第49条【大統領職の空位】、第50条【精神的又は身体的な障害】、第51条【大統領の不正行為】、第52条【一時的な代行】
第5章【行政府】
第1節【大統領】
第49条 大統領職は以下の場合、空位となるものとする。―(a)この憲法の第46条第1項に規定する任期が満了した場合。
(b)現職が死亡、辞任又は退任した場合。
(c)現職がこの憲法の第50条又は第51条の規定に従って失職した場合。:
ただし、その後3か月以内に議会議員の総選挙が実施される場合又は緊急事態が宣言された場合、大統領は、任期が満了しても辞任又は退任してはならない。
2 シエラレオネが、国の領域が物理的に巻き込まれる戦争状態にあり、大統領が選挙を実施することが実際的でないと認める場合、議会は決議により、第46条第1項に規定する5年の期間を延長することができる。ただし、その延長は、1度に6か月を超えてはならない。
3 大統領職を辞任又は退任する場合、最高裁判所長官宛てに書面で行い、その写しを議長及び首席選挙管理委員に送付しなければならない。
4 第1項(b)及び(c)の結果、大統領が死亡、辞任、退任し、又は罷免された場合、副大統領は、大統領の死亡、辞任、退任又は罷免の日から大統領職に就任し、その未了の任期を引き継ぐものとする。
5 副大統領は、第4項に基づいて大統領に就任する前に、この憲法の附則2に定める職務執行の宣誓を行い、これに署名しなければならない。
第50条 内閣が、この憲法によって大統領に付与される職務を遂行するための大統領の精神的又は身体的な能力に関する問題を調査するべきであると決議し、その旨を議長に通知した場合、議長は、シエラレオネの医療サービスの長と協議した上で、シエラレオネの法律に基づいて医師として登録されている者の中から、議長が選任する5人以上によって構成される委員会を任命する。
2 第1項に基づいて任命された委員会は、大統領が、精神的又は身体的な障害を理由に、この憲法によって大統領に付与される職務を遂行する能力があるか否かを調査し、委員会の意見を記載した報告書を議長に提出するものとする。
3 内閣が、この憲法によって大統領に付与される職務を遂行する大統領の精神的又は身体的な能力について、第1項の規定に従って調査するべきであると決議した場合、大統領は、他の者が大統領に就任した時に、その職務の遂行を停止する。委員会が報告書を提出するまで、その職務は、この憲法の第52条第1項に従って執行されるものとする。
4 委員会が、精神的又は身体的な障害を理由として、大統領がこの憲法によって付与される職務を遂行する能力がないと報告した場合、議長は、その旨を書面で証明するものとする。その結果、大統領は失職し、大統領職に空位が生じたものとみなされ、この憲法の第49条第4項が適用される。
5 第4項に規定する委員会の報告書を受領した場合、議長は、以下の事項を行うものとする。―
(a)議会が開会又は召集されている場合、5日以内に報告書を議会に提出する。
(b)議会がその時に閉会中の場合(停会中であっても)、議長は、委員会の報告書の受領後21日以内に議会を召集し、委員会の報告書を議会に提出する。
6 本条を適用する上で―
(a)内閣は、閣僚の欠員又は欠席にかかわりなく、行動することができる。
(b)大統領が精神的又は身体的な障害を理由として、この憲法によって付与されるその職務を遂行することができない旨の議長による証明書は、それが効力を有する期間において最終的なものとする。いかなる裁判所もこれを受理又は調査してはならない。
第51条 大統領が憲法違反又は職務遂行上の重大な不正行為を行ったと申し立て、その詳細を明記し、これを調査するために本条に基づいて裁判所を任命することを提案する動議について、議会議員の2分の1以上が署名した書面による通知が議長に提出された場合、議長は、以下の事項を行わなければならない。―
(a)議会が開会中であるか、5日以内に召集される場合、通知の受領後7日以内にその動議を議会で審議させるものとする。
(b)議会がその時に閉会中の場合(停会中であっても)、通知の受領後21日以内に議会を召集し、その動議を議会で審議させるものとする。
2 本条に基づく動議が議会の審議に付された場合、議会は秘密会を開催し、その動議について討議してはならない。ただし、議長又は議会を主宰する者は、直ちにその動議について採決を行わせ、その動議が総議員の3分の2以上の賛成を得た場合、その動議の可決を宣言するものとする。
3 第2項に基づいて動議が可決されたと宣言された場合―
(a)議長は、直ちに最高裁判所長官に通知する。同長官は、最高裁判所裁判官である裁判長及び最高裁判所長官が選任する4人以上の者によって構成される裁判所を任命する。4人うち少なくとも2人は、高位の司法職にある者又はその経験者とする。
(b)裁判所は事案を調査し、動議が可決された日から3か月以内に、申立書に明記された内容が支持できると認めるか否かを、議長を通して議会に報告するものとする。
(c)大統領は、裁判所が大統領に対する申立てを調査している間に、裁判所に出頭し、裁判で代理される権利を有する。
4 裁判所が、動議に明記された大統領に対する申立ての内容が立証されなかったと認める旨を議会に報告した場合、その申立てに関して、本条に基づくさらなる手続きを行ってはならない。
5 裁判所が、動議に明記された申立ての内容が立証されたと認める旨を議会に報告した場合、議会は、秘密会において総議員の3分の2以上の賛成を得た動議により、大統領が憲法違反又はその職務の継続に相応しくない重大な不正行為を行った旨を決議することができる。議会がそのように決議した場合、大統領はその時に失職し、大統領職に空位が生じたものとみなされ、この憲法の第49条第4項が準用される。
第52条 大統領がシエラレオネから出国し、又は病気若しくはその他の理由により、この憲法によって大統領に付与される職務を遂行できない場合、その職務は副大統領が遂行する。
2 第1項に基づいて就任する際に、副大統領は、大統領の宣誓を行うことなく、これに署名しないものとする。
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