第21条【財産の剥奪からの保護】、第22条【住居及びその他の所有物のプライバシーの保護】、第23条【法律の保護を保障する規定】
第3章【個人の基本的な人権及び自由の承認及び保護】
第21条 いかなる種類の財産も、以下の条件を満たす場合を除いて、強制的に占有されることはない。また、いかなる種類の財産に対する利益又は権利も、強制的に取得されることはない。(a)占有又は取得が、国防、公共の安全、公の秩序、公衆道徳、公衆衛生、町及び郡計画、シエラレオネ市民の公共の利益又は公共の福祉を増進する方法による財産の開発又は利用のために必要であること。
(b)その必要性が、当該財産に利害関係を有し、又はこれに対する権利を有する者に結果として生じる得る困難を合理的に正当化できるものであること。
(c)占有又は取得に適用される法律により、以下の事項に関する規定が設けられていること。
(i)適切な補償金が速やかに支払われること。
(ii)その財産に利害関係を有し、又はこれに対する権利を有する者に対して、その利益又は権利、財産、利益又は権利の占有又は取得の適法性及びその者が権利を有する補償の金額を決定するために、並びにその補償金の迅速な支払いを得るために、裁判所又はその他の公平かつ独立した当局にアクセスする権利を保障すること。
2 本条のいかなる規定も、以下の財産の占有又は取得を規定する範囲において、法律の制定又は運用に影響を及ぼすものと解釈されてはならない。―
(a)納税義務を満たすためのもの。
(b)民事訴訟に基づくものであれ、刑事犯罪の有罪判決後のものであれ、法律違反に対する罰則によるもの。
(c)リース、借地権、抵当権、売渡証書、質権又は契約に付随するもの。
(d)信託財産、敵国財産、無主物、禁止されている外国人の財産又は破産若しくは支払不能の宣告を受けた者、精神障害者、死亡者若しくは清算過程にある法人若しくは任意団体の財産の帰属又は管理によるもの。
(e)裁判所の判決又は命令の執行によるもの。
(f)その財産が危険な状態にあり、又は人間、動物若しくは植物の健康を害する恐れがあることを理由とするもの。
(g)訴訟の制限に関する法律に起因するもの。
(h)審査、捜査、裁判若しくは調査のために、又は土地の場合、これに対する以下の事項の遂行のために、占有が必要とされる期間のみ行われるもの。
(i)土壌又はその他の天然資源の保全のための作業。
(ii)土地の所有者又は占有者に要求され、合理的又は適法な理由なく、その実施を拒否又は怠った農業開発又は改良。
3 本条のいかなる規定も、財産、利益又は権利が、法律によって直接設立され、議会又はシエラレオネ旧植民地及び保護領の立法府によって提供された以外の資金が投資されていない法人によって保有されている場合、公共の利益のための財産の強制的な占有又は財産若しくはその権利の強制的な取得に関する法律の制定又は運用に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
4 強制的に占有されたあらゆる種類の財産及び公共の利益又は目的のために強制的に取得されたあらゆる種類の財産に対する利益又は権利は、その公共の利益又は目的のためにのみ使用しなければならない。
5 第4項に規定する財産が、その公共の利益又は目的のために使用されない場合、強制的な占有又は取得の直前に所有者であった者は、その財産を取得する第一の権利を付与されるものとする。その場合、当事者間で合意された補償金の全額又は一部を返還しなければならない。ただし、そのような合意がない場合、高等裁判所が決定する金額とする。
第22条 本人の同意がある場合を除いて、何人も、その身体若しくは所有物の捜索又はその敷地内への他人の立入りを受けてはならない。また、その書簡、電話の会話並びに電信及び電子通信を妨害されてはならない。
2 法律に含まれる、又はその権限に基づいて行われる事項は、当該法律が以下の合理的に必要とされる規定を設ける範囲において、本条に抵触又は違反するものとはみなされない。―
(a)国防、公共の安全、公の秩序、公衆道徳、公衆衛生、町及び郡計画又は公共の利益を促進する方法による財産の開発若しくは利用のための規定。
(b)法律によって直接設立された法人又は政府の部局若しくは地方当局に対して、人の敷地内に適法に存在し、その法人又は政府若しくは当局に帰属する財産又は設備に関連する作業を実施するために、当該敷地内への立入りを認める規定。
(c)他者の権利及び自由を保護することを目的とする規定。
(d)裁判所の判決又は命令を執行することを目的とする規定。
