方法で、集団的な福祉のために必要な場合に、接収及び補償により、私人が所有する公益企業の支配権を、法律によって認められる限り、引き受けるものとする。
第287条 国は、社会的及び経済的な開発の程度によって必要とされる地域に、その分野又は地域の総合的な開発を推進し、基礎自治体議会又はそれらの協議会と協力して国及び基礎自治体のプログラムを調整する、国、地域又は基礎自治体の自治機関又は半自治機関を設置することができる。法律により、これらの開発事業体の組織、管轄、資金調達及び監督について定めるものとする。
第288条 国は、協同組合を振興及び監督する義務を負う。そのために、必要な機関を設置するものとする。法律により、その組織、職務、認定及び登録のための特別制度について定めるものとする。これは無料とする。
第289条 国は、土地の最適な利用を保障するために、その潜在的な利用及び国の開発計画に従い、土地の適切な利用を規制するものとする。
第290条 外国の政府又は外国の公的若しくは準公的な団体若しくは機関は、法律の規定に基づく大使館本部の場合を除いて、国の領域のいかなる部分に対しても、支配権を取得することができない。
第291条 外国の自然人又は法人、及びその株主の全部又は一部が外国人である国内法人は、国境から10キロメートル未満の場所にある国有地又は私有地の所有権を取得することができない。
島の領域は、国の開発の特定の目的のために、以下の条件の下でのみ、これを譲渡することができる。:
(1)政府のプログラムの戦略的又は保留的な地域とみなされない場合。
(2)国家の安全が保障されることを条件に、特別開発地域と宣言され、その利用に関する法律が制定されている場合。
島の領域の譲渡は、公共の用に供する財産の国の所有権に影響を与えない。前述の場合において、この憲法が施行された時に正当に取得されていた権利は、尊重されるものとする。ただし、それらの財産は、十分な補償金の支払いを条件として、いつでも収用することができる。
第292条 第62条及び第127条に規定する場合を除いて、自由に譲渡できない財産及び償還できない債務は存在しない。ただし、譲渡する権利の一時的な制限、及び債務の償還を停止又は延期する条件又は方式は、最長20年間有効とする。
第293条 以下の者のみ、小売業に従事することができる。:
(1)出生によるパナマ人。
(2)この憲法が施行される時に、帰化している、パナマ国籍者と婚姻しているか、又はパナマ国籍者との間に子がいる個人。
(3)帰化によるパナマ人で、前述の場合に該当しない者は、その確定証明書を取得した日から3年後。
(4)この憲法の施行日において、法律に基づき小売業に従事していた国内又は外国の法人及び外国の自然人。
(5)パナマ人、又は本条に基づいて個別に、小売業に従事する権限を付与された外国人によって設立される法人、及びここに明記する方法で設立されることなく、この憲法が施行される時に小売業に従事していた法人。ただし、小売業に従事する認可を受けていない外国人は、自ら生産した製品を販売する会社の株式を保有することができる。
小売業に従事するとは、消費者への販売、製造及び貿易の企業の代表若しくは代理、又は法律がそのような業種に分類するその他の活動に従事することを意味する。農家又は手工業者がその生産物を販売する場合は、例外とする。法律により、本条に基づいて小売業に従事することができない者が、仲介業者を通して、又はその他の不正な方法でこれを行うことを防止するために、監督及び罰則の制度について定めるものとする。
第294条 卸売業は、前述の小売業の規定が適用されないもので、自然人又は法人が行うことができるものと解される。
ただし、パナマ人による卸売業を保護する必要がある場合は、法律により、外国人による卸売業を制限することができる。ただし、この制限は、その規定が施行される時に、適法に卸売業に従事している外国人に対して、いかなる場合も不利益を与えてはならない。
第295条 商業及び工業において、自由な取引及び競争を制限し、又は不可能にし、公衆に不利益をもたらす独占の効果を有する合併、契約又は活動は、禁止される。
これには、単一の自然人であれ法人であれ、小売店舗の系列又はチェーンを、小規模な商業者又は工業者の競争を破綻させ、又は排除する方法で運営することが含まれる。
独占的な慣行の確立を目的とするあらゆる合併、契約及び活動に対して、裁判所に不服を申し立てる集団訴訟を提起することができる。法律により、これに関する事項について定めるものとする。
第296条 法律により、狩猟、漁労及び森林の利用を、それらの再生及び利益の永続性を保障するように規制するものとする。
第297条 運と偶然のゲーム及びギャンブルを生み出す活動の利用は、国によってのみ実施される。
法律により、それらのゲーム及びギャンブルを生み出すあらゆる活動を、いかなる種類であれ、規制するものとする。
第298条 国は、市場における自由な経済活動及び自由競争を保障しなければならない。
法律により、これらの原則を保障するための方法及び条件について定めるものとする。
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