第235条【行政権の行使】、第236条【大統領及び副大統領の選挙】、第237条【大統領の任期】、第238条【共和国大統領及び副大統領の要件】、第239条【共和国大統領及び副大統領の再選禁止】、第240条【共和国大統領及び副大統領の欠格事由】、第241条【大統領の出国】、第242条【大統領が不在の場合】、第243条【大統領が就任しない場合】、第244条【共和国大統領及び副大統領の確約書】、第245条【大統領の権限】
第5編【国家権力】
第6章【行政権】
第235条 行政権は、国民を代表し、その利益のために、共和国大統領及びその不在の場合は副大統領が行使する。第236条 共和国大統領及び副大統領は共同で、単純多数決により、国民によって直接選挙される。選挙は国家選挙裁判所が宣言し、そうでない場合は、国民議会又は最高裁判所が宣言するものとする。
第237条 大統領の任期は4年とし、選挙が実施された日の翌年1月27日に開始するものとする。
第238条 共和国大統領又は副大統領になるには、以下の要件を満たさなければならない。:
(1)出生によるホンジュラス人であること。
(2)30歳以上であること。
(3)市民権を享受していること。
(4)聖職者でないこと。
第239条 行政権を行使したことのある市民は、共和国大統領又は副大統領になることができない。
この規定に違反した者、又はその改正を提案した者、及びその者を直接的又は間接的に支援した者は、直ちに失職し、10年間、あらゆる公務を執行する資格をはく奪されるものとする。
第240条 以下の者は、共和国大統領又は副大統領に選出されることができない。:
(1)国務大臣及び副大臣、最高選挙裁判所裁判官、司法府の裁判官、分権機関の長官、副長官、理事、副理事、局長、副局長及び事務局長、上級会計裁判所裁判官、共和国司法長官及び副長官、全国国民登録局長及び副局長、環境保護官及び副保護官、共和国検事総長及び副総長、コンセッション監督官並びに国家人権委員。共和国大統領の選挙日前の1年間、その職務を執行していた者であること。国民議会議長及び最高裁判所長官は、選出された憲法上の次の任期は、共和国大統領候補者となることができない。
(2)軍の司令官及び将校。
(3)軍、警察部隊又は国家保安部隊の上級指揮官。
(4)現役の軍人、及び選挙日直前の12か月間、任務を遂行していたその他の武装部隊の隊員。
(5)【削除】
(6)選挙前の1年間に在任していた、大統領及び副大統領の配偶者及び4親等内の親族又は2親等内の姻族。
(7)国営コンセッション企業、天然資源開発のための国営コンセッション業者、又は国の資金で賄われる公共サービス及び公共工事の契約者の代表者又は代理人。これに関して国に未払金を有する者。
第241条 共和国大統領又はその職務を執行する者は、国民議会又は常任委員会の許可を得ることなく、15日を超えて国内を不在にすることができない。
第242条 共和国大統領が一時的に不在の場合、副大統領がその職務を代行する。大統領の不在が確定的な場合、副大統領は、憲法上の任期が満了するまでの残りの期間、行政権を行使する。ただし、共和国副大統領も確定的に不在の場合、行政権は、国民議会議長が行使する。これも不在の場合は、最高裁判所長官が、憲法上の任期が満了するまでの残りの期間、行政権を行使する。
大統領及び副大統領の選挙が1月27日の前日に宣言されない場合、行政権は例外的に、内務司法大臣が主宰する国務大臣評議会が行使する。国務大臣評議会は、同日の翌日から15日以内に最高機関の選挙を公示しなければならない。
これらの選挙は、公示日から4か月以上6か月以内の期間内に実施するものとする。
選挙が実施された場合は最高選挙裁判所が、又はそうでない場合は国民議会若しくは最高裁判所が、選挙日から20日以内に宣言を行い、選出された者は直ちに就任し、その憲法上の任期が満了するまで在任する。
新たに選出された最高権力者が就任するまでの間、国民議会議員、最高裁判所裁判官、及び任期が満了する基礎自治体は、暫定的にその職務を継続するものとする。
第243条 選出された憲法上の任期の開始時に大統領が就任しない場合、共和国副大統領がこれに代わって行政権を行使する。
第244条 共和国大統領及び副大統領の確約書は、国民議会が開会中であればその議長に、そうでない場合は最高裁判所長官に提出するものとする。
前述の公務員に提出できない場合は、共和国の裁判官又は治安判事に提出することができる。
第245条 共和国大統領は、国の一般行政に責任を負い、以下の権限を有する。:
(1)憲法、条約、協定、法律及びその他の法的規定を遵守及び執行すること。
(2)国の一般政策を指揮し、国を代表すること。
