別表6【経過的及び付随的規定(第262条)】
別表
別表6【経過的及び付随的規定(第262条)】
第1部【総則】
【解釈】
第1条 この別表において、文脈上特別の定めがない限り、
(a)「境界委員会」とは、暫定独立境界委員会を意味する。
(b)「選挙管理委員会」とは、暫定独立選挙管理委員会を意味する。
(c)「旧憲法」とは、この憲法が施行される前に施行されていた憲法を意味する。
【この憲法の条項の一時停止】
第2条 この憲法の以下の規定は、この憲法に基づく最初の議会選挙のすべての結果が最終的に公表されるまでの間、停止される。
(a)第7章。ただし、この憲法に基づく最初の総選挙に適用されるものとする。
(b)第8章。ただし、下院及び上院の選挙に関する規定は、この憲法に基づく最初の総選挙に適用されるものとする。
(c)第9章の第129条から第155条まで。ただし、大統領の選挙に関する規定は、この憲法に基づく最初の総選挙に適用されるものとする。
2 第187条を含むこの憲法の自治体に関する規定は、この憲法に基づくカウンティ議会及び知事の最初の選挙の日まで停止される。
3 第2項にかかわらず、
(a)カウンティ議会及び知事の選挙は、この憲法の第177条及び第180条に従って実施するものとする。
(b)この別表並びにこの憲法の第11章及び第12章で求められる自治体に関する法律は、別表5に定める期間内に制定されるものとする。
4 第62条第2項及び第3項は、国土委員会が設置されるまでの間、停止される。
【旧憲法規定の適用拡大】
第3条 議会が第15条及び第18条において期待する法律を可決するまで、旧憲法第93条は引き続き適用される。
2 旧憲法第30条から第40条まで、第43条から第46条まで、第48条から第58条まで、行政に関する旧憲法の規定及び国民合意和解法は、この憲法に基づいて実施される最初の総選挙まで引き続き適用される。ただし、選挙制度、選挙資格及び選挙手続に関するこの憲法の規定は、その選挙に適用されるものとする。
3 第246条に規定する警察庁委員会が設置されるまでは、旧憲法第108条第2項が国家警察庁の任命、懲戒及び解職に適用される。
【議会特別委員会】
第4条 議会に憲法施行監視委員会という名の特別委員会を設置する。委員会は、この憲法の施行を監視する責任を負うものとし、特に、
(a)憲法施行委員会から、以下の事項に関する報告を含む、この憲法の施行に関する定期的な報告を受けるものとする。
(i)この憲法が求める法律の準備及びそれに関するあらゆる課題。
(ii)新しい委員会の設置過程。
(iii)事務所及び議会の移転、職員の配置及び移動の進捗を含む、各カウンティの適切な活動に必要なインフラの整備過程。
(iv)この別表の第15条に規定される法律に基づく、カウンティへの権限及び職務の委譲。
(v)この憲法の施行過程におけるあらゆる障害。
(b)司法長官、憲法施行委員会、関連する議会委員会と連携し、この憲法が求める法律を適時に提出及び可決することを保障するものとする。
(c)この憲法の施行上の問題点への対処を含め、報告書に対して適切な措置を講じるものとする。
【憲法施行委員会】
第5条 憲法施行委員会を設置する。
2 委員会の構成は以下のとおりである。
(a)委員長
(b)その他の委員8名。
3 委員会の委員は、
(a)行政、人権及び政府における経験を有する者を含む。
(b)2008年ケニア憲法見直し法に基づいて任命された、専門家委員会の委員を務めていた者を含まないものとする。
4 委員会には、第248条から第254条が適用される。
5 歳入分配委員会が設置された後、憲法施行委員会はその会議の通知を同委員会に送付するものとし、歳入分配委員会の委員はその会議に出席及び参加することを許されるが、投票することはできないものとする。
6 委員会の職務は、以下のとおりである。
(a)この憲法を施行するために必要な法律及び行政手続の整備を監視、促進及び監督すること。
(b)この憲法を施行するために必要な法律を議会に提出するために、司法長官及びケニア法律改革委員会と協力すること。
(c)憲法施行監視委員会に対して、以下の事項を定期的に報告すること。
(i)この憲法の施行における進捗状況。
(ii)その施行に対するあらゆる障害。
