第152条【草案の作成】、第153条【議会における手続き】、第154条【新しい憲法案の必須項目】
第15章【憲法の改正及び新しい共和国憲法の制定手続】
【共和国政治憲法を制定するための新しい手続き】
【手続き】
第152条 専門家委員会は、2023年3月6日にサンティアゴ市の国民議会議事堂内に設置され、新しい憲法の草案の作成を開始する。同日、許容性技術委員会の運営を開始する。専門家委員会は、新しい憲法の草案の一部を構成する各規定を、その委員の5分の3以上の定足数で採択するものとする。
新しい憲法の草案は、専門家委員会が設置後3か月以内に提案するものとする。
専門家委員会の委員は、憲法評議会が設置された後はこれに参加し、全ての審議において発言権を有する。憲法評議会は、その評議員の5分の3以上の定足数により、新しい憲法の草案を採択し、修正を加えて採択し、又は新たな規定を組み込むことができる。
憲法評議会が新しい憲法の条文を提案した後、専門家委員会はその設置後4か月以内に報告書を提出し、その中で条文を改善するための意見を表明することができる。提案は、以下の規定に従い、憲法評議会が聴聞し、採決するものとする。:
(a)報告書に含まれる各提案は、憲法評議員の5分の3以上の定足数によって採択されるものとする。
(b)報告書に含まれる各提案は、憲法評議員の3分の2以上の定足数によって否決されるものとする。
報告書に含まれる提案のうち、前述の条件で採択又は否決されなかったものは、憲法評議員6人及び専門家委員6人によって構成される合同委員会によって調査する。同委員会は、その委員の5分の3以上の賛成によって解決策を提案することができる。この合意は、第4段に規定する定足数で憲法評議会によって採択されるものとする。
合同委員会が5日以内に合意に達しなかった場合、専門家委員会は、3日以内に、その委員の5分の3以上の賛成により、第4段の規定に従い、新たな提案を憲法評議会に提出し、議決を求めるものとする。
新しい憲法案の一部を構成する各規定に関する採決が終了した後、条文全体は、評議員の5分の3以上の賛成によって採択するものとする。
憲法評議会及び専門家委員会の構成員は、自己、又は配偶者、直系尊属、直系卑属、4親等以内の姻族及び3親等以内の傍系親族に、直接又は個人的に利害関係のある事項について、促進又は投票することはできない。ただし、自己又は前述の者がその事項に利害関係を有することを事前に告知した場合は、討議に参加することができる。この制限は、所属する組合、職業、工業又は商業に利害関係のある一般的な事項には適用されない。
第153条 憲法評議会及び本段に規定する機関の業務は、元老院及び代議院の事務局が共同で作成する規則によっても定めることができる。代議院議員9人及び元老院議員9人によって構成される二院制委員会が審議及び採択する。この委員会は、5日以内に提案書を提出する。その提案書は、議員の7分の4以上の賛成により、国民議会両議院の承認のために提出されるものとする。
元老院及び代議院の代表は、議会委員会の提案に基づき、その議院によって選出される。提案は、議会議員の5分の3以上の賛成によって採択する。
二院制委員会が第1段に規定する条件で提案を取り下げない場合、元老院及び代議院の事務局が共同で作成した提案に従うものとする。
この規則は、憲法評議会が設置された後、チリ大学及びチリ・カトリック大学が調整し、全ての認可大学が参加できる方式で行われる市民参加の機構を検討する。この機構は、国民主導による規定を検討するものとする。
その議事規則に定めのない事項については、矛盾しない限り、元老院の議事規則が適用される。
第154条 国民投票に付される新しい憲法案は、少なくとも以下の制度的及び基本的基準を組み込むものでなければならない。:
(1)チリは民主共和国であり、その主権は国民に存する。
(2)チリ国家は単一であり、地方分権的である。
(3)主権は、人間の尊厳及びチリ国が批准し、発効している国際条約が認める人権によって制限される。憲法は、テロリズムが、いかなる形態であれ、本質的に人権に反するものであることを明記するものとする。
(4)憲法は、先住民族を単一かつ不可分のチリ国民の一部として認める。国はその権利及び文化を尊重及び振興するものとする。
(5)チリは、法によって統治される社会的及び民主的国家であり、その目的は共通善を促進することである。基本的権利及び自由を認め、財政責任の原則に従い、国家機関及び民間機関を通して、社会的権利の漸進的な発展を促進するものとする。
(6)国の象徴は、国旗、国章及び国歌である。
(7)チリに3つの独立した権力機関を設置する。:
(a)行政府。政府の長は、公共支出に直接影響を与える法案の提出について、独占的に発議権を有する。
(b)司法府。単一の司法権を有し、最終的及び執行力を有する判決を完全に尊重するものとする。
(c)立法府。二院制で、元老院及び代議院で構成される。それぞれの権限及び管轄事項を侵害することはできない。
(8)チリは憲法上、特に以下の自治機関を定めるものとする。:中央銀行、選挙裁判所、検察庁及び共和国会計検査院である。
(9)チリは、以下の基本的権利及び自由を保護及び保障するものとする。生命に対する権利、法の下の平等、各種の形態の財産に対する権利、良心及び信仰の自由、児童及び青少年の最善の利益、教育の自由、並びに家庭が子どもの教育を選択する優先的権利及び義務などである。
(10)チリは憲法上、軍及び公安部隊が文民機関に従属することを定める。カラビネーロス・デ・チレ及びチリ刑事警察庁について明記するものとする。
(11)憲法により、少なくとも4つの非常事態を定めるものとする。:集合事態、合囲事態、災害事態及び緊急事態である。
(12)チリは憲法上、自然及びその生物多様性の保護及び保全に取り組むものとする。
同様に、第158条に規定する欠格事由は、新しい憲法案の一部を構成するものとする。
いかなる当局又は裁判所も、第155条及び第156条の規定を損なうことなく、この憲法が憲法評議会、専門家委員会及び許容性技術委員会に付与する職務に関する訴訟、不服申立て又は上訴を審理することはできない。
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