第4条【政府の基本的義務】、第5条【政府及び国民】、第6条【政治的目標】、第7条【経済的目標】、第8条【社会的目標】、第9条【教育的目標】
第2章【国家政策の基本原則】
第4条 政府の全ての機関及び立法権、行政権又は司法権を行使する全ての当局及び人は、本章の規定に従い、これを遵守し、適用するものとする。第5条 シエラレオネ共和国は、自由、民主主義及び正義の原則に基づく国家とする。
2 したがって、以下の事項を宣言する。―
(a)主権はシエラレオネ国民に帰属する。政府は、この憲法を通して、全ての権力、権限及び正当性を有する。
(b)シエラレオネ国民の安全、平和及び福祉は、政府の主要な目的及び責任である。そのために、シエラレオネ国民を保護及び防衛することは、軍、警察、公務員及びあらゆる公安機関の義務である。
(c)国家統治への国民の参加は、この憲法の規定に従って保障される。
第6条 シエラレオネ共和国の標語は、団結、自由及び正義とする。
2 したがって、国は、国民統合及び団結を促進し、出身地、出生環境、性別、宗教、身分、民族的又は言語的な団体又は関連を理由とする差別を抑止するものとする。
3 国民統合及び団結を促進するために、国は、以下の事項を行うものとする。―
(a)シエラレオネ全域における人、物品及びサービスの自由な移動のために十分な便宜を供与し、これを奨励する。
(b)国の全ての地域において、全ての市民の完全な居住権を保障する。
4 国は、個人の自由を保護及び擁護し、法の支配を実施し、政府サービスの効率的な運営を保障する。
5 国は、あらゆる腐敗行為及び権力濫用を根絶するためにあらゆる措置を講じるものとする。
第7条 国は、この憲法に規定する理想及び目標の範囲内で、以下の事項を行うものとする。―
(a)国家の繁栄及び効率的で活力に満ちた、自立した経済を促進するために、国の全ての天然資源を活用する。
(b)社会正義及び機会均等に基づいて、全ての市民の最大限の福祉及び自由を保障するように、国民経済を管理及び統制する。
(c)経済分野に参加するその他の者の権利を損なうことなく、経済活動に従事するあらゆる市民の権利を保護する。
(d)食料生産の自給を保障するために、あらゆる面で農業に適切かつ十分な重点を置く。
(e)政府がこれらの目的を推進するために、シエラレオネ人による経済のあらゆる分野への参加を常に優先及び奨励することを保障する。
第8条 国の社会秩序は、自由、平等及び正義の理想に立脚するものとする。
2 社会秩序を推進するために―
(a)全ての市民は、法の下に権利、義務及び機会の平等を有する。国は、全ての市民が実力に基づき、全ての機会及び利益への平等な権利及びアクセスを有することを保障する。
(b)国は、人間及びその尊厳を認め、維持し、向上させるものとする。
(c)政府は、司法裁判所の独立性、公平性及び完全性並びにこれに対する自由なアクセスを保障及び維持するものとする。そのために、法制度の運用が機会均等を基礎とする司法を推進し、司法を保障する機会が経済的又はその他の障害を理由として、いかなる市民に対しても否定されないことを保障する。
3 国は以下の事項を保障するために、その政策を指揮するものとする。―
(a)全ての市民は、いかなる理由によっても差別されることなく、十分な生計手段を確保する機会及び適切な雇用を確保する十分な機会を有すること。
(b)勤務及び労働の条件が公平、公正かつ人道的であり、余暇並びに社会的、宗教的及び文化的な生活のための十分な施設があること。
(c)全ての被雇用者の健康、安全及び福祉が保護され、危険にさらされ、又は虐待されないこと。特に、国の財源を十分に考慮して、子どもを持つ働く女性のために特別な規定を設けること。
(d)国の財源を十分に考慮して、全ての人のために十分な医療及び保健施設があること。
(e)性別による差別のない同一労働同一賃金とし、全ての被雇用者に適切かつ十分な報酬が支払われること。
(f)高齢者、若者及び障害者のケア及び福祉を積極的に推進及び保護すること。
第9条 政府は以下の手段により、全ての市民に平等な権利及び適切な教育の機会があらゆる段階で保障されるように、その政策を指揮するものとする。―
(a)初等教育、中等教育、職業教育、技術教育、単科大学及び総合大学など、教育のあらゆる段階及び側面において教育施設を提供することにより、全ての市民に、その能力、適性及び意向に応じて最善の教育を受ける機会を保障すること。
(b)教育施設の保障において、子ども、女性及び障害者などの社会的弱者の権利を保護すること。
(c)教育に必要な機構、資金援助及び支援施設を可能な限り提供すること。
2 政府は、識字率の向上に努めるものとする。そのために、以下の事項を達成するために教育政策を指揮するものとする。―
(a)無償の成年者のための識字教育プログラム。
(b)小学校及び中学校の段階における無償の義務的基礎教育。
(c)可能な限り高等学校を無償化すること。
3 政府は、先住民族の言語の学習並びに近代科学、外国語、技術、商業及びビジネスの研究及び応用を推進するものとする。
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