第144条【憲法評議会】
第15章【憲法の改正及び新しい共和国憲法の制定手続】
【共和国政治憲法を制定するための新しい手続き】
【憲法評議会】
第144条 憲法評議会の評議員の選挙は2023年5月7日に実施する。本節に規定する共和国政治憲法を起草するための新しい手続きは、本条、第145条から第161条まで、及び経過規定第52条の規定のみに従い、公共支出の効率性の原則を厳守するものとする。憲法評議会は、本節に定める手続きに従い、新しい憲法の条文案を討議及び採択することのみを目的とする機関である。その評議員は国民投票によって選挙され、その構成は平等でなければならない。
憲法評議会の評議員に選出されるには、選挙権を有する国民でなければならない。
国務大臣、代議院議員、元老院議員、州大統領代表、県大統領代表、知事、首長、州議員、地方議員、次官、州大臣、公共サービスの長、中央銀行審議員、選挙管理委員、司法府、検察庁、会計検査院、憲法裁判所、自由競争保護裁判所、公共契約裁判所、選挙裁判所及び州選挙裁判所の各階級の構成員及び職員、透明性評議会の評議員、国家テレビ委員会の委員、並びに軍及び公安部隊の現役隊員で、憲法評議会の評議員として立候補を宣言した者は、その立候補が特別登録簿に登録された時に、憲法の効力のみによって退任するものとする。この登録簿は、国民投票及びその集計に関する憲法上の組織法である、法律第18.700号の改正、調整及び体系化された条文を定める、2017年法律第2号に基づく大統領府官房長官発行の政令第21条第1段に規定するものである。
憲法評議会は、本条第7段の規定にかかわらず、国民投票によって選出される50人によって構成され、以下の規定が適用される。:
(1)憲法評議会の評議員の選挙は、次項以下に定める特別規定を損なうことなく、2023年1月1日に施行されている、以下の法体系に含まれる元老院議員の選挙に関する規定が適用されるものとする。:
(a)2017年法律第2号に基づく大統領府官房長官発行の政令。国民投票及びその集計に関する憲法上の組織法である、法律第18.700号の改正、調整及び体系化された条文を定めるものである。
(b)2017年法律第5号に基づく大統領府官房長官発行の政令。選挙人登録制度及び選挙管理機関に関する憲法上の組織法である、法律第18.556号の改正、調整及び体系化された条文を定めるものである。
(c)2017年法律第4号に基づく大統領府官房長官発行の政令。政党に関する憲法上の組織法である、法律第18.603号の改正、調整及び体系化された条文を定めるものである。
(d)2017年法律第3号に基づく大統領府官房長官発行の政令。選挙費用の透明性、限度額及び管理に関する憲法上の組織法である、法律第19.884号の改正、調整及び体系化された条文を定めるものである。
(2)憲法評議会の評議員の選挙に立候補を届け出る場合、政党又は選挙連合は、2議席を選出する元老院選挙区において、その選挙区で選出される憲法評議員の定数の2倍に相当する人数を上限として、届け出ることができる。3議席又は5議席を選出する元老院選挙区においては、法律第18.700号第5条第1段の規定を適用する。
政党又は選挙連合の名簿は、元老院選挙区ごとに、投票用紙に記載する候補者の優先順位を、女性から始めて男性と交互に記載しなければならない。
各元老院選挙区において、政党又は選挙連合は、常に男女同数の偶数の候補者を届け出るものとする。
法律第18.700号第4条第5段の規定は適用されない。
前段までに規定する要件に違反した場合、法律第18.700号第19条第2段及び第3段に規定する訂正手続を損なうことなく、政党又は選挙連合が元老院選挙区で届け出た全ての立候補が却下されるものとする。政党又は選挙連合は選挙管理機関に対して、その不遵守について弁明しなければならない。
(3)憲法評議会の議席の配分及び割当てについては、以下の規定を適用する。:
(a)憲法評議会の選挙制度は、女性25人及び男性25人の男女平等の代表を実現することを目指すものとする。
(b)議席の予備的な割当ては、国民投票及びその集計に関する憲法上の組織法である、法律第18.700号第121条を適用して行うものとする。この法律の条文は、2017年法律第2号に基づく大統領府官房長官発行の政令により、改正、調整及び体系化されたものである。
(c)予備的な割当てが(a)に従って行われた場合、その候補者は、選出された憲法評議員と宣言されるものとする。