(3)共和国の独立及び名誉、並びに国家の領域の保全及び不可侵を保護及び維持すること。
(4)共和国の国内における平和及び安全を維持し、外部からの攻撃又は侵略を撃退すること。
(5)国務大臣及び副大臣、並びにその他の公務員及び従業員で、その任命が他の当局に委ねられていないものを自由に任命及び解任すること。
(6)常任委員会を通して国民議会に臨時会の召集を要求し、又は通常会の延長を提案すること。
(7)この憲法の規定に従い、閣僚評議会の同意を得て、権利の行使を制限又は停止すること。
(8)国民議会へメッセージを送ること。これはいつでも可能であり、通常の議会設置の際に、直接かつ書面で送付する義務を負う。
(9)国務大臣を通して国民議会に法案を提出し、法律の形成に参加すること。
(10)立法府、司法府及び最高選挙裁判所に対して、その決定を実効性あるものにするために必要な援助及び権限を提供すること。
(11)法律に従い、合意、政令、規則及び決定を発行すること。
(12)国際政策及び国際関係について指揮すること。
(13)政治的又は軍事的性質を有する国際条約、国の領域、主権及びコンセッションに関する条約、国庫の財政的な債務を伴う条約、憲法又は法律の規定の改正又は廃止を要する条約、並びにその執行のために立法措置を必要とする条約など、条約及び協定を締結し、国民議会の事前の承認を得て批准すること。
(14)外交使節団及び領事館の長を、制定される外務に関する法律に基づき任命すること。任命される者は、臨時職又は他国との共同代表の場合を除いて、出生によるホンジュラス人でなければならない。
(15)外国の外交使節団長及び国際機関の代表を接受し、他国の領事への領事認可状を発行し、取り消すこと。
(16)総司令官として軍の最高指揮権を行使し、共和国の防衛のために必要な措置を講じること。
(17)国民議会が休会中に宣戦布告及び講和を行うこと。この場合、議会を直ちに召集するものとする。
(18)政府及び国家の安全及び名誉のために、公務員及び従業員の公的な行為全般を監督すること。
(19)国庫を管理すること。
(20)国益のために必要な場合、経済及び財政に関する臨時措置を講じること。この場合、国民議会に報告しなければならない。
(21)融資を交渉し、必要に応じて国民議会の事前の承認を得て契約すること。
(22)国家開発計画を策定し、閣僚評議会で討議し、承認のために国民議会に提出し、これを指揮及び執行すること。
(23)法律に従い、関税を規制すること。
(24)法律に従い、刑の赦免及び減刑を行うこと。
(25)法律に従い、勲章を授与すること。
(26)法律に従い、国の収入を徴収し、その運用を規制すること。
(27)国の歳入及び歳出の明細書を四半期ごとに公表すること。
(28)公教育を組織、指導及び推進し、識字率を向上させ、技術教育を普及及び向上させること。
(29)住民の健康の増進、予防、回復及びリハビリテーションのための措置を講じること。
(30)国の経済政策及び財政政策を指揮すること。
(31)特別法によって構成及び運営について定める、国家銀行証券委員会を通して、銀行、保険及び金融機関の監督及び管理を行い、法律に従い、国営銀行の総裁及び副総裁を任命すること。
(32)農地改革の迅速な実施、並びに農業生産及びその生産性の向上を促進するために、その権限内であらゆる措置及び規定を定めること。
(33)国民議会が可決した法律を承認し、拒否権を行使し、公布及び公表すること。
(34)ホンジュラス国民の生活条件の改善を目的として、国内的及び国際的な経済的及び社会的な統合政策を指示及び支援すること。
(35)公共サービスを設立、維持及び廃止し、その適切な運営のために必要な措置を講じること。
(36)少尉から大尉までの階級を授与すること。
(37)軍が非政治的で、本質的に専門的及び従属的な非審議機関であることを保障すること。
(38)法律に従い、行政府の許可を得て、帰化許可書を付与し、取り消すこと。
(39)法律に従い、年金、賞与及びクリスマス・ボーナスを支給すること。
(40)法律に従い、市民団体に法人格を付与すること。
(41)資本と労働の調和を保障すること。
(42)法律に従い、最低賃金を見直し、決定すること。
(43)国民議会の事前の承認を得て、他国の部隊のホンジュラス領内の通過を許可又は拒否すること。
(44)平和維持活動に関する国際条約及び協定に従い、ホンジュラス軍を外国の領内に派遣する場合に、国民議会の事前の承認を得て、これを許可すること。
(45)憲法及び法律によって付与されるその他の権限。
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