第53条【元老院の専権事項】
第5章【国民議会】
【元老院の専権事項】
第53条 元老院の専権事項:(1)前条に従って代議院が申し立てた告発を審理すること。
元老院は、陪審として決定し、告発された犯罪、違反行為又は権力の濫用についてその者が有罪であるか否かの宣告に専念するものとする。
有罪の宣告は、共和国大統領又は州知事に対する告発の場合は元老院議員の3分の2以上により、その他の場合は元老院議員の多数決によって行われるものとする。
有罪の宣告を受けた場合、告発された者は解任され、公選の役職であるか否かにかかわりなく、5年間公職に就くことができない。
有罪の宣告を受けた公務員は、犯罪に対する刑罰の適用について、及び国又は私人に生じた損害の民事責任の執行について、管轄裁判所により、法律に従って裁判されるものとする。
(2)国務大臣の職務遂行上の行為によって不当に被った損害を理由として、その者が国務大臣に対して提起する訴訟を認めるか否かを決定すること。
(3)政治又は行政当局と上級裁判所の間に生じた管轄権に関する紛争を審理すること。
(4)この憲法の第17条(3)に該当する場合、公民権の復権を認めること。
(5)憲法又は法律によって必要とされる場合、共和国大統領の行為を承認又は否認すること。
共和国大統領が緊急の案件について要請してから30日以内に元老院が意見を表明しない場合、元老院はこれを承認したものとみなす。
(6)共和国大統領が30日を超えて、又は第26条第1段に規定する日から国内を離れることに同意すること。
(7)身体的又は精神的な障害により、共和国大統領又は大統領当選者の職務の執行が困難となった場合、その無能力を宣言すること。また、共和国大統領が辞任する場合、その辞任理由が正当であるか否かを宣言し、その結果、辞任を認めるか否かを決定する。いずれの場合も、最初に憲法裁判所の意見を聴くものとする。
(8)憲法第93条(10)後段に規定する憲法裁判所の宣言を、議員の多数決によって承認すること。
(9)特別に召集された会議において、元老院議員の3分の2以上の同意を得て、最高裁判所の裁判官及び検察官並びに国家検事総長の任命を承認すること。
(10)共和国大統領から要請があった場合、大統領に意見を述べること。
元老院、その委員会、及び議会の委員会を含むその他の機関は、政府又はその下級機関の行為を監督することはできない。また、監督に関する決議を採択することもできないものとする。
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