第57条【兼任禁止】、第58条【兼職禁止】、第59条【選挙裁判所の宣言、戦争状態における例外】、第60条【議席の喪失】、第61条【議員の発言表決の無答責、不逮捕特権】、第62条【議員の報酬】
第5章【国民議会】
【代議院議員及び元老院議員の共通の規則】
第57条 以下の者は、代議院議員又は元老院議員の候補者となることはできない。:(1)国務大臣
(2)州知事、州大統領代表、県大統領代表、地方自治体の首長、州議員、地方議員及び次官。
(3)中央銀行審議員
(4)上級裁判所の裁判官及び書記官。
(5)憲法裁判所、選挙裁判所及び州選挙裁判所の裁判官。
(6)共和国会計検査院長
(7)組合又は町内会の性質を有する役職を務める者。
(8)国と契約を締結又は保証する自然人及び法人の経営者又は管理者。
(9)検察庁の国家検事総長、州検事総長及び副総長。
(10)陸軍、海軍及び空軍の総司令官、カラビネーロス長官、刑事警察庁長官、並びに軍及び公安部隊に所属する将校。
本条に規定する資格喪失事由は、選挙の直前1年以内に前述の地位又は役職にあった者に適用される。ただし、(7)及び(8)に規定する者については、立候補を届け出る際にその条件を満たしている必要はない。また、(9)に規定する者については、選挙直前の2年間をその資格喪失期間とする。選挙で落選した場合、選挙後1年を経過するまでは、同じ役職に復職し、又はその役職と類似の役職に任命されることはできない。
第58条 代議院議員及び元老院議員の役職は、相互に兼任することはできない。また、国庫、地方自治体、自主財政団体、半自主財政団体、国営企業、又は国庫からの出資を通して関与する企業からの資金で報酬を支払われる雇用若しくは委任、及び同種のその他の職務又は委任を兼職することもできない。ただし、高等教育、中等教育及び特別教育における教職、及び同種の職務又は委任は例外とする。
同様に、代議院議員及び元老院議員の役職は、名誉職であっても、自主財政団体、半自主財政団体、国営企業、又は国が出資を通して株式を保有する企業の取締役又は顧問を兼職することはできない。
代議院議員又は元老院議員は、選挙裁判所による宣言をもって、その保有する兼職できない他の役職、雇用又は委任を終了するものとする。
第59条 いかなる代議院議員又は元老院議員も、選挙裁判所による宣言の時から、前条に規定する役職、職務又は委任に任命されることはできない。
この規定は、対外戦争の場合には適用されない。また、共和国大統領、国務大臣及び外交官の役職にも適用されない。ただし、戦争状態において授与される役職のみ、代議院議員又は元老院議員の職務と両立するものとする。
第60条 代議院議員又は元老院議員は、所属する議院、又は休会中の場合は議長の許可なく、30日以上欠席するとその議席を失うものとする。
代議院議員又は元老院議員は、その任期中に、国との間で契約を締結若しくは保証し、又は私的な行政手続において弁護士若しくは代理人として、公的な雇用、顧問業務、類似の職務若しくは委任を行った場合、その議席を失う。銀行又はあらゆる会社の取締役、又はこれらの活動における類似の重要な役職に就いた者も、同様の制裁を受けるものとする。
前段に規定する資格喪失事由は、代議院議員又は元老院議員が自ら、自然人若しくは法人を代理人として、又はその所属する団体を通して行動するか否かにかかわりなく適用される。
代議院議員又は元老院議員は、あらゆる種類の訴訟において弁護士若しくは代理人として行動し、公共部門であれ民間部門であれ、交渉若しくは労働争議において使用者若しくは労働者に有利に、若しくはその代理人として行政機関若しくは司法機関に対して影響力を行使し、又は当事者に代わってこれらに介入した場合、その議席を失うものとする。同様の制裁は、教育段階にかかわりなく、学生の正常な発達を妨げる目的で、学生の活動に対して行動又は介入した議員にも適用される。
代議院議員又は元老院議員は、第19条(15)第7段の規定を損なうことなく、この憲法に定める以外の方法で、公共の秩序を乱すよう扇動し、制度的な法秩序の変更を企て、又は国家の安全若しくは名誉を著しく危険にさらす行為を口頭又は書面で行った場合も、その議席を失うものとする。
前述の事由によって代議院議員又は元老院議員の議席を失った者は、第19条(15)第7段の場合を除いて、2年間、公選か否かにかかわりなく、いかなる公的な職務又は雇用にも就くことができない。第19条(15)第7段の場合は、同項同段に規定する制裁が適用される。
選挙費用の透明性、限度額及び管理に関する規則を著しく侵害した代議院議員又は元老院議員は、選挙管理委員会の要請を受けた選挙裁判所が、最終判決によって宣言した日に、その議席を失うものとする。憲法上の組織法により、重大な違反と認められる場合を定めるものとする。同様に、その議席を失った代議院議員又は元老院議員は、3年間、いかなる公的な職務又は雇用にも就くことができない。また、その議席を失った直後の2回の選挙において、公選の役職の候補者となることもできない。
代議院議員又は元老院議員は、その任期中に、一般的な資格要件を喪失し、又は第57条に規定する資格喪失事由を生じた場合、国務大臣に関する第59条第2段に規定する例外を損なうことなく、その議席を失うものとする。
代議院議員及び元老院議員は、重病によって職務の執行が困難となり、憲法裁判所がこれを認めた場合、辞任することができる。
第61条 代議院議員及び元老院議員は、本会議場又は委員会において、職務を遂行するために表明した意見及び投票についてのみ、不可侵であるものとする。
代議院議員又は元老院議員は、その選挙の日又は宣誓の日から、現行犯の場合を除いて、訴追され、又はその自由を奪われることはない。ただし、その管轄控訴裁判所が大法廷で、訴訟が提起されたことを宣言し、事前にこれを許可した場合はこの限りでない。この決定に対して、最高裁判所に上訴することができる。
代議院議員又は元老院議員が現行犯で逮捕された場合、その要旨の情報とともに、直ちに控訴裁判所に連行される。その後、裁判所は前段の規定に従って手続きを続行する。
訴訟が提起されたことが最終判決で宣言された場合、告発された代議院議員又は元老院議員は職務を停止され、管轄裁判官に服するものとする。
第62条 代議院議員及び元老院議員は、その唯一の収入として、国務大臣と同等の報酬を受け取るものとする。
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