(d)選出された憲法評議員の予備的な割当ての結果、男女間の比率が(a)に規定する比率と異なる場合、以下の特別規定を適用する。:
(i)(a)に規定する比率にするために増加又減少させる男性及び女性の人数を決定する。
(ii)(b)に規定する議席を獲得した政党又は選挙連合は、全国で獲得した得票総数に従い、下位から上位の順に並べられる。
(iii)政党又は選挙連合のうち、過剰代表の性別の議員を選出した元老院選挙区は、政党又は選挙連合の得票総数に従い、下位から上位の順に並べられる。
(iv)最下位の得票数の元老院選挙区において、全国で最下位の得票数の政党又は選挙連合の過少代表の性別の最上位の得票数の候補者を、その選挙区において、同じ政党又は政党と連携する無所属候補に対応する、(b)に規定する予備的な割当てで選出された過剰代表の性別の最下位の得票数の候補者と置き換える。同じ政党の候補者と置き換えることができない場合、同じ元老院選挙区における同じ選挙連合の過少代表の性別の最上位の得票数の候補者と置き換える。政党の最下位の得票数の元老院選挙区で置換できない場合、政党が置換できるまで、又は、置換するべき選挙区がなくなるまで、次に得票数の少ない元老院選挙区で置換を続ける。
(v)前述の(iv)の規定は、(a)に規定する原則が遵守されている元老院選挙区には適用されない。選挙区が同数の男性及び女性を選出した場合、又は過剰代表の性別が過小代表の性別を2人以上上回らなかった場合に、実現されたものとみなされる。
(e)(d)の規定を適用しても公平な代表が得られない場合、同号(iv)と同じ手続きを、全国で次に得票数の少ない政党又は選挙連合に適用し、(a)に規定する代表が得られるまで、又は全ての元老院選挙区において、過剰代表の性別が過小代表の性別を2人以上上回らなくなるまで、必要な回数だけ名簿に関する手続きを繰り返すものとする。この場合、(f)を適用する。
(f)ただし、前述の規定を適用しても(a)に規定する原則を実現できない場合、(d)(iv)と同じ手続きを、男女平等の代表が実現されるまで、過剰代表の性別が過少代表の性別を1議席上回る元老院選挙区に適用する。
(g)(a)の規定が遵守される場合、前述の規定に従って議席を割り当てられた候補者の当選が宣言される。
法律第18.700号第70条第1段に規定する黒鉛筆は、青色でなければならない。同法第169条第3段に規定する公証人に対する代理人の委任状は、単純委任でもよいものとする。
(4)政党又は選挙連合が届け出る全ての候補者は、法律第18.700号第5条第4段及び第6段に規定する候補者の所属及び無所属に関する要件に従わなければならない。
(5)法律第18.603号第5条第1段(a)に規定する、設立中の政党の公的設立証書に記載される者は、前項に規定する要件を満たさない場合を除いて、選挙連合を締結した政党と連携する無所属候補者として届け出ることができる。
(6)先住民族候補者を含む憲法評議員候補者の費用の限度額は、法律第19.884号第4条第2段が元老院議員候補者について規定する総選挙の費用の限度額の3分の1とする。先住民族の全国選挙区の場合、この条件を満たす選挙人の総数が限度額の算定に考慮されるものとする。
法律第19.884号第15条に規定する選挙運動開始時の資金調達は、先住民族の候補者の場合、前回の元老院議員選挙において各区域で最下位の得票数の政党に相当する金額を各州ごとに合計した金額を、全ての候補者の間で按分して算出するものとする。
憲法評議会の選挙については、以下の事項を考慮する。:
(a)法律第18.556号に規定する期間に関して、以下の新たな期間を設ける。:第29条及び第31条の2の140日の期間は100日とする。第32条の120日の期間は100日とする。第33条の90日の期間は70日とする。第34条の60日の期間は45日とする。第43条の100日の期間は80日とする。第48条第1段の10日の期間は5日とし、第49条第1段の10日の期間は5日とする。
(b)第144条第5段(1)の法律に規定するその他の期間で、この憲法改正の公布日より前の日に当たるものは、その公布の翌日から起算して3日目に当たるものとみなす。
憲法評議会は、前述の規定を損なうことなく、先住民族の保護、促進及び発展に関する規定を設け、先住民族開発公社を設立する、この改正の公布日に施行される法律第19.253号が認める先住民族1人以上によって構成することができる。そのために、以下の特別規定が適用される。:
