第71条【市民】、第72条【市民の政治的権利】、第73条【市民の政治的義務】、第74条【市民権の停止事由】、第75条【市民権の喪失事由】、第76条【選挙人団の構成】、第77条【選挙人名簿の作成及び監督】、第78条【自由、直接、平等かつ秘密の投票】、第79条【選挙区の設定、比例代表制による議員選挙、大統領及び副大統領の選挙期日】、第80条【公選の公務員、大統領及び副大統領の選挙】、第81条【選挙広報】、第82条【宗教団体、軍及び国家文民警察と政治の分離、政治的プロパガンダの禁止】
第2編【人間の基本的な権利及び保障】
第3章【市民、その政治的な権利及び義務並びに選挙人団】
第71条 18歳以上の全てのサルバドル人は市民である。第72条 市民の政治的な権利:
(1)参政権を行使すること。
(2)法律に従って政党を結成し、既に結成されている政党に加入すること。
(3)この憲法及び二次法の定める要件に従い、公職に立候補すること。
第73条 市民の政治的な義務:
(1)参政権を行使すること。
(2)共和国憲法を遵守し、これを保障すること。
(3)法律に従い、国家に奉仕すること。
参政権の行使には、この憲法に規定する直接の国民投票における投票権も含まれる。
第74条 市民権は、以下の事由によって停止される。:
(1)正式な逮捕令状。
(2)精神障害
(3)司法上の停止。
(4)正当な理由なく、公選の役職への就任を辞退すること。この場合、停止は、辞退した役職の任期の全期間、継続するものとする。
第75条 市民権の喪失事由:
(1)明らかに不品行な行為をした者。
(2)犯罪で有罪判決を受けた者。
(3)選挙において票を売買した者。
(4)共和国大統領の再選若しくは続投を奨励若しくは支援するための行為、宣言若しくは支持に署名した者、又はその目的のために直接的な手段を行使した者。
(5)参政権の自由を制限した公務員、当局及びその代理人。
これらの場合、市民権は、権限ある当局による、明示的な復権の宣言によって回復されるものとする。
第76条 選挙人団は、投票権を有する全ての市民によって構成される。
第77条 参政権を行使するために、最高選挙裁判所の作成する選挙人名簿に登録されることが必要不可欠の条件である。
適法に登録された政党は、選挙人名簿の作成、組織、公表及び更新を監督する権利を有する。
第78条 投票は、自由、直接、平等かつ秘密とする。
第79条 共和国の領域内に、法律の定める選挙区を設定する。選挙制度の基礎は人口である。
議員の選挙については、比例代表制を採用する。
法律により、参政権の行使の方法、時期及びその他の条件について定めるものとする。
共和国大統領及び副大統領の選挙の期日は、大統領任期の開始前2か月以上4か月以下とする。
第80条 共和国大統領及び副大統領、立法議会及び中央アメリカ議会の議員、並びにムニシピオ議会の議員は、公選の公務員である。
共和国大統領及び副大統領の選挙において、どの政党又はその連合も、実施された集計に従って過半数を獲得しなかった場合は、有効得票数が最も多かった2つの政党又はその連合の間で2回目の選挙を実施する。この2回目の選挙は、1回目の選挙の結果が確定してから30日以内に実施される。
立法議会が適正に認定した不可抗力又は不測の事態のために、前述の期間内に2回目の選挙を実施できない場合、選挙は、30日以内の2度目の期間内に実施するものとする。
第81条 選挙広報は、共和国大統領及び副大統領の選挙について法律の定める期日の4か月前、議員の場合は2か月前、ムニシピオ議会の場合は1か月前に限り、事前の通知がなくても許可されるものとする。
第82条 宗教団体の聖職者、軍の現役の隊員及び国家文民警察の隊員は、政党に所属することができない。また、公選の役職に立候補することもできない。
また、いかなる形であれ、政治的プロパガンダを行ってはならない。
投票は、市民が法律の定める場所で行うものとする。軍事施設又は公安施設の構内で行ってはならない。
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