人は死ぬ、そして焼かれて灰になる。
1 学歴が重要なのか
僕は中学生の頃から学校の勉強が好きだったので、その頃から自分は大学に行くのだと思っていた。高校時代はひたすら勉強していた記憶しかないと言うと少し言い過ぎだけれど、多分周囲からはそのように思われていたと思う。
後で知ったのだけれど、両親は高卒だったので大学に進学すると費用がいくらかかるのか想像もつかなかったらしく、僕が大学に合格した後に慌てて教育ローンを借りたらしい。
結果的には、幸い寮費の安い古い寮で生活できたので、育英会の奨学金だけで何とかなった。
勉強が好きだったので大卒の学歴を取得することになったのだけれど、個人的には大卒の学歴のおかげで幸せになれたと実感したことはあまりない。
大卒の学歴がなくてもできる仕事をしていた期間も結構あるけれど、フルタイムで夜勤がある仕事を選べばそれなりに稼げる。
ちなみに、世の中には大卒の学歴が重要になる仕事もたくさんある。
教育関連の仕事だと、教員免許取得のために大学に行かなかければならないし、塾等で働くにしても学歴がある方が採用されやすいだろうし、そもそも一定の学力がなければ生徒に教えることができないだろう。
2 資格が重要なのか
資格は足の裏についた米粒で、取らないと気になって仕方がないけれど、とっても食えないとは有名な言葉である。学歴も資格も、多くはそのようなものに過ぎないのかもしれない。
日本は資格大国で、国家資格はもちろん民間資格も含めると、種々雑多な資格が無数にある。
資格が役に立つか立たないかは学歴と同じで、人それぞれだろう。
医師や弁護士のように資格がなければできない仕事もあるし、業務独占資格でなくても実質的に資格者でなければ信用されない業界もある。
たとえ各種検定のようなものでも、資格取得が勉強の動機となるし、資格保有はそのために必要な知識を有することの証明にもなる。
3 お金が重要なのか
どこが源なのかよく分からないのだけれど、日本ではお金に執着する人間は卑しいという考えが存在する。確かに、お金がすべてだとは思わない。
現在の管理通貨制度下では、みんながお金だと信じているからお金はお金でいられるだけのことである。
多くの人が学歴や資格を欲するのは、収入の多い仕事、安定した仕事に就いて、楽しい人生を歩みたいからだろう。
そういう意味では、結局最後はお金の問題に行き着いて、世の中は銭だと結論したくなるかもしれない。
しかし、お金よりも大切なものが人それぞれあるからこそ、人生は一筋縄ではいかなくて奥が深くておもしろいのだと思う。
全ての人にとってお金が最重要な世の中なら、人生は単なるマネーゲームに過ぎなくなってしまう。
・「お金よりも大事なものがある」からこそ、お金は史上最大の影響力を誇るのだ(Books&Apps)
4 志が重要なのか
そうすると、何か世のため人のためになるようなことをする人が偉いのだろうかという話になる。立派な志を持っている人が尊いのだろうか。
志を持って生きている人は本当にすごい人だと思うけれど、誰もがみんなそういう生き方ができる訳ではない。
自分なりの志を探してみても見つからなかったり、見つかってもしばらくするとそれが自分の本当の志ではないと気付いて落胆したり、挫折したり、それがデフォルトだと思う。
結構多くの人が悩む、若い頃の何者かになりたいという心情は、人生をそれなりに一生懸命生きてきて、そこまで深く思考した結果、行き着く先なのかもしれない。
僕もたまにそういう感情の残滓で悩み苦しむときがあるけれど、最終的には、ほとんど気の迷いみたいなものだと結論することが今は多い。
5 真理が重要なのか
明石家さんまの座右の銘は「生きてるだけで丸儲け」だそうだけれど、人生なんてそんなものだと思う。「私たちはこの世を観るために、聞くために生まれてきた。この世はただそれだけを望んでいた。」(ドリアン助川『あん』より)
道元禅師の「はかない人生を送ってはならない。切に生きよ」という言葉は、だから心に響くのだと思う。
6 死ねば焼かれて灰になるだけ
一休さんという古いアニメがあるけれど、海外でも結構放送されていたらしくて、一休さんを知っている外国人は意外と多い。一休さんは一休宗純という鎌倉時代の実在の僧がモデルである。
風狂の僧であったことも、『オトナの一休さん』のおかげで多くの人が知っているかもしれない。