「好きなことで生きていく」というパワーワード。
1 急速に変化する時代
バブル崩壊後の就職氷河期時代までは、勉強していい学校に入り、いい会社に入ることが人生の成功モデルとされていた。普通の親は子どもに勉強させたがり、真面目な子どもは大人の期待に応えようと一生懸命勉強した。
真面目に勉強して大学まで進学したのに、卒業して就職するタイミングで社会に裏切られたのが就職氷河期世代だった。
一番ダメージが深かったのは就職氷河期世代だったけれど、長引くデフレ不況のせいでダメージを受けたのはまさに日本社会全体だったし、これが原因で日本社会は漸次変容することとなった。
終身雇用の崩壊や新卒一括採用を含めた企業の人事マネジメントの見直しは、このような社会の変容が臨界点に達したために、過渡期として広く意識されるようになった結果だと思う。
2 教育の目標
そうすると、国家の人材政策たる教育政策も変容を免れなくなるだろう。初等中等教育、特に高等教育は、国家の主要な産業に人材を供給するという政策目標もあるけれど、そもそも国家的な産業政策についても具体的な将来予測が困難な状況では、抽象的なビジョンをどこまで具体的な政策として実施できるかは難しい問題である。
将来など予測するだけムダであるというのが正論なのだけれど、実際に子どもの教育に関与しなければならない保護者、学校の先生、その他教育に関与している関係者にとっては悩ましい問題だと思う。
私見は特にないのだけれど、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という古い格言が、時代を越えて真理を示していると思う。
普通に就職するにせよ、何か好きなことで一旗揚げようとするにせよ、自分で考えて自分で学んで自分で行動するしかない。
自学自習の能力は、子どもにも大人にも必須の能力である。
・自学自習。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2019/10/blog-post_26.html
3 ブランドの力
最近テレビ番組で、クイズや謎解きが得意な東大生などの有名大学の学生が、芸能人のように活躍している。謎解きはともかく、今時ネットで検索すれば小学生でも答えを見つけられるようなクイズ問題で競争し、それをみんな夢中で視聴している状況は、個人的にはよく理解できない。
そういう番組や有名大学学生を嘲笑したい訳ではなく、純粋におもしろい現象だと個人的には思っている。
学生に限らず、弁護士や医師など、ブランド資格を有する方たちが芸能人のように扱われる時代である。
有名大学の学生、あるいは弁護士や医師というブランドを使って足がかりを獲得し、クイズや謎解きの訓練をしてテレビで人気者になり、有名になってしまえばYouTubeでお金を稼ぐことも容易になるだろう。
・ブランドの力。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2019/11/blog-post_64.html
4 頭がよい人たちは分かって利用している
ネット記事で読んだ話なのでどこまで本当か分からないけれど、風俗で働く女性の場合でも、有名大学の女子大生の方が稼げるので、頭のいい女子大生は学生の間に風俗で荒稼ぎして学費を貯めてしまう。それを理解していない学生は、卒業後にようやくお金が足りないことに気付いて、困って風俗で働いてもそれほど稼げないということが書いてあった。
学生時代に風俗で働くことを推奨したい訳ではなく(身バレのリスクを考えると少々危険なアルバイトだと思う)、ブランドの力の分かりやすい例だと思う。
学生時代にテレビに出て荒稼ぎして有名人になってしまう人たちは、全て理解して実行しているのだと思う。
普通の一般人はそれを視聴して喜んでいるのだから、Win-Winのすごいビジネスモデルだ。
頭がよい連中はそれを計算して、実行してしまうのだからすごい。
5 人気は換金できる
かわいいアイドルが私生活を少し披露しただけで、既存のYouTuberを吹き飛ばすくらいに視聴される時代である。このような現象は今に始まったことではない。
普通の人が一生懸命ブログを書いてもなかなか読者が増えないけれど、芸能人がブログを始めると日常生活を写真で紹介するだけで、桁違いの人気ブログになるのである。
評価経済という言葉でそういう社会を説明する識者もいるけれど、鋭い分析である。
勉強して普通に就職するのはやめて、YouTuberになれと言いたい訳ではない。
今や、YouTubeが金になることに気付いた人々が殺到しているので、ただ注目されたい、お金が欲しいという動機だけでのめり込むと危険である。
高校生や大学生など、まだまだ未熟な若者ならなお更である。
6 好きなことがある人
寝食を忘れて没頭できる何かがある人は幸せである。何度でも注意喚起したいけれど、「好きなことで生きていく」必要はない。
しかし、好きなことがあるかどうかは、人生の幸福度にかかわってくる。
必ずしもマネタイズする必要はないけれど、そういうものが長い人生を生きていくうえで重要になる。
古い格言はしばしば、不変の真理を教えてくれる。
「芸は身を助ける。」
「芸」は「特技」と言い換えてもよい。
特に好きなことがない人も多いと思う。
将来の夢も希望もないし、好きなこともないので、大人に聞かれると困ってしまう子どももたくさんいるだろう。
学校の勉強や部活でも、資格のための学習でも、流行っているゲームでも、何でもよいのでそれなりに頑張ればよいと思う。
何もやらないよりは充実した人生になると思う。
7 おっさんが視聴するYouTuber
最後に、最近個人的によく視聴するYouTubeチャンネルをメモしておく。人に歴史あり。
これから日本社会は高齢化する一方なので、こういうおっさん向けの内容が逆に流行るかもしれない。
・妙佛 DEEP MAX:中国情報を提供するチャンネルです。
・たぶやんのレトロゲーム実況:レトロゲーム好きなので結構前から見てました。
・トレトレチャンネル:ふざけているようでためになるチャンネルです。
・失敗小僧:さえない中年男性に見えるけれど分析は結構鋭いです。