第89条【無罪の推定】、第90条【裁判を受ける権利、軍事裁判権】、第91条【文民又は除隊した軍人に関する軍事犯罪】、第92条【逮捕状の発行】、第93条【保釈金の支払い】、第94条【裁判による刑罰】、第95条【罪刑法定主義、一事不再理】、第96条【刑罰法規の不遡及】、第97条【加辱刑、追放刑及び没収刑の禁止、終身刑】、第98条【犯罪以外による拘禁、逮捕及び収監の禁止】、第99条【住居の不可侵、家宅捜索】、第100条【通信の不可侵及び秘密】、第101条【亡命の権利、犯罪人引渡しの禁止】、第102条【ホンジュラス人の国外追放及び外国引渡しの禁止】、第103条【私有財産制】、第104条【財産権と国の土地収用権】、第105条【財産没収の禁止】、第106条【財産権の制限及びその補償】、第107条【ホンジュラス人及び国家機関のみが所有できる土地】、第108条【知的財産権】、第109条【租税法律主義】、第110条【和解又は仲裁による解決】
第3編【宣言、権利及び保障】
第2章【個人の権利】
第89条 全ての人は、その責任を管轄当局が宣告するまで無罪とされる。第90条 何人も、法律の定める手続き、権利及び保障を有する、管轄権を有する裁判官又は裁判所以外の裁判を受けることはない。
軍事犯罪及び過失については、軍事裁判権が認められる。いかなる場合も、軍事裁判所は、軍の現役でない者に対して管轄権を拡張することはできない。
第91条 軍事犯罪及び過失が文民又は除隊した軍人に関する場合、その事件は、普通裁判権を有する当局が審理するものとする。
第92条 逮捕状は、拘禁刑に相当する重罪又は軽犯罪の実行が完全に証明され、対象者の合理的な特定がなければ、発行することができない。
被告人の宣告も同様に行われるものとする。
第93条 何人も、逮捕状を発行された場合に、法律に従って十分な保釈金を支払うときは、拘置所に収容され、又はそこで拘禁されることはない。
第94条 何人も、審理及び裁判を受け、管轄権を有する裁判官又は当局の執行可能な判決によらない限り、いかなる刑罰も科されない。
民事上又は労働上の強制執行及びその他の同種の措置の場合、及び警察上の罰金又は逮捕の場合、影響を受ける者は常に審問されるものとする。
第95条 何人も、事前に法律の定める以外の刑罰で処罰されることはない。また、以前に裁判の原因となった同一の犯罪行為について、再び裁判を受けることはない。
第96条 法律は遡及効を有しない。ただし、新しい法律が刑事に関するもので、犯罪者又は被告人に有利な場合を除く。
第97条 何人も、加辱刑、追放刑又は没収刑を科されることはない。
終身刑を定めるものとする。刑法は、その実行が重大、攻撃的かつ品位を傷つける状況を伴う犯罪で、その影響によって国民に動揺、拒絶、憤激及び反感を引き起こすものについて、その適用を決定するものとする。
単一の犯罪に対する拘禁刑及び複数の犯罪に対する累積刑は、刑法に定めるものとする。
第98条 何人も、犯罪又は軽犯罪に起因しない債務により、拘禁、逮捕又は収監されることはない。
第99条 住居は不可侵である。そこに居住する者の同意又は権限ある当局の決定がない限り、立入り又は捜索を行うことはできない。ただし、犯罪の実行若しくは不処罰を防止するために、又は人若しくは財産に対する重大な損害を避けるために、緊急の場合はこれを行うことができる。
緊急の場合を除いて、夕方6時から朝6時までの間は、家宅捜索を行うことができない。これを行った場合は、その責任を負うものとする。
法律により、立入り、捜索又は家宅捜索を行うための要件及び手続き、並びにそれを実施する者が負う可能性のある責任を定めるものとする。
第100条 全ての人は、司法上の決定がある場合を除いて、通信、特に郵便、電信及び電話についての、不可侵及び秘密に対する権利を有する。
商業上の帳簿、 証票及び個人文書は、法律に従い、管轄当局による検査又は監査のみを受けるものとする。
本条に規定する通信、帳簿、証票及び文書で、違反又は窃取されたものは、裁判において認められないものとする。
いかなる場合も、当局の訴訟の対象となる事項と関係のない、厳密に私的な事項については、常に秘密が保持されなければならない。
第101条 ホンジュラスは、法律の定める方法及び条件の下で、亡命の権利を認める。
亡命を取り消し、又はこれを認めないことが法律に従って適当であるときは、いかなる場合も、政治的に迫害された者又は亡命者を、その者を要求する国の領内に追放してはならない。
国は、政治犯罪及びこれに関連する一般犯罪の犯罪人引渡しを許可してはならない。
第102条 いかなるホンジュラス人も、当局によって国外に追放され、又は外国に引き渡されることはない。
第103条 国は、私有財産の存在を、その最も広範な社会的機能の概念において、必要又は公共の利益のために法律の定める以外の制限なしに、承認、推進及び保障するものとする。
第104条 財産権は、国の土地収用権を損なうものではない。
第105条 財産の没収を禁止する。
政治犯罪を理由に財産権を制限することはできない。
没収された財産を請求する権利は不可侵である。
第106条 何人も、法律又はこれに基づく決定によって認められる必要又は公共の利益のためで、事前の正当な補償がある場合を除いて、その財産を奪われることはない。
戦争又は内乱の場合、事前の補償は不可欠ではない。ただし、相応の支払いは、緊急事態の終了後2年以内に行わなければならない。
第107条 国有地、エヒードの共有地、又は隣国と国境を接する地帯若しくは両海の沿岸に位置する私有地で、内陸40キロメートル以内のもの、並びに島、小島、岩礁、防波堤、岩及び砂州は、出生によるホンジュラス人、ホンジュラス人だけで構成される会社、及び国家機関のみ、取得、所有及び保有が認められる。その違反に対する罰則により、その行為又は契約は無効とされる。
前段に規定する制限に該当する都市財産の取得は、特別法の対象とする。
不動産登録官は、これらの規定に反する文書の登録を禁止される。
第108条 全ての著作者、発明者、生産者又は商業者は、法律に従い、その著作物、発明、商標又は商号の独占的な所有権を享受する。
第109条 租税は、没収的なものではない。
何人も、通常会において国民議会が適法に定めていない租税及びその他の負担金を支払う義務を負わない。
いかなる当局も、法律の定める責任を負うことなく、この規範に反する規定を適用することはできない。
第110条 自己の財産を自由に管理する自然人は、和解又は仲裁により、その民事上の問題を終結させる権利を奪われない。
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