第54条【国家議会の設置及び構成】、第55条【国家議会の権限】、第56条【国民立法議会の構成】、第57条【国民立法議会の権限及び職務】、第58条【全州評議会の構成】、第59条【全州評議会の権限】、第60条【国家議会の規則】、第61条【国家議会の会議場】、第62条【被選挙権】、第63条【国家議会の議員資格喪失】、第64条【補欠選挙】、第65条【国家議会議員の宣誓】、第66条【国家議会議員の免責】、第67条【国家議会の任期】、第68条【国家議会の会期】、第69条【国家議会の役員】、第70条【国家議会議員の報酬】、第71条【少数党の党首】
第5編【国家議会】
第1章【設置、構成及び職務】
第54条 以下のもので構成される国家議会を設置する。:(a)国民立法議会
(b)全州評議会
2 国家議会は、両議院の合同会議において、国民立法議会議長が議長を務め、全州評議会議長が副議長を務め、この憲法の規定に従ってその議事を執行するものとする。
3 採決は各議院ごとに行われ、この憲法に規定する定足数に従うものとする。
4 各議院は、この憲法の規定に従い、別個に議事を執行するものとする。
5 国家議会及び各議院は、独自の議事規則を制定するものとする。
第55条 国家議会は、南スーダン国民の意思を代表し、統合及び国民性を醸成し、立法職務を執行し、行政を監督し、分権的な統治制度を推進するものとする。
2 国民政府の立法権は、附則Eで参照される附則A、C及びDによって国家議会に割り当てられる全ての事項に関して、国家議会に帰属する。
3 上記の第1項の一般性を損なうことなく、国家議会は以下の権限を有する。:
(a)この憲法の改正を審議及び可決する。
(b)この憲法によって割り当てられる全ての事項に関する法律を制定する。
(c)大統領の声明を審議し、必要に応じて決定を下す。
(d)この憲法の第87条に従い、財源及び歳入の年次配分を承認する。
(e)この憲法の第85条第2項に基づき、大統領が否決した法案を再審議する。
(f)大統領及び副大統領を弾劾する。
(g)宣戦布告を承認する。
(h)緊急事態宣言又はその解除を確認する。
(i)この憲法又は法律の定めるその他の職務を遂行する。
4 国家議会は、この憲法に従い、法案を通して立法権を行使するものとする。
第56条(a)国民立法議会の議員は、自由かつ公正な選挙において秘密投票により、成年普通選挙によって選出される。
(b)国政選挙法により、国民議会の定数及び構成について定めるものとする。
2 上記の第1項の規定にかかわらず、暫定期間中、国民議会は以下の者によって構成される。:
(a)南スーダン立法議会の全ての議員。
(b)スーダン共和国の国民議会議員であった全ての南スーダン人96名。同議会議員であったことによる。
(c)大統領が任命する、66人を超えない追加議員。
3 国民立法議会の議員でない大臣会議の構成員は、議会の審議に参加するものとする。ただし、投票権を有しない。
第57条 国民立法議会は、以下の権限及び職務を執行する。:
(a)国民政府の機関の業務を監督する。
(b)国民政府の計画、プログラム及び政策を承認する。
(c)予算を承認する。
(d)国際条約、協定及び合意を批准する。
(e)公共の関心事に関する決議を採択する。
(f)大臣を召喚し、その省庁に関連する事項について国民議会の議員の質問に答弁させる。
(g)大臣又はその省庁の業務について質問する。
(h)この憲法又は法律によって要請される任命の審査及び承認を行う。
(i)任意の大臣に対して問責決議を行う。
(j)司法及びその監督機構の勤務条件を規制する法律を制定する。
(k)この憲法又は法律の定めるその他の職務を遂行する。
第58条 全州評議会は、以下のように構成される。:
(a)全州評議会の議員は、それぞれの州議会を通して選出される。
(b)国政選挙法により、全州評議会の定数を定めるものとする。
2 上記の第1項の規定にかかわらず、暫定期間中、全州評議会は以下の者によって構成される。:
(a)スーダン共和国の全州評議会議員であった全ての南スーダン人。同評議会議員であったことによる。
