第65条【生命に対する権利】、第66条【死刑の禁止】、第67条【胎児】、第68条【人間の完全性、拷問の禁止、被拘禁者の人権】、第69条【身体の自由】、第70条【個人の自由、自力救済の禁止】、第71条【拘禁の制限】、第72条【思想の発信の自由】、第73条【メディアの自由、外国の干渉の禁止】、第74条【思想の発信の妨害禁止】、第75条【思想の発信を規制する法律】、第76条【名誉及びプライバシーの権利】、第77条【宗教及び信仰の自由】、第78条【結社及び集会の自由】、第79条【集会の権利】、第80条【請願権】、第81条【移動の自由、出国及び入国の自由】、第82条【弁護権及び裁判を受ける権利】、第83条【国選弁護人】、第84条【逮捕又は拘禁の禁止及び令状】、第85条【拘禁又は収監の場所】、第86条【未決拘禁者の収容】、第87条【刑務所の目的】、第88条【供述の強要禁止】
第3編【宣言、権利及び保障】
第2章【個人の権利】
第65条 生命に対する権利は不可侵である。第66条 死刑は禁止する。
第67条 胎児は、法律の定める制限内で、その者に有利なあらゆる事項に関して出生したものとみなされる。
第68条 全ての人は、身体的、精神的及び道徳的な完全性を尊重される権利を有する。
何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける刑罰若しくは取扱いを受けてはならない。
自由をはく奪された者は全て、人間固有の尊厳に相応しい敬意をもって取り扱われなければならない。
第69条 個人の身体の自由は不可侵であり、法律に基づいてのみ、制限又は一時的に停止することができる。
第70条 全てのホンジュラス人は、他人に危害を与えないことを行う権利を有する。何人も、法律の定めていないことを行う義務を負わされない。また、法律の禁止していないことを行うことを妨げられることもない。
何人も、正義を自ら執行し、又は権利を主張するために暴力を用いてはならない。
いかなる個人の役務も、法律又はこれに基づく判決によらない限り、要求することはできない。また、無料でこれを提供する義務を負うこともない。
第71条 何人も、裁判のために管轄当局に連行されることなく、24時間以上拘禁又は隔離されてはならない。
審問のための裁判上の拘禁は、拘禁された時から6日を超えてはならない。
第72条 事前の検閲を受けることなく、あらゆるメディアによる思想の発信は自由である。この権利を濫用する者、並びに思想及び意見の伝達及び流通を直接的又は間接的に制限又は妨害する者は、法の下に責任を負うものとする。
第73条 印刷所、ラジオ局、テレビ局、並びにその他の思想の発信及び普及のためのメディア、並びにそのあらゆる構成要素は、思想の発信に関する犯罪又は過失を理由として、差押え又は没収されることはない。また、法律に基づき、これらの理由で発生する責任を損なうことなく、その業務を閉鎖又は妨害されることもない。
思想の普及に関する企業は、外国の政府又は政党から助成金を受け取ってはならない。法律により、この規定に違反した場合の制裁について定めるものとする。
新聞、ラジオ又はテレビの経営、知的、政治的及び行政的な方針は、出生によるホンジュラス人のみが行うものとする。
第74条 思想の発信の権利は、新聞の印刷に使用される材料、周波数、又は情報を普及するために使用される設備若しくは機器に対する、公的又は私的な統制の濫用など、間接的な方法又は手段によって制限してはならない。
第75条 思想の発信を規制する法律は、社会の倫理的及び文化的な価値、並びに個人、特に児童及び青少年の権利を保護するために、事前の検閲を設けることができる。
アルコール飲料及びタバコの消費に関する商業広告は、法律によって規制されるものとする。
第76条 名誉、個人及び家族のプライバシー並びに自己のイメージに関する権利は保障される。
第77条 あらゆる宗教及び信仰の自由な実践は、法律及び公共の秩序に反しない限り、いかなる優位性もなく保障される。
各種の宗教の聖職者は、公職に就くことができない。また、いかなる形であれ、宗教的な理由を用いて、又は国民の宗教的な信条を手段として政治的プロパガンダを行ってはならない。
第78条 結社及び集会の自由は、公共の秩序及び善良な風俗に反しない限り、保障される。
第79条 全ての人は、あらゆる種類の共通の利益に関して、通知又は特別な許可を要することなく、平和的に、武器を持たずに、公的なデモ又は一時的な集会で他者と集会する権利を有する。
野外集会及び政治的な性質を有する集会は、公共の秩序を保障することを唯一の目的として、特別許可制度の対象とすることができる。
第80条 全ての人又は団体は、特別又は一般的な理由により、当局に請願し、法的期間内に迅速な回答を得る権利を有する。
第81条 全ての人は、自由に移動し、領内から出国し、入国し、滞在する権利を有する。
何人も、特別な場合及び法律の定める要件に従う場合を除いて、住所又は居所の変更を強制されることはない。
第82条 弁護権は不可侵である。
共和国の住民は、法律の定める方法により、訴訟権を行使するために裁判所に自由にアクセスすることができる。
第83条 国は、貧困者の弁護、並びに未成年者及び無能力者の身体及び利益の保護のために、訴訟代理人を任命する責任を負う。これらの者に法的援助を提供し、個人の自由及びその他の権利の保護のために、司法上の代理人となるものとする。
第84条 何人も、法律の規定に従い、事前に法律の定める事由によって発行された、管轄当局の令状によらなければ、逮捕又は拘禁されることはない。
ただし、現行犯の犯罪者は、当局に引き渡すことのみを目的として、何人も逮捕することができる。
逮捕又は拘禁された者は、直ちに、自己の権利及び告発された事実を明示的に通知されなければならない。また、当局は、親族又はその選任する者に、拘禁について通知することを許可しなければならない。
第85条 何人も、法律の定める場所以外において、拘禁又は収監されることはない。
第86条 拘禁されている裁判中の者は、裁判所の有罪判決を受けた者と区別して収容される権利を有する。
第87条 刑務所は、保安及び社会防衛のための施設である。受刑者を更生し、労働のための準備をさせるよう努めなければならない。
第88条 いかなる種類の暴力又は強制も、供述を強要するために行使してはならない。
刑事上、懲戒上又は警察上の事項に関して、何人も、自己、その配偶者若しくは事実上のパートナー、又は四親等内の親族若しくは二親等内の姻族に不利な供述を強要されることはない。
管轄裁判所においてなされた供述のみが証拠となる。
これらの規定に違反して得られた供述は無効であり、責任者は法律の定める刑罰を受けるものとする。
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