第74条【法律の公布】、第75条【国民投票】、第76条【議会から大統領への授権法】、第77条【非常権限】、第78条【戒厳令及び緊急事態の宣言】、第79条【大統領から議会へのメッセージ】、第80条【国民議会の解散】、第81条【大統領職の空位】、第82条【大統領に供与される便益、元大統領の年金】、第83条【副大統領】
第3編【権力の組織及び行使】
第1章【行政権】
第1節【大統領】
第74条 共和国大統領は、国民議会による条文の最終採択後15日以内に法律を公布する。国民議会が緊急を要すると宣言した場合、この期間は5日に短縮される。所定の期間内に法律が公布されなかった場合、憲法院が意見を表明した後に、自動的に発効する。
ただし、この期間が経過する前に、国民議会に対して、法律又はその規定の一部について再審議を要求することができる。この要求は根拠あるものでなければならない。また、再審議を拒否することはできない。同じ会期中に行う義務を負う。
この再審議のために提出された条文をそのまま採択するには、国民議会議員の3分の2以上の多数決によらなければならない。
共和国大統領は、議会の会期終了の翌月にこの法律を公布するものとする。
第75条 共和国大統領は状況に応じて、大臣会議、国民議会事務局及び憲法院長と協議した上で、法案又は公布前にすでに議会で議決された法律を国民投票に付すことができる。
国民投票の結果、国民によって採択された条文は、15日以内に公布するものとする。
第76条 例外的に期間を限定して所定のプログラムを実施するために、共和国大統領は、通常は法律事項である措置を命令によって講じる権限を議会に要求することができる。命令は、国務院と協議した上で、大臣会議において採択するものとする。
発行され次第、発効する。ただし、授権法の定める期間内に承認されなければ失効する。
この期間が経過した場合、承認された命令は法律事項についてのみ、法律によって修正することができる。
第77条 共和国の機関、国家の独立、領域の完全性、国際的な約束の履行又は公権力の正常な運営が重大かつ急迫の脅威にさらされている場合、共和国大統領は、大臣会議、国民議会議長及び憲法院長と協議した上で、公共の秩序、領域の完全性及び公権力の正常な運営を回復することを目的として、状況によって必要とされる措置を講じるものとする。
非常権限の行使中、共和国大統領は、憲法の全部若しくは一部を改正若しくは停止し、又は国民議会を解散することはできない。非常権限の行使中、国民議会は、当然開催される。共和国大統領が講じる立法的性質の措置は、公布後15日以内に承認のために、国民議会に付託しなければならない。
これらの措置は、承認法案が上記の期間内に国民議会事務局に提出されない場合、失効する。
国民議会は承認法の採決において、その措置を採択、修正又は拒否することができる。
共和国大統領による非常権限の行使は、いかなる場合も、国家主権又は領域保全を損なうものであってはならない。
第78条 共和国大統領は状況に応じて、大臣会議、国民議会事務局及び憲法院長と協議した上で、15日間の戒厳令又は緊急事態を宣言することができる。この期間の延長は、国民議会が定足数にかかわりなく、臨時会を開催することによってのみ行うことができる。
第79条 共和国大統領は、直接又は読み上げるメッセージによって国民議会と連絡を取るものとする。この連絡は、いかなる審議又は採決の対象ともならない。
国民議会が閉会中の場合、この目的のために特別会が開催される。
共和国大統領は年に1度、第2回通常会期中に国民議会において、国家の状況について演説を行うものとする。
第80条 共和国大統領は、大臣会議、国民議会事務局及び憲法院長と協議した上で、国民議会を解散することができる。
その場合、議会選挙は解散後45日以上90日以内に実施される。
国民議会は、選挙の翌月に当然開催される。
国民議会が解散された場合、共和国大統領は立法を行うことはできない。
大統領の任期中に2回以上、これを解散することはできない。
第81条 共和国大統領の死亡、辞任、罷免又は有罪判決の場合、又は確定的な障害によってその職務を遂行できない場合のみ、大統領職は空位となる。
確定的な障害又は病気により、共和国大統領の職務執行が絶対的に不可能な場合、特別委員会を設置する。委員会は憲法院長が主宰し、共和国副大統領、国民議会議長、元老院議長及び政府の長である首相によって構成される。
特別委員会は副大統領からの付託により、医師・歯科医師・薬剤師国家評議会が任命する、共和国大統領の専属医師を含む3人の医師の根拠ある個別意見に基づく決定により、委員の絶対多数決によって判断を下すものとする。
死亡の場合、本条第2項の特別委員会は、医師・歯科医師・薬剤師国家評議会が任命する、共和国大統領の専属医師を含む3人の医師の根拠ある個別意見に基づく決定により、認定書を作成するものとする。
有罪判決を受けた場合、決定は高等法院長から憲法院長に送付され、憲法院長は、共和国副大統領及び国民議会議長に書簡で、国民にメッセージで通知するものとする。
辞任の場合、共和国大統領はその決定を憲法院長に書簡で通知し、国民にメッセージで通知するものとする。
新たな大統領選挙は、空位の認定後45日以上90日以内に実施しなければならない。
共和国大統領の辞任、罷免、確定的な障害又は死亡の場合、副大統領は、新たな共和国大統領が選出されるまで、暫定的にこれを代行する。
第65条、第75条、第76条、第77条、第78条、第79条及び第80条を適用することはできない。
共和国副大統領の死亡、辞任又は絶対的な障害の場合、共和国大統領は新たな副大統領を任命する。
第82条 法律により、共和国大統領に供与される便益を定め、市民的権利を享受する元大統領に年金を支給する方法を組織するものとする。
第83条 副大統領は、中央アフリカ国家の第二の高官である。共和国大統領は、その権限の一部をこれに委任することができる。
副大統領は、共和国大統領が国外にいる場合、これを代行する。
共和国大統領に空位が生じた場合、副大統領が共和国大統領職に就任する。
この憲法の第81条に定める条件の下で、新たな共和国大統領の選挙を組織する。この選挙に立候補することはできない
新たに選出された共和国大統領が就任するまで在任する。
法律により、共和国副大統領の権限及び便益について定めるものとする。
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