令和2年度愛知県公立高校入試(A)国語問4【漢文】
1 原文
西伯は陰に善を行ふ。諸侯皆来たつて平らぎを決す。
是に於いて虞・芮の人、獄有りて決する能はず。
乃ち周に如く。
界に入るに、耕す者皆畔を譲り、民の俗は皆長に譲る。
虞・芮の人、未だ西伯を見ざるに、皆慙じ相謂ひて曰はく、
「吾が争ふ所は、周人の恥づる所なり。
何ぞ往くことを為さんや。
祇に辱を取らんのみ。」
遂に還り倶に譲りて去る。
諸侯之を聞きて曰はく、
「西伯は蓋し受命の君なり。」と。
(『史記』より)
2 現代語訳
西伯は人知れず善を行う。諸侯(周辺の国の君主)が皆来て、公平な解決をつけてもらった。
虞・芮では、訴訟が起きて採決がつかなかった。
そこで周へ行った。
国境に入ると、耕す者は皆畔を譲り、人々の風習は年長者を尊重するものであった。
虞・芮の人は、まだ西伯に会っていないのに、恥じて互いに言った。
「我々が争うようなことは、周の人が恥じるようなことである。
どうして西伯のところへ行く必要があろうか。
ただ恥をかくだけであろう。」
そのまま引き返し共に譲って去った。
諸侯はこれを聞いて言った。
「西伯は思うに天から使命を受けた君主である。」
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