(d)この憲法の文言と精神が尊重されるように、各憲法委員会と協力すること。
7 憲法施行委員会は、設置後5年又は議会が決定するこの憲法の完全施行時、いずれか早い時期に解散する。ただし、下院は決議によってその存続期間を延長することができる。
第2部【既存の義務、法律及び権利】
【国家の権利、責務及び義務】
第6条 この憲法に別段の定めがある場合を除いて、発効日の直前において、政府又は共和国が有する一切の権利及び義務はその理由のいかんにかかわらず、この憲法に基づく政府又は共和国の権利及び義務として存続するものとする。
【既存の法律】
第7条 施行日の直前に効力を有していたすべての法律は引き続き効力を有し、この憲法に合致するように必要な変更、修正、限定及び例外を付して解釈されるものとする。
2 ある特定の事項に関して、以下の場合、この憲法の規定がその抵触する範囲において優越する。
(a)発効日の直前に効力を有していた法律が、その事項に関する責任を特定の国家機関又は公務員に課している場合。
(b)効力を有するこの憲法の規定が、その事項に関する責任を別の国家機関又は公務員に課している場合。
【天然資源に関する既存の土地所有及び合意】
第8条 発効日において、国民でない者が有するケニアの土地の所有権は、ケニア共和国に返還され、ケニア国民のために保有されるものとする。国家はその者に99年間の低額賃料での賃借権を付与するものとする
2 発効日において、国民でない者が有するケニアの土地に対する99年以上のその他の権利は、99年の賃借権に変更されるものとする。
3 第71条の規定は、同条において期待する法律が制定されるまでその効力を生じない。
第3部【国家政府】
【選挙及び予備選挙】
第9条 この憲法に基づく大統領、下院、上院、カウンティ議会及び知事の最初の選挙は、下院がその任期を終えて解散してから60日以内に、同時に実施されるものとする。
2 第1項の規定にかかわらず、国民合意に基づいて設立された連合が解散し、総選挙が2012年より前に実施される場合、最初のカウンティ議会及び知事の選挙は2012年中に実施されるものとする。
【下院】
第10条 発効日の直前に存在していた下院は、その任期満了まで、この憲法を適用する上で下院として存続するものとする。
【上院】
第11条 この憲法に基づいて最初の上院が選挙されるまで、
(a)上院の権限は、下院が行使するものとする。
(b)両議院が共同して又は相前後して執行又は行使することが求められる職務又は権限は、下院がこれを執行又は行使するものとする。
2 上院のいかなる職務又は権限も、第1項に規定する期日以前に下院によって執行又は行使された場合、上院によって正当に執行又は行使されたものとみなす。
【行政部】
第12条 発効日の直前に大統領及び首相の職にあった者は、この憲法に基づいて実施される最初の総選挙まで、旧憲法及び2008年国民合意和解法に従い、辞任しない限り、それぞれ引き続き大統領及び首相の職にあるものとする。
2 発効日の直前に副大統領及び副首相の職にあった者、又は閣僚若しくは次官の職にあった者は、この憲法に基づいて実施される最初の総選挙まで、旧憲法及び国民合意和解法に従って辞任又は解任されない限り、旧憲法に従って引き続きその職にあるものとする。
3 発効日前に大統領に選挙された者は、この憲法の下での大統領に立候補する資格を有しない。
【この憲法に対する忠誠の宣誓】
第13条 発効日において、大統領及び発効日前に旧憲法に基づく宣誓若しくは誓約をし、又はこの憲法に基づく宣誓若しくは誓約を求められる国家公務員その他の者は、この憲法に基づく宣誓又は誓約をしなければならない。
第4部【自治体】
【自治体に関する規定の運用】
第14条 第2条第3項(b)及び第15条に規定する法律は、憲法施行委員会及び設置されていれば歳入分配委員会が諮問を受け、委員会の勧告が議会で審議された後でのみ制定することができる。
2 委員会には、第1項に基づく法律を審議するために30日以上の期間を与えなければならない。
3 第1項及び第2項は、憲法施行委員会の解散時に失効する。
【議会の法律で定める職務の委譲に関する規定】
