第97条【大統領】、第98条【大統領職の被選挙権】、第99条【大統領の宣誓】、第100条【大統領の任期】、第101条【大統領の職務】、第102条【大統領職の空位】、第103条【大統領の免責及び弾劾】、第104条【副大統領の任命及び解任】、第105条【副大統領の職務】、第106条【副大統領の空位】、第107条【大統領顧問】
第6編【国家行政】
第2章【大統領】
第97条 南スーダン共和国に大統領を置く。大統領は、この憲法及び選挙法に従って国家選挙管理委員会が定める規定に従い、総選挙において南スーダン国民によって直接選挙される。2 上記の第1項にかかわらず、選出された現職の南スーダン政府大統領は、南スーダン共和国大統領となる。
3 南スーダン共和国大統領は国家元首かつ政府の長であり、スーダン人民解放軍の最高指揮官であり、その他の全ての正規部隊の最高司令官である。国民の意思を代表し、この憲法によって大統領に付与される権限を行使する。
4 2009年7月の Abyei仲裁裁判所裁定により、1905年にBahr el Ghazal州からKordofan州に移管された9つのNgok Dinka族の首長国の領域であるAbyei地域は、その地位に関する最終的な解決まで、南スーダン共和国大統領府の下で特別な行政上の地位を与えられる。:
(a)Abyei地域の9つのNgok Dinka首長国の構成員は、南スーダンの市民権及び国籍並びにこの憲法によって保障される全ての権利及び自由を享受する不可侵の権利を有する。
(b)Abyei地域の最終的な地位について南スーダン及びスーダンの両政府が合意する代替的な解決を損なうことなく、2005年Abyei議定書の規定に従い、9つのNgok Dinka首長国の構成員及びAbyei地域に居住するその他のスーダン人は、以下の選択肢を提示する住民投票において投票するものとする。:
(i)Abyei地域は、スーダン共和国の特別な行政上の地位を享受する。
(ii)Abyei地域は、南スーダン共和国の一部とする。
(c)Abyei地域の安全保障協定は、2005年Abyei議定書の規定又は南スーダン及びスーダンの両政府が合意する代替的な協定に従うものとする。
第98条 大統領候補者は、以下の要件を満たさなければならない。:
(a)出生による南スーダン人であること。
(b)健全な精神状態であること。
(c)40歳以上であること。
(d)読み書きができること。
(f)誠実性又は道徳的不正にかかわる犯罪で有罪判決を受けたことがないこと。
第99条 南スーダン共和国の大統領は、就任に先立ち、国民の前で以下の宣誓を行うものとする。:
「私・・・・・・・は、南スーダン共和国大統領として、ここに、全能の神の前で宣誓/厳粛に確約します。私は、南スーダン共和国に対して忠実であり、真の忠誠を誓い、南スーダン国民の発展及び福祉を増進するために、協議の上で、真摯かつ誠実に任務及び責任を果たします。憲法を遵守、保護及び擁護し、南スーダン国民の団結を保護及び促進し、民主的かつ分権的な統治制度を強化し、南スーダン国民の完全性及び尊厳を保護します。神のご加護を/神に誓います。」
第100条 南スーダン共和国の大統領の任期は5年とする。
2 上記の第1項にかかわらず、移行期間中の南スーダン共和国大統領の任期は、2011年7月9日から4年とする。
第101条 大統領は、以下の職務を遂行する。:
(a)南スーダンの安全を維持し、領域の完全性を防衛する。
(b)憲法及び行政機関を監督し、公務において模範的な指導力を発揮する。
(c)この憲法及び法律に従い、憲法及び司法上の役職者を任命する。
(d)国家大臣会議を主宰する。
(e)この憲法及び法律の規定に従い、緊急事態を宣言及び終了する。
(f)憲法改正及び法律を発議し、国家議会が可決した法案に同意及び署名する。
(g)議長と協議した上で、国家議会を召集、延会又は停会する。
(h)この憲法及び法律に従い、死刑判決を承認し、恩赦を与え、有罪判決又は刑罰を減免する。
(i)大統領顧問を任命する。
(j)特別委員会及び委員会を任命する。
(k)独立機関及び委員会を設置する。
(l)栄典を授与する。
(m)一般的に南スーダン政府及び国民を代表する。
(n)この憲法及び法律に従い、宣戦を布告する。
(o)外国との関係において国家を代表し、国家大使を任命し、外国からの大使の信任状を受領する。
