第11条【生命、自由、安全及び財産に対する権利、基本的権利の享有、法律の平等な保護を受ける権利】、第12条【奴隷制及び強制労働の禁止】、第13条【移動の自由、出入国の権利並びにリベリア市民及びリベリア人でない居住者の引渡し】、第14条【思想、良心及び宗教の自由】、第15条【表現の自由及びその範囲、公衆の知る権利、国営メディアへのアクセス権、表現の自由の制限】、第16条【プライバシーの権利】、第17条【平和に集会及び結社する権利】、第18条【労働及び雇用の機会均等】、第19条【軍法を適用されない権利】、第20条【陪審裁判を受ける権利及び適正手続、上訴権】
第3章【基本的な権利】
第11条(a)全ての人は等しく自由かつ独立の身として生まれ、特定の自然権及び固有かつ不可譲の権利を有する。この権利には、この憲法に定める資格条件に従い、生命及び自由を享受及び擁護する権利、身体の安全を追求及び維持する権利並びに財産を取得、所有及び保護する権利が含まれる。(b)全ての人は、民族的背景、人種、性別、信条、出身地又は政治的意見にかかわりなく、この憲法に定める資格条件に従い、個人の基本的な権利及び自由に対する権利を有する。
(c)全ての人は法の下に平等であり、したがって、法律の平等な保護を受ける権利を有する。
第12条 何人も、共和国内において奴隷又は強制労働に服することはない。いかなるリベリア市民又は居住者も、奴隷売買を行ってはならない。その他のいかなる人も、強制労働、債務拘束又は債務労働に服することはない。ただし、許容される労働基準に従い、裁判所の判決若しくは命令の結果として合理的に要求される労働、兵役、通常の市民義務の一部である労働若しくは奉仕又はコミュニティの生命若しくは福祉を脅かす緊急事態若しくは災害の場合に要求される奉仕は、強制労働とみなされない。
第13条(a)共和国内に適法に居住する全ての者は、公共の安全、公共の秩序、公衆衛生若しくは道徳又は他者の権利及び自由を保護することを条件として、リベリア全域を自由に移動し、いずれかの地域に居住し、そこから退去する権利を有する。
(b)全てのリベリア市民は、いつでもリベリアを出国し、これに入国する権利を有する。リベリア市民及びリベリア人でない居住者は、犯罪人引渡条約又はその他の有効な相互国際協定の規定に従い、犯罪の訴追のために外国に送還することができる。リベリア人でない居住者は、一定の理由によってリベリア共和国から追放することができる。
第14条 全ての人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有し、何人も、公共の安全、秩序、衛生若しくは道徳又は他者の基本的な権利及び自由を保護するために法律で要求される場合を除いて、その享受を妨げられることはない。宗教の実践において平和に行動し、他者を妨害することなく、ここに定める基準に従う全ての人は、法律の保護を受ける権利を有する。いかなる宗教の宗派又は教派も、他の宗派に対する排他的な特権又は優先権を有することはなく、全て同様に扱われるものとする。いかなる宗教的試験も、文官又は武官の役職に就くために、又は市民的権利を行使するために要求されることはない。宗教と国家の分離の原則に従い、共和国は国教を定めてはならない。
第15条(a)全ての人は表現の自由に対する権利を有し、その濫用に対して全責任を負う。この権利は、この憲法に従って宣言される緊急事態の場合を除いて、政府によって縮小、制限又は禁止されることはない。
(b)この権利は、干渉されることなく意見を表明する権利及び知識を得る権利を包含する。これには、言論及び報道の自由、知識及び情報を受領及び伝達する学問の自由並びにそのような知識を利用可能にする図書館の権利が含まれる。郵便、電話及び電信の不干渉も含まれる。また、黙秘権も含まれる。
(c)この権利に基づき、政府及びその運営について情報を得る公衆の権利を制限してはならない。
(d)国営メディアへのアクセスは、表現される思想に反対し、又はこれを嫌うことを理由に拒否されてはならない。そのようなアクセスの拒否は、管轄裁判所において争うことができる。
(e)この自由は、名誉毀損、プライバシー及びパブリシティの権利侵害又は詐欺、虚偽広告及び著作権侵害の表現の商業的側面を根拠とする訴訟手続によってのみ制限することができる。
第16条 何人も、管轄裁判所の命令による場合を除いて、個人、家庭、住居又は通信のプライバシーを侵害されることはない。
第17条 全ての人はいつでも、秩序ある平和な方法により、集会し、共通善について協議し、その代表者に指示し、政府又はその他の公務員に苦情の救済を請願し、他者と十分に結社し、若しくは政党、労働組合及びその他の団体の結成を拒否する権利を有する。
第18条 全てのリベリア市民は、性別、信条、宗教、民族的背景、出身地又は政治的所属にかかわりなく、労働及び雇用の機会均等を享受し、全ての人は、同一労働同一賃金の権利を有する。
第19条 リベリア軍又は現役の民兵の隊員以外の者は、軍法の適用を受け、又は軍法によって苦痛若しくは刑罰を受け、若しくは軍法会議によって裁判されることはない。
第20条(a)何人も、この憲法の規定及び適正手続に従った審理によらない限り、生命、自由、身体の安全、財産、特権又はその他の権利を奪われることはない。司法は、売買、拒否又は遅延なく執行されなければならない。また、非記録裁判所、軍法会議及び弾劾によらない全ての事件について、当事者は、陪審裁判を受ける権利を有する。
(b)最高裁判所を除く裁判所又は行政委員会若しくは機関の判決、命令、決定又は裁定に対する上訴権は不可侵である。議会は、上訴の提起及び審理を容易、迅速かつ安価に行うための規則及び手続きを定めるものとする。
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