第235条【公務員の宣誓】、第236条【立法議会で犯罪の訴訟開始を宣言する役職】、第237条【被告発者の停職及び復帰】、第238条【議員が犯罪を行った場合】、第239条【最高裁判所で犯罪の訴訟開始を宣言する役職】、第240条【不正蓄財した公務員の返還義務】、第241条【部下の公務上の犯罪を通報する義務】、第242条【公務上の犯罪の時効】、第243条【立法機関の承認と公務上の犯罪】、第244条【憲法の規定に対する違反、侵害及び改ざん】、第245条【憲法上の権利の侵害による損害の責任】
第8編【公務員の責任】
第235条 文民又は軍人の公務員は、その就任に先立ち、共和国に忠実であり、憲法を遵守及び執行することを、名誉の言葉をもって宣誓する。法律、政令、命令又は判決が憲法に反する場合であっても、憲法の条文を遵守し、さらに、その職務のために課される義務を完全に遵守するものとする。この義務に違反した場合は、法律に従って責任を負う。第236条 以下の者は、公務上の犯罪及び一般犯罪を行った場合、立法議会において答弁しなければならない。共和国大統領及び副大統領、議員、大統領被任命者、国務大臣及び副大臣、最高裁判所及び第二審裁判所の長官及び裁判官、共和国会計裁判所長官及び裁判官、共和国検事総長、共和国司法長官、人権保護訟務長官、最高選挙裁判所長官及び裁判官、並びに外交官代表である。
議会は、その議員である検察官及び被告発者又は特別弁護人の意見を聴取した後に、その訴訟を開始するか否かを宣言するものとする。第一審の場合、訴訟手続は、第一審の審理を行うために、法律の定める第二審裁判所に付託され、第二審の場合、訴訟手続は保留される。
前述の裁判所が言い渡した判決は、最高裁判所のいずれかの法廷が第二審として審理する。その判決に対する上訴は、同裁判所大法廷が審理するものとする。
何人も、法律が要求する資格を有する場合は、本条に規定する犯罪を告発し、当事者として出頭する権利を有する。
第237条 立法議会又は最高裁判所が訴訟の開始を宣言した時に、被告発者は職務の執行を停止され、いかなる理由によってもその役職を継続することができない。これに反した場合は、任期の延長罪で有罪となる。有罪判決を受けた場合は、同様の理由で解任される。無罪となった場合、その役職が一定の任期で付与されるもので、選出又は任命による任期が満了していないときは、その職務の執行に復帰するものとする。
第238条 議員は、選出された日からその任期が満了するまでの間に行った重大な犯罪について、前条に規定する手続きに従い、立法議会が事前に訴訟の開始を宣言しない限り、裁判されることはない。
同期間中に行った重大でない犯罪及び軽犯罪については、任期が満了するまで逮捕、拘禁され、又は供述を求められることはない。
共和国大統領、副大統領又は議員が、その選出の日から任期が満了するまでの間に、現行犯で捕まった場合は、いかなる者又は当局もこれを逮捕することができる。逮捕された者は、直ちに議会の処分に付されるものとする。
第239条 第一審裁判官、県知事、治安判事及び法律の定めるその他の公務員は、最高裁判所による訴訟開始の宣言の後に、その行った公務上の犯罪について通常の裁判所で裁判されるものとする。前述の公務員は、その行った一般の犯罪及び軽犯罪の訴訟手続に従うものとする。
ムニシピオ議会の構成員が行った公務上の犯罪又は一般犯罪については、対応する第一審裁判官に対して答弁するものとする。
第240条 国又はムニシピオの財政を犠牲にして、正当な理由なく蓄財した公務員及び従業員は、法律に従って負う責任を損なうことなく、違法に取得したものを国又はムニシピオに返還する義務を負う。
不正蓄財は、公務員又は従業員の就任日から退任日までの資産の増加額が、適法に受け取った給与及び報酬、並びにその他の正当な理由による資産又は収入の増加により、通常得られるものよりも著しく大きい場合に推定される。その増加額を決定するために、公務員又は従業員、その配偶者及び子の資産及び収入を合わせて考慮するものとする。
法律の定める公務員及び従業員は、就任の翌日から60日以内に、前段までの規定に従い、最高裁判所にその資産の状況を申告する義務を負う。同裁判所は、申告が真実であることを確認するために、必要であると認める措置を講じる権限を有する。これに関しては秘密を保持し、本条に定める目的のためにのみ用いるものとする。前述の公務員及び従業員は、退任の際に、その資産の状況について新たな申告を行う義務を負う。法律により、この義務の不履行に対する罰則について定めるものとする。
正当な理由のない蓄財に対する訴訟は、公務員又は従業員がその蓄財の原因となった職務を退任した日から、10年以内にのみ提起することができる。
第241条 文民又は軍人の公務員で、その部下である公務員又は従業員が行った公務上の犯罪を知る者は、その裁判のために、可能な限り速やかにこれを管轄当局に通報しなければならない。適時に通報しなかった場合は犯人隠避とみなされ、これに相当する刑事責任を負うものとする。
第242条 公務上の犯罪及び軽犯罪の公訴時効は、一般の規定に従うものとする。違反した公務員が退任した時から起算する。
第243条 この憲法が要求する場合に、立法機関が公務上の行為を承認したとしても、その行為に関与した公務員は、時効期間が経過するまで、公務上の犯罪によって訴追することができる。
立法機関に提出された報告及び会計の承認は、それらが参照する行為及び契約について、法律に従って与えられる以上の効力はないものとする。
第244条 憲法の規定に対する違反、侵害又は改ざんは、法律によって特別に処罰される。文民又は軍人の公務員がそのような理由で負う民事上又は刑事上の責任は、それが行われた大統領任期中、恩赦、減刑又は赦免を認められない。
第245条 公務員及び従業員は、この憲法に掲げる権利の侵害の結果生じた物質的又は精神的な損害について、個人的に責任を負う。国はその補完的な責任を負うものとする。
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