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平成31年度愛知県公立高校入試(A)国語問4【古文】

1 原文

 小式部が「大江山いくのの道」、周防内侍が「春のよの夢ばかりなる」、いせの大輔が「けふ九重ににほひぬる」などよみし。
これらは、思案のいとまなく、すぐによみ出したる歌なり。
これらは、つねづね此の道に心を染めて、行住坐臥、見るもの、聞くものにつけて、その心を放たず、執しけるゆゑ、かやうのめでたき歌も出できたる事なり。
「もとより、此の道の堪能なれば、さも有るべき」といへる人も有るらめど、それは自棄といへるものなり。
たれ人にもせよ、日本に生まれぬる人、いづれか歌情のなき事有るまじ。
「舜も人なり、我も人なり」と、もろこしの学者のいひけんもむべなり。
つとめて学び、好みもて行けば、自然と天地にも感応の歌、出でくる事、うたがひなし。
(『初学考鑑』より)

2 現代語訳

 小式部が「大江山いくのの道」、周防内侍が「春のよの夢ばかりなる」、いせの大輔が「けふ九重ににほひぬる」など詠みました。
これらは、思案の時間をかけることなく、すぐに詠み出した歌である。
これらは、常々この道に心を深く寄せて、日常のあらゆる時に、見るもの、聞くものにつけて、この道に没頭し、深く思っていたため、このようにすばらしい歌も出てきたのである。
「もともと、この道の名手であるので、そうなのだろう」と言う人もあるようだが、それは投げやりというものである。
誰であれ、日本に生まれた人は、どんな人にも歌心はあるに違いない。
「舜も人なり、我も人なり」と、中国の学者が言ったのはそのとおりである。
努力して学び、好んで親しめば、自然と天地の神々の心を動かす歌が、出てくること疑いない。

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