第29条【議会の設置】、第30条【議員の資格】、第31条【議員の宣誓】、第32条【議会の会期、緊急事態における大統領の会期延長権】、第33条【定足数】、第34条【議会の権限】、第35条【大統領による法案の拒否権】、第36条【議員の報酬】、第37条【補欠選挙】
第5章【立法府】
第29条 共和国の立法権はリベリア議会に帰属する。議会は2つの別個の議院で構成される。:元老院及び代議院であり、両議院は全ての立法を可決しなければならない。制定様式は以下のとおりとする。:「議会において開催されたリベリア共和国の元老院及び代議院により、制定されたものである。」第30条 以下の資格を満たすリベリア市民は、議会議員の被選挙権を有する。
(a)元老院については30歳に達していること、代議院については25歳に達していること。
(b)選挙の1年以上前に、代表される国又は選挙区に居住し、納税者であること。
第31条 議会の各議員は、その議席に着き任務に就く前に、選出された議院の議長の前で、その議院の他の議員の出席の下に、共和国の憲法及び法律を支持及び擁護し、その職務を誠実に遂行することを厳粛に宣誓し、これに署名しなければならない。
第32条(a)議会は年1回、1月の第2月曜の営業日に通常会を開催するものとする。
(b)大統領は、独自の判断により、又は各議院の総議員の4分の1以上が署名した証明書を受領した場合、布告により、議会の通常会期を閉会日を超えて延長し、又は国家的な緊急事態及び関心事について審議若しくは行為するために、特別臨時会を召集するものとする。延長又は召集が議会の要求による場合、布告は、大統領が証明書を受領してから48時間以内に発行しなければならない。
第33条 議事を処理するための定足数は、各議院の過半数である。ただし、これより少数でも、日毎に延会し、欠席議員の出席を強制することができる。元老院及び代議院が合同会議を開催する場合、代議院の議長がこれを主宰するものとする。
第34条 議会は以下の権限を有する。:
(a)郡及びその他の政治的小区分を新設し、既存の郡の境界を再調整する。
(b)共和国の安全保障について定める。
(c)共同防衛のために宣戦布告を行い、行政府に講和締結の権限を付与する。共和国軍を育成及び支援し、そのために資金を充当する。ただし、その使用のための資金充当の期間は1年を超えてはならない。また、共和国軍の管理規則を定める。
(d)共和国の財政管理のために、以下の資格条件に従い、租税、関税、輸入諸税、物品税及びその他の収入を賦課し、資金を借り入れ、紙幣を発行し、硬貨を鋳造し、充当する。:
(i)補助金、手数料、輸入諸税、関税又は租税にかかわりなく、全ての歳入法案及びその他の財政法案は、代議院を発議院とする。ただし、元老院は他の法案と同様に修正を提案し、又はこれに同意することができる。いかなる理由であれ、個人、コミュニティ又は地方団体の明示的な同意がある場合を除いて、これに対してその他の財政的負担金を設定、確定又は賦課してはならない。そのような場合は全て、徴収した資金について、コミュニティ又は地方団体に対して、真実かつ正確な説明を行わなければならない。
(ii)議会の制定法による充当の結果、大統領の令状によらなければ、いかなる金銭も国庫から引き出してはならない。また、議会の明示的な権限によらなければ、硬貨を鋳造し、又は国家紙幣を発行してはならない。全ての公金の支出に関する年次報告書及び勘定書は、大統領府から議会に提出し、年1回発行するものとする。
(iii)議会の制定法の効力により、又はこれに基づかない限り、政府が共和国を代表して借款を調達し、又は公共機関若しくは当局のために保証してはならない。
(e)巡回裁判所、請求裁判所及び共和国全域における司法の適切な運営のために必要とみなされる所定の管轄権を有する裁判所を含む、最高裁判所より下級の裁判所を設置する。
(f)共和国を代表して交渉又は調印された条約、協定及びその他の国際合意を承認する。
(g)リベリアと他国の間の貿易及び通商を規制する。
(h)市民権、帰化及び居住に関する法律を制定する。
(i)選挙法を制定する。
(j)各種の犯罪及びその刑罰を定める。
(k)年齢及び勤続年数に応じて、各種の政府職員及び従業員のための年金制度を定める法律を制定する。
(l)前記の権限及びこの憲法が共和国政府又はその部局若しくは職員に付与するその他の全ての権限を行使するために、必要かつ適切なその他の法律を制定する。
第35条 議会の両議院を通過した法案又は決議は、法律となる前に大統領に提出し、その承認を得なければならない。これが承認した場合、法律となる。大統領がその法案又は決議を承認しない場合、反対意見を付して、これを発議院に差し戻すものとする。その際に大統領は、法案又は決議の全体又はその一部項目を不承認とすることができる。この拒否権は、各議院の議員の3分の2以上の拒否権により、法案、決議又はその項目の再可決によって覆すことができる。この場合、それは法律となる。法案又は決議が大統領に提出されてから20日以内に差し戻さない場合、議会が延会によって差戻しを妨げない限り、これが署名した場合と同様に法律となるものとする。
いかなる法案又は決議も、その名称に明示される1つの主題以上を包含してはならない。
第36条 元老議員及び代議員は、共和国から法律の定める報酬を受け取る。ただし、その増額は、次の会計年度の開始時に効力を生じるものとする。
第37条 死亡、辞任、除名又はその他の事由によって議会に欠員が生じた場合、議長は、30日以内にその旨を選挙管理委員会に通知する。選挙管理委員会は、その後90日以内に補欠選挙を実施するものとする。ただし、総選挙の実施前90日以内に欠員が生じた場合、欠員の補充は総選挙の実施を待たなければならない。
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