第77条【政党の設立、選挙の実施及び投票権行使の資格基準】、第78条【「団体」、「政党」及び「無所属候補者」の定義】、第79条【政党及び無所属候補者の登録基準、組織への加入、本部所在地、名称、目的、紋章及び標語の制限、規約及び規則】、第80条【選挙管理委員会の登録拒否権及び取消権、市民の投票権、選挙区の変更、選挙区の設定及び制限、選挙区割りの変更】、第81条【市民、政党、組織及び団体の投票を依頼する権利】、第82条【市民、団体及び組織の資金を拠出する権利、国外からの献金の禁止、帳簿を調査及び監査する選挙管理委員会の権限】、第83条【総選挙の実施時期、公務員の選挙手続、選挙結果の宣言並びに不服のある政党及び候補者の上訴権、資産及び負債明細書の公表】、第84条【議会による関連する法律の制定】
第8章【政党及び選挙】
第77条(a)民主主義の本質は、政党及び政治団体並びに個人によって表明される思想の自由な競争であり、政党は、国民の政治的意見を主張するために自由に設立することができる。一党独裁国家を生み出す効果を有する恐れのある法律、規則、政令又は措置は違憲と宣言される。(b)全ての選挙は、選挙管理委員会が定める秘密投票による。18歳以上の全てのリベリア市民は、有権者として登録され、この憲法に基づく選挙及び国民投票において投票する権利を有する。議会は、政党を結成し、又はこれに加入してはならないリベリア人の区分を示す法律を制定しなければならない。
第78条 本章において「団体」とは、文脈上別段の定めがない限り、集団、会社又はその他の団体で、共通の目的のために共に行動するものを意味する。民族的、社会的、文化的、職業的又は宗教的な目的のために組織された人々の集団を含む。「政党」とは、6つ以上の郡において、それぞれ500人以上の有権者を会員とする団体である。その活動には、公共の問題に関する投票又は公選の公職の候補者を支持するための投票依頼が含まれる。また、「無所属候補者」とは、政党から独立して行動し、独自の組織の有無にかかわりなく、公選の地位又は役職を求める者である。
第79条 いかなる団体も、いかなる名称であれ、政党として機能してはならない。また、いかなる市民も、公職選挙のための無所属候補者となってはならない。ただし、以下の場合を除く。:
(a)団体又は無所属候補者及びその組織は、選挙管理委員会が定める最低限の登録要件を満たし、これに登録するものとする。登録要件には、団体の定款並びに無所属候補者及びその組織の指針の写し、団体及びその役員又は無所属候補者及びその組織の役員の氏名及び住所の詳細な記載並びに本項(b)、(c)、(d)及び(e)の規定の履行を選挙管理委員会に提出することが含まれる。選挙管理委員会による団体又は無所属候補者及びその組織の登録は、登録された団体又は候補者及びその組織に法人格を付与し、不動産、個人又は混合財産を所有し、訴訟し、口座を保有する能力を付与するものとする。選挙管理委員会が登録を拒否し、又は登録しなかった場合、申請者は最高裁判所に異議を申し立てることができる。
(b)団体又は無所属候補者の組織への加入は、この憲法に別段の定めがある場合を除いて、性別、宗教又は民族的背景にかかわりなく、リベリアの全ての市民に開かれているものとする。
(c)団体又は無所属候補者及びその組織の本部は、以下の場所にあるものとする。:
(i)団体が関与する場合又は無所属候補者が大統領若しくは副大統領の選挙に立候補する場合、共和国の首都。
(ii)無所属候補者が元老議員選挙に立候補する場合、郡の本庁。
(iii)候補者が代議院議員又はその他の公職に立候補する場合、選挙区の選挙センター。
(d)団体又は無所属候補者及びその組織の名称、目的、紋章又は標語は、宗教的な意味合い又は民族分断的な含意がなく、団体又は無所属候補者の活動は、特別な集団に限定されることなく、団体の場合、リベリアの特定の地理的地域に限定されてはならない。
(e)政党の規約及び規則は、この憲法の規定に従い、6年に1度以上の役員及び/又は執行部の民主的な選挙を定め、国内の可能な限り多くの地域及び民族から役員が選出されるよう保障する。政党の規約又は規則の改正は全て、その改正の発効日から10日以内に、選挙管理委員会に登録しなければならない。
第80条(a)その目的又は支持者の行動により、リベリアの自由かつ民主的な社会を棄損又は破棄し、又は共和国の存立を危うくしようとする政党又は組織は、登録を拒否される。
(b)政治的な目的又は利益を推進するために、物理的な力又は威圧を使用又は示威するために、個人又は集団を維持、組織、訓練又は装備する政党又は組織は、登録を拒否され、又は登録されていたとしてもこれを取り消される。
