第40条【職業訓練制度の整備、徒弟契約】、第41条【家内労働者の権利】、第42条【女性労働者の権利】、第43条【労働災害及び職業病の労働者に対する補償】、第44条【職場が満たすべき条件、労働及び社会保障に関する専門検査局】、第45条【農業労働者及び家事労働者の保護】、第46条【労働者が所有する銀行の奨励】、第47条【職能団体及び労働組合の結成】、第48条【使用者のロックアウト権及び労働者のストライキ権】、第49条【労働特別裁判所及び行政調停仲裁特別委員会の設置】、第50条【社会保障の提供】、第51条【労働者及びその家族の福祉について義務を負う企業及び事業所】、第52条【労働者の権利は放棄できない、本章の権利は限定列挙ではない】
第2編【人間の基本的な権利及び保障】
第2章【社会的な権利】
第2節【労働及び社会保障】
第40条 人材の訓練及び資格取得のために、職業訓練制度を整備する。法律により、この制度を実施する範囲、程度及び方法について定めるものとする。
徒弟契約は、徒弟の職業教育、尊厳ある待遇、衡平な報酬並びに社会福祉及び社会保障の給付を保障することを目的とし、法律によって規制されるものとする。
第41条 家内労働者は、公的に定められる最低賃金、及び使用者による業務の発注若しくは受領の遅延、又はその恣意的若しくは不当な中断を理由とする逸失時間に対する補償金の支払いを受け取る権利を有する。家内労働者は、その労働の特殊性を考慮して、その他の労働者と同様の法的地位を認められるものとする。
第42条 女性労働者は、産前及び産後に有給休暇を取得し、雇用を維持される権利を有する。
法律により、使用者が労働者の子どものために、託児所及び保育施設を設置及び維持する義務について定めるものとする。
第43条 使用者は、労働災害又は職業病に苦しむ労働者に対して、補償金を支払い、法律の定める医療、医薬品及びその他のサービスを提供する義務を負うものとする。
第44条 法律により、作業場、工場及び職場が満たすべき条件について定めるものとする。
国は、労働、生活保護、社会福祉及び社会保障に関する法規の忠実な遵守を監督し、その結果を検査し、適切な改正を提案する責任を負う専門検査局を運営するものとする。
第45条 農業労働者及び家事労働者は、賃金、労働時間、 休憩、休暇、社会保障、退職手当及び一般の社会的給付に関して、保護される権利を有する。前述の権利の範囲及び性質は、労働の条件及び特殊性に応じて、法律によって定めるものとする。工業及び商業の企業、並びに社会的な事業体及びその他の類似の事業体において家事的性質のサービスを提供する者は、肉体労働者とみなされ、そのような労働者に認められる権利を有するものとする。
第46条 国は、労働者が所有する銀行の設立を奨励するものとする。
第47条 民間企業の使用者及び労働者は、国籍、性別、人種、信条又は政治的思想に関係なく、その活動又は従事する労働の性質に関係なく、職能団体又は労働組合を結成することにより、その利益を保護するために自由に団結する権利を有する。自治権を有する公共機関の労働者、公務員及び従業員並びにムニシピオの職員も、同様の権利を有するものとする。
前段に掲げる権利は、以下の者には適用されない。この憲法の第219条第3段及び第236条に規定する公務員及び従業員、軍及び国家文民警察の隊員、並びに司法職員及び公務員で、意思決定権を行使する者、管理職にある者又はその職務が高度な機密性を有する者である。
検察庁の場合、これを構成する各機関の長のほか、その副官、補助的な職員、副検察官、労働検察官及び代理人は、団結権を享受しない。
そのような組織は法人格を有し、職務を執行する際に、正当に保護される権利を有する。解散又は停止は、法律の定める場合及び手続きによってのみ命じることができる。
農村及び都市における専門職組織及び労働組合の、組織の構成及び運営に関する特別規則は、結社の自由を制限してはならない。いかなる除外規定も禁止される。
労働組合の執行部の構成員は、出生によるサルバドル人でなければならない。それらの者に対して、その選任及び委任の期間中、並びにその職務を退任してから1年が経過するまでは、権限ある当局によって事前に認定された正当な理由がある場合を除いて、解雇、懲戒による停職、異動又は労働条件の改悪をしてはならない。
また、本条第1段最後に規定する労働者及び従業員は、法律に従い、団体交渉の権利を有することを認められる。集団的な労働契約は、締結された翌会計年度の初日から効力を生じる。特別法により、これに関する事項について定めるものとする。
第48条 使用者のロックアウト権及び労働者のストライキ権は、法律の定める必要不可欠な公共サービスを除いて、認められる。これらの権利の行使については、法律の定める平和的解決の段階を経て、これらを発生させた紛争の解決を求めた後であれば、事前の認定を要しない。ストライキ又はロックアウトの効力は、その開始時に遡及する。
法律により、これらの権利の条件及び行使を規制するものとする。
第49条 労働特別裁判所を設置する。労働問題の訴訟は、紛争の迅速な解決を可能にするように規制される。
国は、労働争議の平和的解決のための効果的な手段となるように、調停及び仲裁を促進する義務を負う。経済的又は利害に関連する性質の集団的紛争を解決するために、行政調停仲裁特別委員会を設置することができる。
第50条 社会保障は、強制的な性格を有する公共サービスである。法律により、その範囲、程度及び方法について定めるものとする。
このサービスは1つ以上の機関によって提供される。これらの機関は、健全な社会保護政策を保障するために、専門的な方法で、資源を最適に活用して、相互に連携するものとする。
使用者、労働者及び国は、法律の定める方法及び範囲で、社会保障の支給に拠出するものとする。
国及び使用者は、労働者が社会保障の適用を受ける範囲で、労働者のために法律によって課される義務から免除されるものとする。
第51条 法律により、その特殊な条件により、労働者及びその家族に対して、福祉のために必要な適切な住居、学校、医療扶助並びにその他のサービス及びケアを提供する義務を負う、企業及び事業所を定めるものとする。
第52条 労働者のために掲げる権利は、放棄することができない。
本章に規定する権利及び便益の列挙は、社会正義の原則に基づくその他のものを排除するものではない。
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