(b)大統領が任命する30人の議員。
第59条 全州評議会は以下の権限を有する。:
(a)分権的な統治制度及び各州が関心を有するその他の問題に関する法律を発議し、総議員の3分の2以上の多数決によって可決する。
(b)この憲法の第47条、第48条及び第49条の規定に従い、あらゆる階層の政府を指導する決議及び指示を発行する。
(c)国家の復興、開発及び全州における公平なサービスを監督する。
(d)帰還者及び国内避難民の帰還、救済、再定住、社会復帰及び再統合並びに災害及び紛争によって影響を受けた地域の復興を監視する。
(e)分権的な統治制度の効果的な実施及び権限委譲並びに全州に関連するその他の問題に関して、知事及び所管の国家大臣に声明を要求する。
(f)全州の全ての国民の間で、平和、和解及びコミュニティの調和の文化を促進するための立法を行う。
(g)州の名称、州都及び境界線の変更を承認する。
(h)この憲法又は法律の定めるその他の職務を遂行する。
第60条 各議院は、その権限に属する議事を執行するために別個に開催する間、以下の規則を遵守しなければならない。:
(a)いずれの議院の権限に属する事項に関する法案も、その議院に提出しなければならない。
(b)国民立法議会で可決された法案は、それが州の利益に影響するか否かを審査及び決定するために、常設の議院間委員会に付託しなければならない。委員会が州の利益に影響すると決定した場合、法案は審議のために全州評議会に付託するものとする。
(c)全州評議会がその議員の3分の2以上の多数決により、付託された法案に修正を加える場合、又はそのまま可決する場合、法案は国民立法議会に返付されることなく、共和国大統領の同意を得るために送付されるものとする。
(d)いずれの議院も、他の議院が処理している議案について、最終的に付託されるまで審議してはならない。
第61条 国家議会及び各議院は、首都ジュバにある議場において会議を召集する。
2 上記の第1項にかかわらず、両議長は、南スーダン国内の他の場所において、国家議会の会議を召集することができる。
3 上記の第1項にかかわらず、議長は、南スーダン国内の他の場所において、国民立法議会を召集することができる。
4 上記の第1項にかかわらず、全州評議会議長は、南スーダン国内の他の場所において、全州評議会を召集することができる。
第62条 国家議会の議員候補者は、以下の要件を満たさなければならない。:
(a)南スーダン人であること。
(b)21歳以上であること。
(c)健全な精神状態であること。
(d)読み書きができること。
(e)直近の7年間、誠実性又は道徳的不正にかかわる犯罪で有罪判決を受けたことがないこと。
2 国家議会及び大臣会議の構成員は、前述の地位にある間、州議会又は州大臣会議の構成員になる資格を有しない。
3 国民立法議会の議員は、全州評議会の議員と兼任することはできない。
4 全州評議会の議員は、大臣会議の構成員と兼任することはできない。
第63条 国民立法議会又は全州評議会の議員資格は、以下の場合に喪失する。:
(a)精神的又は身体的な障害。
(b)誠実性又は道徳的不正にかかわる犯罪で有罪判決を受けた場合。
(c)管轄裁判所による破産宣告を受けた場合。
(d)許可又は各議院の議事規則に定める正当な理由なく、会議を一定回数欠席した場合。
(e)その議院に辞表を提出した場合。
(f)国民立法議会に選出された時の政治的所属又は政党を変更した場合。
(g)州又は地方政府階層の憲法上の役職に就任した場合。
(h)死亡
2 国民立法議会又は全州評議会の議員に欠員が生じた場合、その議席は第64条の規定に従って補充するものとする。
第64条 国民立法議会又は全州評議会の議員に欠員が生じた場合、その議院の議長は、欠員の発生から10日以内に、書面をもって、その旨を国家選挙管理委員会に通知するものとする。
2 補欠選挙は、欠員の発生後60日以内に、国家選挙管理委員会によって実施される。
3 欠員を補充するための補欠選挙は、次の総選挙前3か月以内に実施してはならない。
