第10条【国籍の取得】、第11条【国籍の喪失】、第12条【国籍の喪失に対する不服申立て】、第13条【公民権】、第14条【外国人の参政権】、第15条【普通選挙、義務投票制】、第16条【選挙権の停止】、第17条【公民権の喪失】、第18条【公開の選挙制度】
第2章【国籍及び公民権】
第10条 チリ人とは、以下の者である。:(1)チリ国内で生まれた者。ただし、チリ政府の職員としてチリに滞在している外国人の子、及び一時的に滞在している外国人の子を除く。これらの者は全て、チリ国籍を選択することができる。
(2)外国で生まれた、チリ人の父又は母の子。ただし、1親等又は2親等の直系尊属が、(1)、(3)又は(4)の規定によってチリ国籍を取得していることを要する。
(3)法律に基づいて帰化許可書を取得した外国人。
(4)法律によって帰化の特別許可を取得した者。
法律により、チリ国籍を選択するための手続き、帰化許可書の交付、拒否及び取消し、並びにこれら全ての行為の登録簿の編成を定めるものとする。
第11条 以下の場合、チリ国籍を喪失する。:
(1)チリの所管機関において自発的に放棄を宣言すること。この放棄は、その者が以前に外国で帰化した場合のみ効力を生じるものとする。
(2)対外戦争中、チリの敵国又はその同盟国にサービスを提供した場合、最高政令によってはく奪されるものとする。
(3)帰化許可書の取消し。
(4)法律により、許可によって認められた帰化を取り消すこと。
本条に定める理由によってチリ国籍を喪失した者は、法律によってのみ回復することができる。
第12条 チリ国籍をはく奪又は否認する行政機関の行為又は決定によって影響を受ける者は、30日以内に、本人又はその代理人により、最高裁判所に不服を申し立てることができる。最高裁判所は、陪審制によって大法廷で審理する。不服申立ての提起は、不服を申し立てられた行為又は決定の効力を停止するものとする。
第13条 公民とは、18歳に達したチリ人で、自由刑を宣告されていない者である。
公民権により、選挙権、被選挙権、及び憲法又は法律によって付与されるその他の権利を認められるものとする。
国外にいる選挙権を有する公民は、大統領予備選挙、共和国大統領選挙及び国民投票において、外国から投票することができる。憲法上の組織法により、選挙人名簿への登録手続、並びに第18条第1段及び第2段の規定に従い、選挙及び国民投票の在外投票手続を実施する方法を定めるものとする。
第10条(2)及び(4)に規定するチリ人の場合、公民権によって認められる権利の行使は、チリに1年以上居住していることを条件とする。
第14条 チリに5年以上居住し、第13条第1段に規定する要件を満たす外国人は、法律の定める場合及び方式により、選挙権を行使することができる。
第10条(3)に基づいて帰化した者は、帰化許可書を取得してから5年を経過した場合のみ、公選の役職に就く資格を有するものとする。
第15条 普通選挙において、選挙権は、個人的で、平等かつ秘密でなければならない。
選挙制度上、予備選挙を除く全ての選挙及び国民投票において、投票する義務を負うものとする。憲法上の組織法により、この義務を遵守しなかった場合に適用される罰金又は罰則、これを免除される選挙人、及びその決定手続を定めるものとする。
一般的な投票は、この憲法に明示的に規定される選挙及び国民投票においてのみ実施することができる。
第16条 以下の場合、選挙権は停止される。:
(1)精神障害による禁止。
(2)自由刑の対象となる犯罪、又は法律によってテロ行為に分類される犯罪で告発された者。
(3)この憲法の第19条(15)第7段に基づき、憲法裁判所によって制裁を受けた者。これによって選挙権をはく奪された者は、裁判所の宣告を受けた日から5年後に、この権利を回復するものとする。この停止は、第19条(15)第7段の規定を損なうことなく、その他の法的効力を有しない。
第17条 以下の場合、公民権を喪失する。:
(1)チリ国籍を喪失した場合。
(2)自由刑を宣告された者。
(3)法律によってテロ行為に分類される犯罪、及び自由刑の対象となる、麻薬密売に関する犯罪の有罪判決を受けた者。
(2)に規定する事由によって公民権を喪失した者は、刑事責任が消滅した後に、法律に従ってこれを回復するものとする。(3)に規定する事由によって公民権を喪失した者は、刑の執行が終了した後に、元老院に復権を申請することができる。
第18条 公開の選挙制度を定めるものとする。憲法上の組織法により、その組織及び職務、並びにこの憲法に規定されていないあらゆる事項に関して、選挙及び国民投票の実施方法を定めるものとする。また、候補者の擁立及び前述の手続きへの参加に関して、無所属と政党の党員の間の完全な平等を常に保障する。この法律により、選挙費用の調達、透明性、限度額及び管理に関する制度も定めるものとする。
憲法上の組織法により、選挙管理機関の指導の下で、選挙人登録制度についても定めるものとする。この憲法の定める要件を満たす者は、法律の定めるところにより、この制度に組み入れられるものとする。
選挙及び国民投票の際の公共の秩序の維持は、法律の定める方法により、軍及びカラビネーロスが責任を負うものとする。
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