第85条【軍に戦闘準備態勢を命じる権限】、第86条【緊急事態宣言の権限及び条件】、第87条【緊急権限行使の制限、緊急事態の影響を受けない人身保護令状の権利】、第88条【議会の決定】
第9章【緊急権限】
第85条 大統領は軍の最高指揮官として、緊急事態宣言の前後において、状況に応じて共和国を防衛するために、軍の一部分に対して戦闘準備態勢を命じることができる。ただし、全ての軍事的権力又は権限は、常に文民当局及び憲法に服するものとする。第86条(a)大統領は、代議院議長及び元老院臨時議長と協議した上で、共和国又はその一部において緊急事態が存在することを布告し、宣言することができる。これに基づき、大統領は、この憲法に含まれる特定の権利、自由及び保障を停止し、又はこれに影響を与え、緊急事態に対処するために必要かつ適切なその他の緊急権限を行使することができる。ただし、本章に含まれる制限に従うものとする。
(b)緊急事態は、戦争の脅威若しくは勃発がある場合、又は共和国の存立、安全若しくは福祉に影響を及ぼす市民動乱で、明白かつ現在の危険に相当する場合のみ宣言することができる。
第87条(a)緊急権限は、憲法の停止若しくは廃止、議会の解散又は司法府の停止若しくは解任の権限を含まない。緊急事態の間は、憲法改正を公布してはならない。議会が閉会中の場合、直ちに特別会を召集し、緊急事態の全期間中、会期を維持するものとする。
(b)人身保護令状は、常に利用及び行使することができる。緊急事態を理由に停止されることはない。最も自由、容易、安価、迅速かつ十分な方法で享受されなければならない。この権利の侵害を受けた者は、管轄裁判所においてその侵害を争うことができる。
第88条 大統領は、緊急事態の宣言後直ちに、ただし、その後7日以内に、その宣言に至った事実及び状況を、通常会又は特別に召集された会議において議会に説明しなければならない。議会は72時間以内に、各議院の議員の3分の2以上の賛成による共同決議により、緊急事態宣言が正当であるか否か、又はこれに基づく措置が適切であるか否かを決定するものとする。3分の2の賛成が得られなかった場合、緊急事態は自動的に取り消される。議会が緊急事態を取り消し、又はこれに基づく措置を修正する必要があると認める場合、大統領はそれに従って行動し、議会の決定を直ちに執行しなければならない。
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