(p)外交政策を指揮及び監督し、国民立法議会の承認を得て、国際条約及び協定を批准する。
(q)この憲法に関連するあらゆる事項について、最高裁判所の意見を求める。
(r)国家安全保障及び領域保全を脅かす国家的危機が発生した場合、州知事を解任し、及び/又は州立法議会を解散する。
(s)この憲法、関連する州憲法及び法律の規定に従い、州知事が解任された州又は州立法議会が解散された州において、60日以内に選挙の準備を行う暫定知事を任命する。
(t)国家の状況に関する年次演説を行う。
(u)法律の定めるその他の職務を遂行する。
第102条 大統領職は以下の場合、空位となる。:
(a)任期の満了。
(b)国民立法議会を通して国民に辞任を表明した場合。
(c)この憲法の規定に従って弾劾された場合。
(d)医療委員会が情報として国民議会に提出した正式の診断書に基づく、精神的又は身体的な障害。
(e)死亡
2 共和国大統領職に空位が生じた場合、空位が生じた日から60日以内に国家選挙管理委員会が実施する選挙が実施されるまでの間、副大統領がその職務を代行する。
第103条 大統領は在任中、いかなる訴訟からも免除され、裁判所において起訴又は提訴されることはない。
2 上記の第1項にかかわらず、国家反逆罪、この憲法に対する重大な違反又は国政に関する重大な不正行為があった場合、大統領は、国民議会の総議員の3分の2以上の賛成で可決する決議により、最高裁判所に起訴することができる。
3 最高裁判所長官は、上記の第2項に規定する弾劾の通知を受領してから7日以内に、最高裁判所の3人の裁判官によって構成される法廷を構成し、通知された申立てを評価し、その所見を最高裁判所の憲法審査会に報告するものとする。
4 大統領は、法廷の手続きに出頭する権利を有し、弁護士若しくはその他の専門家又は自己の選任するその他の者によって代理されることができる。
5 憲法審査会が大統領に有罪判決を下した場合、その最終評決を国民議会に通知し、解任されたものとみなす。
6 大統領解任の通知が精神的又は身体的な障害を理由とする場合、その障害の疑いに関して、医療委員会の5人の資格を有する優秀な専門家によって構成される医療審査団が国民議会に提出した報告書に基づくものとする。
7 大統領は、必要に応じて、必要な検査を受けるために、自ら医療審査団に付託するものとする。
8 医療審査団が、精神的又は身体的な障害のために大統領職を遂行できないと診断した場合、その所見を情報として国民議会に通知し、大統領は解任されたものとみなす。
第104条 副大統領は、国民立法議会の議員の3分の2以上の多数決による承認を得て、大統領が任命する。
2 副大統領は、大統領又は国民立法議会の議員の3分の2以上の多数による決定により、解任することができる。副大統領が何らかの理由で空位となった場合、大統領が後任を任命する。
3 副大統領は、この憲法に定める大統領職の被選挙権の要件を満たさなければならない。
4 副大統領は就任する際に、この憲法の規定に従い、大統領の前で同様の宣誓を行うものとする。
第105条 副大統領は、以下の職務を遂行する。:
(a)大統領が出国して不在の場合、これを代行する。
(b)大臣会議の構成員となる。
(c)安全保障会議の構成員となる。
(d)大統領が割り当てるその他の職務を遂行する。
第106条 副大統領職は以下の場合、空位となる。:
(a)第104条第2項の規定に従い、解任された場合。
(b)大統領に辞表を受理された場合。
(c)医療委員会が情報として国民議会に提出した正式の診断書に基づく、精神的又は身体的な障害。
(d)死亡
第107条 大統領は、限定され人数の大統領顧問を任命し、その職務を定めることができる。
2 大統領顧問は、就任する際に、大統領の前で以下の宣誓を行うものとする。:
「私・・・・・・・は、大統領顧問として、ここに、全能の神の前で宣誓/厳粛に確約します。私は、南スーダンに対して忠実であり、真の信仰及び忠誠を誓い、真摯かつ誠実に任務及び責任を果たし、その国民の発展及び福祉の増進に努めます。憲法を遵守、保護及び擁護し、法律を遵守します。南スーダン国民の団結を保護及び促進し、民主的かつ分権的な統治制度を強化し、南スーダン国民の完全性及び尊厳を保護します。神のご加護を/神に誓います。」
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