第65条 国民立法議会又は全州評議会の議員は、就任する際に、その議院の前で、以下の宣誓を行うものとする。:
「私・・・・・・・は、国民立法議会/全州評議会の議員として、ここに、全能の神の前で宣誓/厳粛に確約します。私は、南スーダン共和国及びその国民に対して、真の信仰及び忠誠を誓います。私は、憲法を遵守及び尊重し、法律を遵守します。また、私は、国民立法議会/全州評議会の議員としての任務及び責任を、忠実かつ良心的に遂行し、南スーダン共和国の国民に対して、全力を尽くして奉仕します。神のご加護を/神に誓います。」
第66条 国家議会の任期は5年とする。
2 上記の第1項にかかわらず、現職の国家議会の任期は、2011年7月9日から4年とする。
第67条 いかなる刑事訴訟も、国民立法議会又は全州評議会の議員に対して開始してはならない。また、警察が令状なしに逮捕することができる犯罪を行って逮捕された場合を除いて、その議院の議長の許可なく、その身体又は所持品に対していかなる措置も講じてはならない。
2 議員が重大な犯罪で訴追された場合、その議院は、当該議員の免責特権を解除することができる。
第68条 国家議会は、第56条2項及び第58条の規定に従い、南スーダン立法議会が国民立法議会に移行し、全州評議会が設置された後に、30日以内に大統領が召集し、最初の会議を開催する。
2(a)国民立法議会の議長は、移行する南スーダン立法議会の現職議長が務めるものとする。
(b)全州評議会の最初の会議は、出席議員のうち最年長の者が議長を務め、その議員の中から議長及び副議長を選出するものとする。
3 第101条(g)を損なうことなく、各議院は会期の開会日及び閉会日を決定するものとする。
4 国家議会又は各議院は、その議員の過半数の要求又は大統領の召集により、緊急会又は臨時会を召集することができる。
第69条 国民立法議会は、最初の会議において、その議員の中から議長及び2人の副議長を選出する。
2 全州評議会は、最初の会議において、その議員の中から議長及び1人の副議長を選出する。
3 各議院の議長は、その議院の議事を主宰し、その秩序を管理し、その行政事務を監督する。南スーダン内外において議院を代表するものとする。
4 各議院は、その議事規則に定める専門委員会の委員長及び副委員長並びに特別委員会の委員を選出する。
5 各議院の議長は、議事規則に従い、各議院の書記官を任命する。
6 各議院の書記官は、その議院の議長の監督の下に、各議院の会期の準備及び行政事務の運営に責任を負うものとする。
7 各議院は、その役員及び職員の選出及び任命において、広く包摂性を考慮しなければならない。
8(a)上記の第69条の規定にかかわらず、南スーダン立法議会の現在の運営は、第94条第1項に従い、暫定期間中も継続されるものとする。
(b)移行後の国民立法議会は、2010年議事規則の規定に従い、参加議員の欠員を設けるものとする。
9 全州評議会は、暫定期間中、その議事規則に従って役員を選出するものとする。
第70条 国家議会議員は、法律の規定に従い、報酬を支給され、便宜を供与される。
2 国家議会議員は、議長、副議長、少数党の党首、専門委員会の委員長及び副委員長並びに首席補佐官を除いて、民間部門で有給の他の役職に就き、又は営利事業に従事することができる。ただし、そのような役職又は事業が、議員としての任務を損なわないことを条件とする。
第71条 各議院において第二位の議席数を有する政党は、その議員の中から当該議院の少数党首を選出する。
2 各議院の議事の執行に関して、少数党の党首は、以下の事項を行うものとする。:
(a)各議院において儀礼上、大統領、副大統領及び議長に次ぐ第4位の地位を有する。
(b)各議院において、政府議案を主導するよう指名された大臣に次いで、大統領による議院への演説に対する2番目の答弁権を有する。
3 各議院の議事規則により、その議院における少数党首の実効的な参加について定めるものとする。
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