(e)女性、子ども、若者、高齢者及び障害者の健康、安全、発達及び福祉に必要な特別なケア及び支援を提供することを目的とする規定。
ただし、その規定又はその権限に基づいて行われる事項が、民主的社会において合理的に正当化できないことが明示される場合を除く。
第23条 刑事犯罪の被告人は、その起訴が取り下げられない限り、法律によって設置された、独立した公平な裁判所により、合理的な期間内に公正な審理を受けるものとする。
2 民事上の権利又は義務の存在又は範囲を決定する法律の定める裁判所又はその他の当局は、独立かつ公平でなければならない。そのような決定のための訴訟が、個人若しくは当局又は政府により、又はそのような裁判所若しくは当局において開始された場合、その事件は、合理的な期間内に公平な審理を受けるものとする。
3 全ての裁判所の訴訟及び裁判所又はその他の当局における民事上の権利又は義務の存在又は範囲の決定に関する訴訟は、裁判所又はその他の当局の決定の公表を含め、公開で行わなければならない。:
ただし、裁判所又はその他の当局は、公開することが司法又は中間的な民事訴訟の利益を害する状況において必要又は便宜的であると認める範囲において、又は国防、公共の安全、公の秩序、公衆道徳、21歳未満の者の福祉若しくは訴訟関係者の私生活の保護のために法律によって権限を付与され、若しくは要求される範囲において、当事者及びその法定代理人以外の者をその訴訟から排除することができる。
4 刑事犯罪の被告人は、有罪を立証されるまで、又はこれを認容するまで無罪と推定される。:
ただし、法律に含まれる、又はその権限に基づいて行われる事項は、当該法律が前述の被告人に特定の事実の立証責任を課す範囲において、本項に抵触又は違反するものとはみなされない。
5 全ての被告人は―
(a)起訴時にその罪状について、その者が理解できる言語で詳細に通知されなければならない。
(b)自己の弁護の準備のために十分な時間及び便宜を供与されなければならない。
(c)自ら又は自己の選任する法律家により、弁護することを認められなければならない。
(d)裁判において検察側が召喚した証人を自ら又はその法律家によって尋問し、検察側が召喚する証人に適用されるのと同じ条件で、裁判において自己のために証言する証人を召喚し、尋問するための便宜を供与されなければならない。
(e)裁判において使用される言語を理解することができない場合、無料で通訳の支援を受けることが認められなければならない。:
ただし、法律に含まれる、又はその権限に基づいて行われる事項は、当該法律が地方裁判所における法定代理を禁止する範囲において、本項に抵触又は違反するものとはみなされない。
6 人が刑事犯罪について裁判を受ける場合、被告人又はそのために権限を付与された者は、その者が要求する場合、法律の定める相当な手数料を支払うことを条件として、相当な期間内に、いかなる場合も裁判後3か月以内に、被告人が使用するために、裁判所が作成し、又はこれのために作成された訴訟記録の写しを交付されなければならない。
7 何人も、その実行時に犯罪を構成しなかった行為又は不作為を理由として、刑事犯罪で有罪とされてはならない。
8 刑事犯罪に対して、その程度又は内容において、その実行時に科すことができた最高刑よりも重い刑罰を課してはならない。
9 刑事犯罪について管轄裁判所による裁判を受け、有罪又は無罪の判決を受けたことを明示する者は、有罪又は無罪の判決に関する上訴手続の過程においてなされた上級裁判所の命令による場合を除いて、その犯罪又は当該裁判において有罪判決を受ける可能性があった他の犯罪について再度裁判にかけられてはならない。また、犯罪について恩赦を受けたことを明示する者は、その犯罪について裁判にかけられてはならない。:
ただし、いかなる法律も、その法律が国防軍の隊員を、服務法に基づくその者の裁判及び有罪又は無罪の判決にかかわりなく、刑事犯罪について裁判する権限を裁判所に付与することのみを理由として、本項に抵触又は違反するものとはみなされない。
10 法律に含まれる、又はその権限に基づいて行われる事項は、第7項及び第8項の場合を除いて、その法律が緊急事態の期間中に、当該期間前又は期間中に存在する状況に対処する目的で合理的に正当化される措置を講じることを認める範囲において、本項に抵触又は違反するものとはみなされない。
11 第5項(c)及び(d)において「法律家」という表現は、高等裁判所の法廷弁護士及び事務弁護士として執務する資格を有する者を意味する。
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