第38条【集会する権利】、第39条【会社、社団及び財団の設立】、第40条【職業選択の自由】、第41条【請願権】、第42条【個人情報をコントロールする権利】、第43条【公的な情報にアクセスする権利】、第44条【ヘイビアス・データ訴訟】、第45条【聖職者の公職就任の制限】、第46条【法律の不遡及】、第47条【私有財産の保障】、第48条【私有財産の所有者の責任、収用】、第49条【商品及びサービスに対する権利】、第50条【公共の利益及び社会的利益の優先】、第51条【緊急時の私有財産の制限】、第52条【租税法律主義】、第53条【著作者、芸術家及び発明者の権利】、第54条【公務員の命令に対する取消権】、第55条【緊急事態宣言】
第3編【個人的及び社会的な権利及び義務】
第1章【基本的な保障】
第38条 共和国の住民は、適法な目的のために、武器を持たずに平和的に集会する権利を有する。屋外でのデモ又は集会は許可制ではなく、24時間前までに地方行政当局に通知するだけでよい。当局は、この権利の行使が、交通の混乱、公共の秩序の撹乱又は第三者の権利の侵害を引き起こし、又はその恐れがある場合、この権利の行使の濫用を防止又は抑止するための警察措置を講じることができる。
第39条 道徳又は法秩序に反しない会社、社団及び財団の設立は許可され、法人として認可を受けることができる。
人種若しくは民族集団の優越性の主張に基づく思想若しくは理論に感化された社団、又は人種差別を正当化若しくは助長する社団に対して、いかなる認可も与えてはならない。
会社及びその他の法人の能力、認可及び制度は、パナマの法律によって定めるものとする。
第40条 全ての人は、適性、道徳、社会福祉及び社会保障、職能団体への加入、公衆衛生、労働組合への加入並びに強制拠出金に関して法律の定める規制の下で、いかなる専門職又は職業も自由に営むことができる。
自由な専門職、職業及び技能の実践に対して、いかなる租税も課されない。
第41条 全ての人は、社会的又は私的な利益のために、公務員に対して、敬意をもって請願及び苦情を提出し、迅速な解決を得る権利を有する。請願、相談及び苦情を提出された公務員は、30日以内に解決するものとする。
法律により、この規定に違反した場合の罰則について定めるものとする。
第42条 全ての人は、公的及び私的なデータベース又は登録簿に含まれる個人情報にアクセスし、法律の規定に従い、その修正及び保護並びに削除を要求する権利を有する。
これらの情報は、法律の規定に基づき、その所有者の同意がある場合、又は管轄当局の命令により、特定の目的のためにのみ収集することができる。
第43条 全ての人は、公務員又は公共サービスを提供する者が保有するデータベース又は登録簿に含まれる、一般に公開され、又は集団的な利益を有する情報を、書面の規定及び法律によってアクセスが制限されていない限り、請求する権利を有する。また、その公正な取扱い及び修正を要求する権利を有する。
第44条 全ての人は、公的又は私的なデータバンク又は登録簿に収集された、個人情報へのアクセス権を保障するために、ヘイビアス・データ訴訟を提起することができる。ただし、後者の場合は、公衆にサービスを提供する企業又は情報提供に従事する企業と取引している場合に限る。
この訴訟は、この憲法の規定に従い、公的情報へのアクセス権又は自由なアクセス権を行使するために、同様の方法で提起することができる。ヘイビアス・データ訴訟は、個人的な性質の情報又はデータの訂正、更新、修正、削除又は秘密保持を請求するために提起することができる。法律により、ヘイビアス・データ訴訟を審理する管轄裁判所について定めるものとする。簡易な手続きにより、法定代理人を必要とすることなく、審理するものとする。
第45条 宗教団体の聖職者は、その使命に属する職務に加えて、社会福祉、教育又は科学研究に関する公職にのみ就くことができる。
第46条 法律は、公共の秩序又は社会的利益のために明記されている場合を除いて、遡及効を有しない。刑事上の事項に関しては、執行可能な判決がある場合であっても、常に被告人に有利な法律が優先し、遡及適用されるものとする。
第47条 法人又は自然人が法律に従って取得した私有財産は保障される。
第48条 私有財産は、その社会的機能により、その所有者が義務を負う。
法律で定義する公共の利益又は社会的利益のために、収用は特別裁判及び補償をもって行うことができる。
第49条 国は、全ての人が、質の高い商品及びサービス、並びに入手する商品及びサービスの性質及び内容に関する真実かつ明瞭で十分な情報を取得し、選択の自由及び公平かつ尊厳ある取扱いの条件に対する権利を認め、保障するものとする。
法律により、これらの権利を保障するために必要な機構、その教育、消費者及び利用者の権利の保護手続、発生した損害の補償、並びにこれらの権利の侵害に相当する罰則について定めるものとする。
第50条 公共の利益又は社会的利益のために制定された法律の適用により、私人の権利が同法の認める必要と矛盾する場合、私人の利益は、公共の利益又は社会的利益に譲歩するものとする。
第51条 戦争、公共の秩序の重大な混乱又は緊急の社会的利益のために迅速な措置が必要な場合、行政府は、私有財産の収用又は占有を命じることができる。
占有する対象物の返還が可能な場合、占有は、その原因となった状況の存続期間のみとする。
国は、行政府がこのようにして行った収用、及び占有によって生じた損害について、常に責任を負うものとする。収用又は占有の理由が消滅した場合は、その対価を支払わなければならない。
第52条 何人も、法律で定められていない、その徴収が法律の定める方法によって行われない租税を支払う義務を負わない。
第53条 全ての著作者、芸術家又は発明者は、その作品又は発明の独占的な所有権を、法律の定める期間及び方法で享受するものとする。
第54条 公務員により、この憲法に掲げる権利及び保障に反して、行為又は不作為を命令され、又は執行された者は、自己又は他者の請求により、その命令の取消しを求める権利を有する。本条に規定する憲法上の保障のアンパロ裁判は、簡易な手続きによって処理され、裁判所の管轄に属するものとする。
第55条 対外戦争又は平和及び公共の秩序を脅かす内乱の場合、共和国の全域又は一部に緊急事態を宣言し、憲法第21条、第22条、第23条、第26条、第27条、第29条、第37条、第38条及び第47条の効力を、部分的又は全面的に、一時的に停止することができる。
緊急事態及び前述の憲法の規定の効力停止は、行政機関が閣僚評議会の同意を得た政令によって宣言する。立法機関は、前述の緊急事態の宣言が10日以上継続する場合、その権限により、又は共和国大統領の要請により、これを審議し、緊急事態に関連して閣僚評議会が採択した決定の全部又は一部を承認し、又は取り消す。緊急事態を宣言した原因が消滅した場合、会期中であれば立法機関が、そうでなければ閣僚評議会が緊急事態を解除するものとする。
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