(1)選挙権を有する国民である先住民族は、自ら候補者として届け出ることができる。これらの者には、憲法評議会員としての一般的な欠格事由、兼職禁止及び禁止事由が適用される。候補者は、先住民族開発公社が発行する先住民族身分証明書により、これに所属することを証明しなければならない。
(2)先住民族の立候補の届出は個人的なものである。Mapuche族、Aimara族及びDiaguita族の場合、候補者と同じ民族の、先住民族開発公社に登録される3つ以上のコミュニティ若しくは5つの先住民族協会、又は伝統的なカシカスゴの後援を要する。また、登録されていない先住民族の代表団体が後援することもできる。この場合、3団体以上でなければならない。そのような候補者は、後援者と同じ先住民族であることを証明する120人以上の署名によって後援することもできる。その他の民族については、1つのコミュニティ、登録協会若しくは未登録の先住民族団体の後援、又は後援者と同じ民族に所属することを証明された者の60人以上の署名による後援で足りるものとする。法律の定める候補者の後援に関する一般的な規定を損なうことなく、本規定の署名による候補者の後援は、選挙管理機関が提供する電子プラットフォームを通して行うことができる。本人認証後にアクセスできるものとする。この場合、各候補者の後援は、電子的手段によって署名されたものとみなす。選挙管理機関は、このプラットフォームを通して、立候補を届け出るための後援者名簿を適時に作成する。このプラットフォームは、その適切な機能を保障するために必要なセキュリティ基準に準拠するものとする。
(3)先住民族の立候補の届出は1人単位とし、一般の制憲評議員と異なる単一の全国投票用紙による、先住民族の単一の全国選挙区を形成する。選挙管理機関は、法律第18.556号第32条、第33条、第34条及び第37条の2に規定する選挙人名簿により、先住民族の選挙人を認定する。この名簿の公表において、選挙人の先住民族の身分を表示する。先住民族の身分は、法律第18.556号第48条及び第49条に規定する手続きに基づき、州選挙裁判所への不服申立ての根拠となる。先住民族の身分を認定された選挙人は、投票所で投票用紙を選択することにより、先住民族の全国選挙区の候補者に投票するか、各元老院選挙区の一般の候補者に投票するかを選択することができる。いかなる場合も、両方に投票することはできない。先住民族候補者の投票用紙には、候補者名の横に該当する先住民族をアルファベット順に記載するものとする。
(4)前項に関して、2021年5月の制憲会議員の選挙に使用された選挙人名簿上、先住民族の身分を有する選挙人は全て、先住民族の身分を有するものとみなす。また、この身分は、各機関から選挙管理機関に通知されるその他の選挙人についても、この憲法の経過規定第43条第10段に規定する手続きに従い、更新するものとする。
(5)選出される議席数は、以下の規定を適用して算出する。:
(i)先住民族の全国選挙区における候補者への有効投票総数を合算する。
(ii)この合計が、憲法評議会の国内16の非先住民族選挙区の全ての有効投票総数の1.5%以上に相当する場合、先住民族の全国選挙区は1議席を選出し、その議席は、最も得票数の多い候補者に割り当てられる。
(iii)この合計が、憲法評議会の国内16の非先住民族選挙区の有効投票総数の3.5%以上に相当する場合、先住民族の全国選挙区は合計2議席を選出する。第2議席は、前述の規定で割り当てられた候補者とは別の性別で、最も得票数の多かった候補者に割り当てられる。
(iv)前述の3.5%の割合が2ポイント増加するごとに、1議席を先住民族の全国選挙区が追加的に選出し、次に得票数の多かった候補者に、男女交互に割り当てられる。
憲法評議員の選挙の認定手続は、選挙裁判所が行うものとする。の認定手続は、投票日から30日以内に完了しなければならない。宣言する判定は、公表後3日以内に共和国大統領及び国民議会に通知されるものとする。
共和国大統領は、前段に規定する通知を受け取ってから3日以内に、免除された最高政令により、憲法評議会の設置のための第1回会議を招集し、2023年6月7日にサンティアゴ市の国民議会議事堂で開催するものとする。
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