第63条【法律の対象となる事項】、第64条【大統領の布告】
第5章【国民議会】
【法律の対象となる事項】
第63条 以下の事項のみが、法律の対象となる事項である。:(1)憲法の規定により、憲法上の組織法の対象となる事項。
(2)憲法が法律による規制を要求する事項。
(3)民法、商法、訴訟法、刑法又はその他の法典化の対象となる事項。
(4)労働、労働組合及び社会保障の制度に関する基本的な事項。
(5)公務員として功労のある者への栄典を定めること。
(6)国章の形態又は特徴を変更すること。
(7)国、その機関及び地方自治体に、特定のプロジェクトの資金調達を目的とする融資を契約する権限を付与すること。法律により、債務返済のための財源を明示するものとする。ただし、満期が大統領の任期を超える融資の契約を承認するには、一定の要件を満たす法律によるものとする。
本項の規定は、中央銀行には適用されない。
(8)国、その機関及び地方自治体の信用又は財政責任を、直接的又は間接的に危険にさらすあらゆる種類の業務の実施を認めること。
この規定は、中央銀行には適用されない。
(9)国営企業、及び国が出資する企業が融資を契約するための規則を定めること。いかなる場合も、国、その機関又は企業を対象としてはならない。
(10)国又は地方自治体の財産の譲渡及びその賃貸借又はコンセッションに関する規則を定めること。
(11)国の政治及び行政上の区分を定め、又は変更すること。
(12)貨幣の価値、種類及び名称並びに度量衡制度を定めること。
(13)平時又は戦時に維持される空軍、海軍及び陸軍、並びに外国の軍隊の共和国領域内への進入及び国軍の出兵を許可するための規則を定めること。
(14)憲法が共和国大統領の専権事項として定めるその他の事項。
(15)共和国大統領の提案により、宣戦布告を許可すること。
(16)一般的な赦免及び恩赦を与えること、並びに特別赦免及び恩給を与える共和国大統領の権限の行使に関する一般的な規則を定めること。
一般的な赦免及び恩赦を与える法律は、常に一定の定足数を要するものとする。ただし、この定足数は、第9条に規定する犯罪に関する場合、代議院議員及び元老院議員の3分の2とする。
(17)共和国大統領が居住し、国民議会が会議を開き、最高裁判所及び憲法裁判所が執務する都市を定めること。
(18)行政行為に適用される手続きの基礎を定めること。
(19)宝くじ、競馬場及びギャンブル全般の運営を規制すること。
(20)一般的かつ拘束力のある、法秩序の本質的な基礎を定めるその他のあらゆる規則。
第64条 共和国大統領は、法律の範囲に含まれる事項について、1年以内の期間、法律の効力を有する規定を布告する権限を国民議会に要請することができる。
この権限は、国籍、公民権、選挙、国民投票、憲法上の保証が適用される事項、又は憲法上の組織法若しくは一定の定足数の対象となる事項には及ばない。
この権限に、司法府、国民議会、憲法裁判所又は共和国会計検査院の職員の組織、権限及び制度に影響を与える権限を含めることはできない。
前述の権限を付与する法律により、委任事項を明確に規定し、適当と認める制限、規制及び手続きを定めることができる。
共和国大統領は、前段までの規定を損なうことなく、法律のより良い執行のために適当である場合、法律を統廃合、調整及び体系化する条項を制定する権限を有する。この権限を行使する際に、その本来の意味及び範囲を変更することなく、必要に応じて手続きを変更することができる。
共和国会計検査院は、法律の効力を有するこれらの政令を確認する責任を負う。前述の権限を超える場合又はこれに反する場合は、否認するものとする。
法律の効力を有する政令は、公布、効力及び効果について、法律と同様の規則に従うものとする。
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