(c)全てのリベリア市民は、選挙区において登録され、登録された選挙区においてのみ、直接又は不在者投票によって投票する権利を有する。ただし、その市民は、議会の定める規定に従い、投票区を変更する権利を有する。
(d)各選挙区は、人口20,000人又は国勢調査によって判明した人口の増加及び移動に合わせて議会が定める市民数とほぼ等しい人口を有するものとする。
(e)国勢調査の直後で次の選挙前に、選挙管理委員会は、新しい人口数に従って選挙区割りを変更し、全ての選挙区が可能な限り同じ人口となるようにしなければならない。ただし、選挙区は1つの郡内のみでなければならない。
第81条 リベリアに居住し、リベリア国籍又は出自を有し、この憲法及び国の法律の規定によって不適格とされない市民、政党、組織又は団体は、あらゆる選挙において、政党又は候補者のために投票依頼をする権利を有する。ただし、会社、事業団体及び労働組合は、いかなる形であれ、直接的又は間接的な投票依頼から除外される。
第82条(a)リベリアの国籍又は出自を有する市民、政党団体又は組織は、政党又は候補者の資金又は選挙費用に拠出する権利を有する。ただし、会社、事業団体及び労働組合は、あらゆる政党の資金又は経費への拠出から除外される。議会は法律により、そのような献金を行う際の指針及び献金可能な上限額を定めるものとする。
(b)いかなる政党又は組織も、リベリア国外で資金又はその他の資産を保有又は所有することはできない。また、これらの組織又は無所属候補者は、国外に居住するリベリア市民が送金又は送付する場合を除いて、リベリア国外から送金又は送付される資金又は資産を保持することはできない。この制限に違反して直接又は間接的に受領した資金又はその他の資産は、受領後21日以内に選挙管理委員会に送金又は移転しなければならない。国外から受領した全ての資金に関する情報は、速やかに選挙管理委員会に提出するものとする。
(c)選挙管理委員会は、政党、無所属候補者及びその組織の財務取引について審査し、認定監査を命じる権限を有する。委員会は、政党の構成員でない公認会計士が保管する記録の種類及び実施方法について定めるものとする。
第83条(a)大統領、副大統領、元老院議員及び代議院議員の投票は、各選挙年の10月の第2火曜日に共和国全域で行われる。
(b)公務員の選挙は全て、投票総数の過半数によって決定される。1回目の投票で過半数を獲得した候補者がいない場合、2回目の投票が次の第2火曜日に行われる。1回目の投票における最多得票の2人の候補者が、決選投票に参加するものとする。
(c)選挙の結果は、投票後15日以内に選挙管理委員会が宣言する。選挙の実施方法について不服があり、又は選挙結果を争う政党又は候補者は、選挙管理委員会に不服を申し立てる権利を有する。そのような申立ては、選挙結果の発表後7日以内に提起しなければならない。
選挙管理委員会は、申立てを受理してから30日以内に公平な調査を行い、申立ての棄却又は候補者の当選無効を含む決定を下すものとする。この決定により影響を受ける政党又は無所属候補者は、7日以内に最高裁判所に上訴しなければならない。
選挙管理委員会は、上訴の通知を受領してから7日以内に、その事件に関する全ての記録を最高裁判所に送付し、同裁判所はその後7日以内に審理を行う、判決を下すものとする。最高裁判所が、いかなる理由であれ、候補者の当選を無効とし、又はこれを支持した場合、選挙管理委員会は、裁判所の判決から60日以内に、欠員を補充するための新たな選挙を実施する。裁判所が候補者の当選を支持した場合、選挙管理委員会は裁判所の命令を執行するために行為するものとする。
(d)全ての政党は毎年9月1日に、その政党の全ての候補者及び全ての無所属候補者は、立候補する選挙が実施される30日前までに、資産及び負債の詳細な明細書を公表し、選挙管理委員会に提出しなければならない。資金源及びその他の資産の一覧に加えて、支出の一覧も含まれるものとする。そのような明細書の提出が選挙年に行われる場合、全ての政党及び無所属候補者は、最初の明細書の提出日から選挙期日までに受領した全ての資金及び支出に関する詳細な補足明細書を選挙管理委員会に追加提出しなければならない。職務を停止した政党又は無所属候補者は、最終財務報告書を公表し、選挙管理委員会に提出するものとする。
第84条 議会は、法律により、本章の関連規定に違反した場合の罰則を定め、1986年までに、これを推進する法律及び規則を制定するものとする。ただし、そのような罰則、法律又は規則は、この憲法の規定に抵触してはならない。
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