第122条【司法権】、第123条【司法府の機構】、第124条【司法府の独立】、第125条【最高裁判所の構成】、第126条【最高裁判所の権限】、第127条【最高裁判所長官の管理職務】、第128条【最高裁判所副長官の職務】、第129条【控訴裁判所】、第130条【高等裁判所】、第131条【郡裁判所及びその他の裁判所】、第132条【国家司法サービス委員会】、第133条【裁判官の任命】、第134条【裁判官の懲戒】
第7編【司法府】
第122条 司法権は国民に由来し、裁判所は、国民の慣習、価値観、規範及び要望に従い、この憲法及び法律に適合するように、これを行使するものとする。2 司法権は、司法府と称する独立機関に帰属する。
3 司法府は、職業的水準の維持及び司法職員の研修に責任を負う。
4 司法府は、この憲法及び法律に従い、紛争を裁判し、判決を下す権限を有する。
5 民事及び刑事の両方の性質を有する事件を裁判する場合、裁判所は、法律に従い、特に以下の原則を適用するものとする。:
(a)司法は、社会的、政治的若しくは経済的な地位、ジェンダー、宗教又は信条にかかわりなく、全ての人に執行されなければならない。
(b)司法は遅延してはならない。
(c)過誤の被害者には十分な補償が与えられるものとする。
(d)当事者間の自発的な和解合意は承認及び執行されるものとする。
(e)実質的な司法は、技術的事項に過度にこだわることなく、運営されなければならない。
6 司法府において、能力、誠実性、信頼性及び公平性を考慮し、女性の代表を実質的に保障するものとする。
7 あらゆる階層の政府の全ての機関は、裁判所の判決及び命令に従い、これを執行するものとする。
8 最高裁判所長官は、司法府の長として司法府の管理に責任を負う。
9 司法府の全体的な管理、その構成及び職務は、この憲法の規定に従い、法律によって定めるものとする。
第123条 司法府は、以下の裁判所で構成される。:
(a)最高裁判所
(b)控訴裁判所
(c)高等裁判所
(d)郡裁判所
(e)この憲法及び法律の規定に従い、設置が必要とみなされるその他の裁判所。
第124条 司法府は、行政府及び立法府から独立していなければならない。
2 司法府の予算は、国家司法サービス委員会の承認及び大統領の同意の後に、統合基金の負担とし、その管理において財政的独立性を有するものとする。
3 司法府は独立会計とし、その財政は公開監査の対象とする。
4 司法府は、この憲法及び法律に服する。裁判官は、政治的干渉、恐れ又は好意なしに、公平にこれを適用するものとする。
5 あらゆる階層の政府の行政及び立法機関は、司法府の独立を支持、推進及び尊重しなければならない。
6 裁判官は、司法職務において独立し、干渉されることなく、その職務を遂行するものとする。その独立は、この憲法及び法律によって保障される。
7 裁判官は、この憲法及び法の支配を支持し、恐れ又は好意なしに司法を執行しなければならない。法律の規定に従い、その免責を享受するものとする。
8 裁判官は、その判決によって影響を受けることはない。
9 司法職員又はその他の司法権を行使する者の給与、手当、特権、退職手当、任期及びその他の勤務条件は、法律によって定めるものとする。
第125条 最高裁判所は最高位の裁判所であり、長官、副長官及び9人以上の裁判官によって構成される。
第126条 最高裁判所は、この憲法及び各州憲法の守護者である。
2 最高裁判所は、以下の権限を行使する。:
(a)大統領、南スーダン政府、州政府又は国家議会の両議院に代わり、憲法規定を解釈する。
(b)成文法及び慣習法を含む、国又は州の法律の下であらゆる訴訟又は訴追に関して、最終審の裁判所である。
(c)個人、法人又は政府のために、この憲法及び各州憲法の下で発生した紛争を決定する第一審管轄権を有する。
(d)法律の合憲性を裁判し、この憲法又は各州憲法に抵触する法律又はその規定を、抵触する範囲内で無効とする。
(e)法律に起因する、又はその下で発生した刑事、民事及び行政に関する再審及び破毀の裁判所である。
(f)第103条第2項に従い、大統領に対する刑事裁判権を有する。
(g)副大統領、国民立法議会及び全州評議会の議長並びに最高裁判所裁判官に対する刑事裁判権を有する。
(h)法律の下で行った犯罪に関して裁判所が下した死刑判決を審査する。
(i)控訴裁判所の決定及び判決に対する上訴を受理する。
(j)専属、共管又は残余権限の分野に関して、州間及び国民政府と州の間の紛争を解決するための第一審及び最終審として管轄権を有する。
(k)人権及び基本的自由を支持及び擁護する。
(l)この憲法及び法律の定めるその他の権限を有する。
3 最高裁判所は、全ての事案について、裁判官3人ずつの法廷で構成される。ただし、憲法法廷として構成される場合、9人以上の最高裁判所裁判官によって構成され、長官が裁判長を務めるものとする。
4 最高裁判所の決定は、各法廷の裁判官の多数決によって行われる。
5 最高裁判所の決定は最終的なものであり、拘束力を有する。
6 最高裁判所は、法律に従い、その職務及び手続きを定めるものとする。
第127条 最高裁判所長官は、:
(a)司法府の長かつ最高裁判所長官であり、全ての裁判所の管理及び監督に責任を負う。
(b)適正かつ効率的な司法運営のために必要な司法通達、設置許可及び裁判所に対する指示を発行することができる。
2 最高裁判所長官職が欠員となった場合、副長官は、新たな長官が任命されるまでの間、その職務を代行する。
第128条 最高裁判所副長官は、:
(a)最高裁判所長官を代理し、その不在の場合、これを代行する。
(b)最高裁判所長官から割り当てられるその他の職務及び任務を遂行するものとする。
第129条 控訴裁判所の設置、構成、権限及び手続きは、法律によって定めるものとする。
2 控訴裁判所の決定は、最高裁判所に上訴することができる。
第130条 高等裁判所の設置、構成、権限、管轄権及び手続きは、法律によって定めるものとする。
2 高等裁判所の決定は、控訴裁判所に上訴することができる。
第131条 郡裁判所及びその他の下級裁判所の設置、構成、権限及び手続きは、法律によって定めるものとする。
2 郡裁判所の決定は、高等裁判所に上訴することができる。
第132条 国家司法サービス委員会と称する、独立委員会を設置する。
2 委員会の組織、構成、職務並びに委員及び職員の勤務条件は、法律によって定めるものとする。
第133条 共和国大統領は、この憲法及び法律に従い、能力、誠実性、信頼性及び公平性を考慮して、最高裁判所長官を任命する。
2 大統領は、司法サービス委員会の推薦に基づき、最高裁判所の副長官及び裁判官、控訴裁判所裁判官並びに高等裁判所及び郡裁判所の裁判官を、この憲法及び法律に従い、能力、誠実性、信頼性及び公平性を考慮して任命する。
3 最高裁判所長官、副長官及び裁判官の任命は、国民立法議会の総議員の3分の2以上の多数決による承認を要する。
4 国民立法議会は、裁判官の任命、任期及び勤務条件を定める法律を制定するものとする。
5 全ての裁判官は、その就任に先立ち、法律の規定に従って就任宣誓を行うものとする。
第134条 裁判官の懲戒は、司法サービス委員会の承認を得て、最高裁判所長官が行うものとする。
2 裁判官は、重大な不正行為、能力不足及び障害を理由として、国家司法サービス委員会の勧告に基づき、大統領令によって解任することができる。
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