第50条【大統領職の設置及び任期】、第51条【副大統領職の設置及び任期】、第52条【大統領及び副大統領の被選挙権】、第53条【大統領及び副大統領の宣誓】、第54条【副大統領の任命権】、第55条【公証人及び治安判事の任命権】、第56条【大統領の解任権、首長の選挙及び罷免】、第57条【大統領の外交指揮権】、第58条【大統領による年次立法プログラムの提出】、第59条【大統領の恩赦権】、第60条【大統領及び副大統領の報酬】、第61条【大統領の免責】、第62条【大統領及び副大統領の罷免】、第63条【大統領当選者の死亡及び執務不能の場合、大統領の執務不能を宣言する際の指針及び手続き、副大統領を指名する権限】、第64条【大統領職及び副大統領職に空位が生じた場合】
第6章【行政府】
第50条 共和国の行政権は、国家元首、政府の長かつリベリア国軍最高指揮官である大統領に帰属する。大統領は、共和国における登録有権者の成年普通選挙によって選出され、選挙直後の年の1月第3月曜日の正午から6年間在任する。何人も、2期を超えて大統領を務めることはできない。第51条 大統領の職務遂行を補佐する副大統領を置く。副大統領は、大統領と同一の政治的投票によって選出され、大統領と同一の任期を務める。副大統領は元老院の議長となり、可否同数の場合を除いて、投票権を有することなくその審議を主宰する。閣議及びその他の政府会議に出席し、大統領が委任し、又は適切と認める職務を遂行するものとする。ただし、この憲法の規定によって特別に大統領に付与される権限を、副大統領に委任してはならない。
第52条 以下の要件を満たさなければ、大統領又は副大統領の被選挙権を有しない。:
(a)35歳以上の出生によるリベリア市民であること。
(b)抵当権を設定されていない25,000ドル以上の不動産の所有者であること。
(c)選挙の10年前から共和国に居住していること。ただし、大統領と副大統領は同じ郡の出身であってはならない。
第53条(a)大統領及び副大統領は、その職務の執行を開始する前に、共和国の憲法及び法律を遵守、保護及び擁護し、職務を誠実に執行することを厳粛に宣誓又は確約する。宣誓又は確認は、議会の両議院合同会議において、最高裁判所長官又はその欠席の場合は最上位の最高裁判所裁判官が執り行う。
(b)最高裁判所長官及び裁判官が出席できない緊急事態において、宣誓又は確約は、下級記録裁判所の裁判官が執り行うものとする。
第54条 大統領は、以下の者を指名し、元老院の同意を得て、任命及び委任する。-
(a)大臣、副大臣及び補佐閣僚。
(b)大使、公使及び領事。
(c)最高裁判所長官及び裁判官並びに下級裁判所の裁判官。
(d)郡長、その他の郡職員及びその他の政治的小区分の職員。
(e)中尉以上の階級の軍隊員。
(f)元帥、副元帥及び保安官。
第55条 大統領は、公証人及び治安判事を任命及び委任する。その任期は2年とする。ただし、理由があれば大統領はこれを解任することができる。任命資格を有するものとする。
第56条(a)この憲法に基づき大統領によって任命された全ての閣僚、副閣僚及び補佐閣僚、大使、公使及び領事、郡長並びにその他の政府職員は、武官であれ文官であれ、大統領の意向によって在任するものとする。
(b)最高部族長、族長及び町長の選挙は、その地方団体の登録有権者によって行われ、任期は6年とする。再選することができる。不正行為が立証された場合のみ、大統領はこれを解任することができる。議会は必要に応じて、その資格条件を定める法律を制定するものとする。
第57条 大統領は、共和国の外交事務を処理する権限を有する。これに関して、議会の各議院の過半数の同意を得て、条約、協定及び類似の国際合意を締結する権限を有する。
第58条 大統領は、毎年1月第4月曜の営業日に、次の会期のために行政の立法プログラムを提出し、年1回、共和国の状況について議会に報告するものとする。共和国の経済状況を報告する際に、収入と共に支出も対象とする。
第59条 大統領は、弾劾を除く全ての犯罪について、有罪判決を受けた後に、没収及び刑罰を免除し、罰金及び刑の執行を停止し、執行猶予及び恩赦を与え、市民権を回復することができる。
第60条 大統領及び副大統領は、議会の定める給与を受け取り、共和国から支払われる。そのような給与は、法律の規定に従って租税の対象となる。大統領及び副大統領の選挙期間中、これを増額又は減額してはならない。
第61条 大統領は、この憲法又は共和国のその他の法律の規定に従い、リベリア大統領在任中に行った行為を理由として、司法上若しくはその他の訴訟若しくは手続き及び逮捕、拘禁又はその他の措置を免除される。ただし、大統領は、大統領在任中に行った犯罪行為について、罷免されても訴追を免れることはできない。
第62条 大統領及び副大統領は、国家反逆罪、収賄及びその他の重罪、憲法違反又は重大な不正行為があった場合、弾劾によって罷免される。
第63条(a)大統領に当選した者が、就任前に死亡又は執務不能となった場合、当選した副大統領が大統領職を継承し、この就任によって任期が開始する。
(b)死亡、辞任、弾劾又は大統領がその職務を遂行できないと宣言されたことにより、大統領職が空位となった場合、副大統領は、未了の任期を全うするために大統領職を継承する。その場合、これは任期に算入されない。
(c)議会は、この憲法の施行後1年以内に、病気を理由として大統領がその職務を遂行できないと宣言される場合の指針を定め、その手続きを決定するものとする。
(d)死亡、辞任、弾劾、執務不能又はその他の理由によって副大統領職が空位となった場合、大統領は遅滞なく候補者を指名し、両議院の同意を得るものとする。副大統領として宣誓し、次の総選挙が実施されるまで在任する。副大統領が就任前に死亡、辞任又は執務不能となった場合、副大統領と同じ投票で選出された大統領は、就任後に遅滞なく候補者を指名し、両議院の同意を得るものとする。副大統領として宣誓し、次の総選挙が実施されるまで在任する。
第64条 大統領職及び副大統領職が罷免、死亡、辞任、執務不能又はその他の障害によって空位となった場合、その空位を補充する選挙が実施されるまでの間、代議院議長が大統領代行に宣誓就任する。議長が法的無能力又はその他の理由によって大統領代行に就任できない場合、法律の定める優先順位に従い、副議長及び閣僚に順次委任されるものとする。選挙管理委員会は、90日以内に新たな大統領及び副大統領の選挙を実施する。
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