第53条【教育及び文化に対する権利】、第54条【教育制度の組織】、第55条【教育の目的】、第56条【幼児教育及び基礎教育を受ける権利及び義務】、第57条【公立及び私立の教育施設、教員の養成】、第58条【差別的な理由による生徒の入学拒否の禁止】、第59条【識字率の向上】、第60条【教員の認定、義務的な教育科目、教授の自由】、第61条【高等教育に関する特別法、大学の自治及び予算】、第62条【公用語】、第63条【文化的な国宝、先住民族文化の保存及び振興】、第64条【国家の象徴】
第2編【人間の基本的な権利及び保障】
第2章【社会的な権利】
第3節【教育、科学及び文化】
第53条 教育及び文化に対する権利は、人間に固有のものである。したがって、これを保存、振興及び普及することは、国の基本的な義務及び目的である。国は、研究及び科学事業を推進するものとする。
第54条 国は、必要な機関及びサービスを設置することにより、教育制度を組織する。自然人及び法人は、私立の教育施設を設立する自由を保障されるものとする。
第55条 教育は、精神的、道徳的及び社会的な側面における人格の総合的な発達を達成し、さらに繁栄した公正で人道的な民主主義社会の建設に貢献し、人権の尊重及び対応する義務の遵守を教え込み、不寛容及び憎悪の精神と闘い、国家の現実及びサルバドル国民の価値観を認識し、中央アメリカ国民の団結を醸成することを目的とする。
親は、子の教育を選択する優先的な権利を有するものとする。
第56条 共和国の全ての住民は、市民として有為に活動できるように、幼児教育及び基礎教育を受ける権利及び義務を有する。国は、特別支援教育施設の設立を推進する。
幼児教育、基礎教育、中等教育及び特別支援教育は、国が提供するものは無料とする。
第57条 公立の教育施設で行う教育は、本質的に民主的でなければならない。
私立の教育施設は、国による規制及び検査の対象となる。営利を目的としない場合は、補助金を受けることができる。
国は、教員の養成について独占的な責任を負うものとする。
第58条 いかなる教育施設も、親又は保護者の婚姻関係又は社会的、宗教的、人種的若しくは政治的な相違を理由に、生徒の入学を拒否することはできない。
第59条 識字率向上は社会的な利益に適うものである。国家の全ての住民は、法律の定める方法で貢献するものとする。
第60条 教職に就くには、法律の定める方法で能力を認定されることを要する。
公立又は私立の、文民又は軍人の教育施設において、国家の歴史、市民意識、道徳、共和国憲法、人権及び天然資源の保全のついての教育を義務付けるものとする。
国家の歴史及び憲法は、サルバドル人の教員が教えるものとする。
教授の自由は保障される。
第61条 高等教育は、特別法によって定めるものとする。エルサルバドル大学及びその他の国立大学は、教育、行政及び経済的な事項に関して自治権を享受する。教授の自由を尊重し、社会的サービスを提供するものとする。その組織及び運営に関する一般原則を定める、その法律の範囲内で制定される法令によって管理される。
毎年、国家予算には、国立大学を維持するための費用、並びにその財産を確保及び拡充するために必要な費用を計上する。これらの機関は、法律に従い、関連する国家機関の監督に服するものとする。
特別法により、教授の自由を尊重した上で、私立大学の設立及び運営について規制するものとする。これらの大学は社会的サービスを提供し、非営利とする。同法により、公立及び私立の技術機関の設置及び運営を規制するものとする。
国は、高等教育機関の民主的な運営及びその適切な学術水準を保障するものとする。
第62条 エルサルバドルの公用語はスペイン語である。政府は、その保存及び教育を保障する義務を負う。
国内で使用される先住民族の言語は、文化遺産の一部であり、保存、普及及び尊重するものとする。
第63条 芸術的、歴史的及び考古学的な国家の財産は、サルバドルの文化的な国宝の一部を構成する。これは、国の保護下にあり、その保存のために特別法の対象とされる。
エルサルバドルは先住民族を認め、その民族的及び文化的なアイデンティティ、世界観、価値観並びに精神性を維持及び発展させるための政策を採択するものとする。
第64条 国家の象徴:国旗、国章及び国歌である。法律により、これに関する事項について定めるものとする。
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