第195条【会計裁判所の権限】、第196条【会計裁判所の第二審裁判所及び第一審裁判所】、第197条【法律又は規則に違反する行為の停止】、第198条【会計裁判所長官及び裁判官の要件】、第199条【立法議会への報告書の提出】
第6編【政府機関、権限及び管轄権】
第5章【共和国会計裁判所】
第195条 財政全般及び特に予算執行の監査は、共和国会計裁判所と称する、行政機関の独立組織が責任を負う。同裁判所は、以下の権限を有する。:(1)公的資金の徴収、保管、契約及び支出を監視すること。また、法律の定める場合に、租税、手数料、関税及びその他の拠出金の決算を監視するものとする。
(2)予算に従い、国庫からの資金の支払いを承認し、財政又は国有財産に直接的又は間接的に影響を与える行為に介入し、公的債務に関する行為及び契約に副署すること。
(3)公的な財産を管理又は運用する公務員及び従業員の会計を監視、検査及び監査し、その会計に起因する裁判を審理すること。
(4)自治的性格を有する国家機関及び国有企業、並びに国庫からの資金で賄われる団体又は国庫から補助金若しくは助成金を受け取る団体の経営を監査すること。
(5)行政府機関が議会に提出する財政運営に関する会計を検査し、検査結果を議会に報告すること。
(6)権限の行使に必要な規則を制定すること。
(7)監査対象となる財産及び資金の取り扱いにおいて、公務員又は従業員の関連する不正が証明された場合に、共和国大統領、立法議会及びその上官に書面で報告すること。
(8)国及びムニシピオに有利な債務の支払いを監視すること。
(9)法律の定めるその他の職務を執行すること。
法律の規定に従い、その機関の性質及び目的に適した方法で、権限(2)及び(4)を行使するものとする。また、被監査機関若しくはその上級機関の要求により、又は必要と認める場合は職権で、事前に行うことができる。
第196条 共和国会計裁判所は、その管轄権を行使するために、法律によって設置される第二審裁判所と第一審裁判所に分割される。
第二審裁判所は、裁判所長官及び2人の裁判官によって構成される。その人数は、法律によって増員することができる。
これらの公務員は3年の任期で選任され、再任することができる。正当な理由がある場合を除いて、立法議会の決議によって解任することはできない。第二審裁判所は、第一審裁判所の裁判官を任命、解任し、休暇を付与し、辞任を受諾するものとする。
特別法により、会計裁判所並びにその第二審裁判所及び第一審裁判所の職務、管轄権、権限及び管理体制について定めるものとする。
第197条 共和国会計裁判所に提起された行為が、同裁判所の見解において、有効な法律又は規則に違反する場合、同裁判所は、その法的職務を執行する公務員にその旨を通告し、当該行為は停止されるものとする。
行政機関は、大臣会議が採択し、裁判所長官に書面で通知する根拠ある決議により、その行為が適法であると認める場合に限り、その全部又は一部を承認することができる。その決議は官報に掲載されるものとする。
承認が正式に通知された場合、その行為の停止は解除される。ただし、会計裁判所の意見が、支出に充当されるべき予算計上額の不備又は不足を理由とするものでないことを条件とする。その場合、停止は、計上額の不足が補填されるまで維持されるものとする。
第198条 会計裁判所長官及び裁判官は、出生によるサルバドル人で、30歳以上で、誠実さ及び能力について認められ、市民権を行使し、任命前の3年間にその状態にあることを満たさなければならない。
第199条 会計裁判所長官は、毎年、立法議会に、同裁判所の業務に関する詳細かつ文書化された報告書を提出するものとする。この義務は、会計年度の終了後3か月以内に履行しなければならない。
この義務を履行しない場合は、解任の正当な事由とみなされる。
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