第90条【出生によるサルバドル人】、第91条【多重国籍を享受する権利】、第92条【帰化によるサルバドル人】、第93条【中央アメリカ連邦共和国の非構成国の国民が国籍を保持するための方法及び条件】、第94条【帰化によるサルバドル人の資格喪失事由】、第95条【サルバドル法人】、第96条【外国人の義務及び権利】、第97条【外国人に対する入国及び滞在の拒否】、第98条【党派活動による損害の賠償請求】、第99条【外国人による外交手段の利用】、第100条【外国人に関する特別法】
第4編【国籍】
第90条 出生によるサルバドル人:(1)エルサルバドル領内で生まれた者。
(2)サルバドル人の父又は母の子で、外国で生まれた者。
(3)中央アメリカ連邦共和国を構成していた他国の出身者で、エルサルバドルに住所を有する者。出身国籍の放棄を要することなく、サルバドル人となる意思を管轄当局に申告するものとする。
第91条 出生によるサルバドル人は、二重国籍又は多重国籍を享受する権利を有する。
出生によるサルバドル人の資格は、権限ある当局に対する明示的な放棄によってのみ喪失し、同当局への申請によって回復するものとする。
第92条 以下の者は、帰化によってサルバドル人の資格を取得することができる。:
(1)出身がスペイン人及びスペイン系アメリカ人で、国内に1年間居住している者。
(2)あらゆる出身の外国人で、国内に5年間居住している者。
(3)共和国への顕著な貢献により、立法機関からその資格を取得した者。
(4)サルバドル人と婚姻した外国人で、婚姻成立の前後2年間の国内居住を証明できる者。
帰化による国籍は、法律に従い、管轄当局によって付与されるものとする。
第93条 国際条約により、中央アメリカ連邦共和国を構成していなかった国の国民が、サルバドル国籍を帰化によって取得した場合でも、相互主義の原則を尊重することを条件として、国籍を保持するための方法及び条件について定めるものとする。
第94条 帰化によるサルバドル人は、以下の事由によって資格を喪失する。:
(1)法律に基づき許可された場合を除いて、出身国に継続して2年以上居住している場合、又は共和国を継続して5年以上不在にしている場合。
(2)法律の定める場合に、執行力ある判決によるもの。そのようにして国籍を喪失した者は、これを回復することができない。
第95条 共和国の法律に従って設立され、国内に住所を有する法人は、サルバドル人とする。
出資者又は株主が主として外国人であるサルバドル法人は、サルバドル人の利益のために法律の定める規制に違反してはならない。
第96条 外国人は、共和国の領内に到着した時から、当局を尊重し、法律を遵守する厳格な義務を負い、当局によって保護される権利を取得するものとする。
第97条 法律により、外国人の入国又は滞在を拒否する場合及び方法について定めるものとする。
国家の内政に直接的又は間接的に関与した外国人は、国内に居住する権利をはく奪される。
第98条 サルバドル人又は外国人は、いかなる場合も、党派活動によってその身体又は財産に生じた損害の賠償を政府に請求することはできない。有罪とされた公務員又は私人に対してのみ、これを行うことができる。
第99条 外国人は、裁判を拒否された場合、及び利用可能な法律上の救済手段を尽くした後でなければ、外交上の手段に訴えることはできない。
執行力ある判決が請求者に不利であることもって、裁判の拒否と解してはならない。この規定に違反した者は、国内に居住する権利をはく奪されるものとする。
第100条 外国人は、特別法の対象とする。
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