第64条【労働の権利及び義務、国の経済政策】、第65条【最低賃金の保障】、第66条【最低賃金の調整】、第67条【同一労働同一賃金】、第68条【組合を組織する権利】、第69条【ストライキの権利】、第70条【労働時間の制限】、第71条【労働者の権利を侵害する契約の無効】、第72条【働く女性の保護】、第73条【外国人の雇用の禁止】、第74条【労働者の解雇の制限】、第75条【無料の職業訓練】、第76条【組合訓練所】、第77条【労働裁判権】、第78条【資本と労働の関係の規制】、第79条【本章の権利は最低限度のものである】
第3編【個人的及び社会的な権利及び義務】
第3章【労働】
第64条 労働は、個人の権利であり義務である。したがって、国は、完全雇用を促進し、全ての労働者に尊厳ある生活に必要な条件を保障するための経済政策を立案する義務を負う。第65条 国、公営若しくは民営の企業又は私人に勤務するあらゆる労働者は、その最低限度の賃金又は給与を保障される。
法律の定める企業の労働者は、国家の経済状況に従い、その利益に参加するものとする。
第66条 法律により、各地域及び各経済活動の特定の条件に従い、労働者の家族の通常の生活を賄い、生活水準を改善するために、労働者の最低限度の賃金又は給与を定期的に調整する方法を定めるものとする。また、専門職又は職業別に、最低限度の賃金又は給与を決定する方法を定めることができる。作業別又は出来高制の労働においては、1個又は1日当たりの最低賃金を保障することが義務づけられる。
最低限度の賃金又は給与は、法律の定める方法による扶養義務を除いて、差し押さえることができない。また、労働者の仕事道具も、差し押さえることができない。
第67条 同一の条件下における同一の労働に対して、性別、国籍、年齢、人種、社会的な階級、又は政治的若しくは宗教的な思想の区別なく、その労働を行う者に、常に同一の賃金又は給与を支払わなければならない。
第68条 使用者、給与所得者及びあらゆる種類の専門職業人は、その経済的及び社会的な活動のために組合を組織する権利を認められる。
行政府は、組合の登録を許可又は拒否するために30日の期間を有する。これは延長することができない。
法律により、行政府による組合の承認について定めるものとする。その法人格は登録によって確定する。
行政府は、組合がその目的から恒久的に逸脱し、管轄裁判所が確定判決でその旨を宣言しない限り、組合を解散することはできない。
これらの団体の役員は、パナマ人のみで構成される。
第69条 ストライキの権利は認められる。法律により、その行使を規制するものとする。法律の定める公共サービスにおいては、特別の制限を課すことができる。
第70条 昼間の労働時間は最長8時間、1週間の労働時間は最長48時間、夜間の労働時間は最長7時間までとし、時間外労働には割増賃金を支払うものとする。
14歳以上18歳未満の労働者は、1日の労働時間を最長6時間に短縮することができる。14歳未満の未成年者の労働、及び16歳未満の未成年者の夜間労働は、法律の定める例外を除いて禁止される。14歳までの未成年者を家事使用人として雇用すること、並びに不健康な職業に未成年者及び女性を就業させることも、同様に禁止される。
全ての労働者は、週休に加えて有給休暇を取得する権利を有する。
法律により、国家の経済的及び社会的な条件並びに労働者の利益に従い、有給の週休暇を定めることができる。
第71条 労働者に有利と認められる権利の放棄又は削減を意味する条項は無効であり、したがって、労働契約又はその他の協定で明記されていたとしても、契約当事者を拘束しない。法律により、労働契約に関するあらゆる事項を規制するものとする。
第72条 働く女性の母性は保護される。妊娠中の女性を、それを理由に公的又は私的な雇用から解雇してはならない。出産前の最低6週間及び出産後の最低8週間は、労働と同様に報酬が支払われる強制的な休暇を享受し、雇用及び契約に対応するあらゆる権利を保持する。働く母親が職場に復帰した場合、法律で定める特別な場合を除いて、1年間解雇してはならない。この法律により、妊娠中の女性の特別な労働条件も規制するものとする。
第73条 国の労働者の労働条件又は生活水準を低下させる恐れのある、外国人労働者の雇用は禁止される。法律により、常にパナマ人の権利を保障し、国益に従い、公共及び民間のサービスのための、外国人の取締役、管理職、技術者及び専門職の雇用を規制するものとする。
第74条 いかなる労働者も、正当な理由なく、法律の定める手続きを経ることなく、解雇されることはない。この法律により、解雇の正当な理由、その特例及び相当の補償を定めるものとする。
第75条 国又は民間企業は、労働者に無料の職業訓練を提供する。法律により、このサービスの提供方法を定めるものとする。
第76条 組合訓練所を設置する。これは、国及びパナマの組合団体が独占的に提供するものとする。
第77条 資本と労働の関係から生じるあらゆる紛争は、法律の規定に従って執行される労働裁判権に服するものとする。
第78条 法律により、資本と労働の関係を規制し、これを社会正義の基礎の上に置き、労働者の利益のために国の特別保護を定めるものとする。
第79条 本章に規定する権利及び保障は、労働者に有利な最低限度のものである。
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