0の発見。
1 命数法と記数法
たまには数学の記事を書こうと思う。昔、数学史上における0の発見についての本をいくつか読んだことがあるのだけれど、自分なりに消化できていないような気がするので、今回はそんな話をまとめてみたい。
まず、命数法と記数法を混同しないようにしたい。
平たく言えば、命数法は数の言い表し方、記数法は数の書き表し方。
例えば、現代日本人はアラビア数字を普通に使っているけれど、昔は漢数字が標準だった。
例えば、「123」という数字、アラビア数字を当たり前のように使う私たち日本人は今でも「百二十三」と読んでいる。
2 古代西洋文明
古代西洋文明では、伝統的に0、すなわち無の概念を嫌っていたらしい。もともと暦の計算や測量などから数学が発展した歴史があり、そういう実用的な数学においては0などあまり考える必要がなかったからだと言われる。
0日目だとか面積0の土地だとか、そんな話したって意味ないだろうという感覚だったのだろう。
そんな訳で、数学に限らず、哲学やその他科学においても、基本的には0、無の概念はあまり追究されなかった。
3 0の起源
どんなことについても言えることかもしれないけれど、やはり最初に発見したり活用したりした人がすごいという話になる。あの人が最初に発見したんだと。
その発見がすごければノーベル賞のようなすごい賞をもらえる訳である。
アラビア数字を当たり前に使っている私たちが普通に考えると、0がなければ「102」と「12」の区別をどうするのかと疑問に思うだろう。
メソポタミア文明のバビロニアの数にも、もともとは0がなかったのでやはり不便だったらしく、やがて楔を書いて0を表現したらしい。
メソポタミア文明では楔形文字を使っていたので、0という数字と言うよりは一種の記号と言うべきか。
4 インドで発見された
0はインドで発見されたというのが定説である。古代インドの数学者ブラーマグプタが、628年に現代に通じる0をきちんと定義したとのことである。
こうしてようやく発見された0は、インドからアラビア、そしてヨーロッパへと普及していった訳である。
私たちが普通に使っているアラビア数字の歴史であり、大きく言えば世界史の流れである。
中国、そして西洋の数学を輸入する前の日本ではどうだったのかは、漢数字や和算の歴史を紐解けば、何かおもしろい発見があるかもしれない。
5 0除算
最後に0除算について、少しだけ言及したい。0除算はやってはいけないタブー、禁忌であるけれどその理由は、定義されていない、定義できない、定義してもしょうがないからとのこと。
「やってもいいけど0環になるよ」、数学修士、マスターからのありがたいお言葉である。
・数学修士が語る数学科の世界が異世界だった・・・!!(YouTube)
・【数学】数学修士が衝撃暴露!?お前らは〇をごまかしてきたんだ!!(YouTube)
・群・環・体。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2020/01/blog-post_14.html
そもそもわり算とは逆数のかけ算であるので、0で割るなら0の逆数は何なのという話になる。
例えば、3の逆数は、3を$\dfrac{3}{1}$と考えれば$\dfrac{1}{3}$だと簡単に思い付くし、実際にかけ合わせれば1になってくれる。
それでは、0の逆数はどうだろう。
0を$\dfrac{0}{1}$と考えて$\dfrac{1}{0}$でよいのだろうか。
$\dfrac{0}{1000}$と考えれば$\dfrac{1000}{0}$でもよさそうだし・・・
そして、まともに0の逆数を許して計算すると、1=2のようなおかしな等式が成立してしまう。
・ゼロで割ってはいけない理由を割り算の定義から考えるとこうなる(アタリマエ!)
6 参考記事等
・零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)(Amazon)・0(ゼロ)の歴史 – ”0”は誰が発明したのか?(数学の面白いこと・役に立つことをまとめたサイト)
・ゼロってナニ!? ゼロを拒んだ古代の偉人たち(高校数学を100倍楽しく)