第15条 議会は法律により、カウンティの最初の選挙の日から3年を超えない期間において、第185条の規定により割り当てられた職務を、国家政府からカウンティ政府に段階的に委譲するための規定を設けなければならない。
2 第1項に規定する法律は、
(a)国家政府が以下の事項を行う方法を規定するものとする。
(i)権限の委譲を促進すること。
(ii)効果的に統治し、責任を負うサービスを提供する能力を高めるために、カウンティ政府を支援すること。
(iii)カウンティ政府を援助すること。
(b)特定の職務がカウンティ政府に委譲される前に満たすべき基準を設定し、カウンティ政府が執行できない職務を与えられないようにしなければならない。
(c)職務を執行する能力のあるカウンティに速やかに職務が委譲される一方で、執行できない職務をカウンティに与えないよう、権限の非対称的な委譲を許容するものとする。
(d)憲法施行委員会が、自治制度の実施を効果的に監視する役割を遂行できるような仕組みを整備するものとする。
【歳入の分割】
第16条 第217条第1項の規定にかかわらず、カウンティ間の歳入の分割の基礎に関する第1回及び第2回の決定は、同条に定める5年毎ではなく、3年毎に行うものとする。
【州の行政】
第17条 発効日から5年以内に、国家政府は、この憲法に基づき設立された自治体の制度に適合及び尊重するため、州の行政制度を再構築しなければならない。
【地方行政機関】
第18条 発効日の直前に存在していた地方政府法に基づき設立されたすべての地方行政機関は、制定され得るあらゆる法律に従い、引き続き存続するものとする。
第5部【司法行政】
【基本的人権の執行規則】
第19条 最高裁判所長官が第22条に規定する規則を作成するまでの間、旧憲法第84条第6項の基本的権利及び自由の執行規則は、第22条に合致するように必要な変更、修正、限定及び例外を付して引き続きその効力を有するものとする。
【司法公務委員会】
第20条 司法公務委員会は、発効日から60日以内に任命されるものとし、委員を指名又は選任する機関がそれを行わなかったために委員に欠員が生じたとしても、この憲法に基づいて適切に構成されたものとみなす。
2 第1項の規定にかかわらず、司法公務委員会は5名の委員が任命されなければ、その職務を執行することができない。
3 第171条第4項の規定にかかわらず、司法公務委員会の運営に継続性を持たせるために、委員会が最初に構成される際に、以下の委員が任期3年限りで任命されるものとする。
(a)第171条第4項(c)の規定により任命された控訴裁判所裁判官。
(b)第171条第4項(d)の規定により任命された高等裁判所裁判官。
(c)第171条第4項(f)により任命された弁護士1名、弁護士業務の規制を所管する法定の機関により指定される。
(d)第171条第4項(h)により大統領が任命した委員1名、大統領が指定する。
4 第233条に規定する公務委員会が設置されるまでの間、旧憲法第106条に基づき設置された公務委員会が指名する者が、司法公務委員会の委員となる。ただし、新しい公務委員会が設置された場合、その者は司法公務委員会の委員でなくなり、新しい公務委員会が司法公務委員会の委員となるべき者を指名するものとする。
【最高裁判所の設立】
第21条 最高裁判所の設立及び裁判官の任命は、発効日から1年以内に完了するものとする。
2 最高裁判所が設立されるまでの間、控訴裁判所が最高裁判所に割り当てられた事項を管轄する。
【司法手続及び係属事項】
第22条 裁判所に係属するすべての裁判手続は、引き続き審理され、同一の裁判所若しくはこの憲法に基づいて設置された相当する裁判所によって、又は最高裁判所長官又は高等裁判所判事補の指示により決定される。
【裁判官】
第23条 発効日から1年以内に、議会は第160条、第167条及び第168条にかかわらず、発効日にその職にあったすべての裁判官及び治安判事について、第10条及び第159条に定める価値及び原則に従って引き続きその職務を執行することができるかどうかを、法律において定める期間内に審査するための機構及び手続きを規定する法律を制定しなければならない。
2 第1項の法律の運用による裁判官の解任又はその過程は、いかなる裁判所においても質問又は審査されないものとする。
【最高裁判所長官】
第24条 発効日の直前にその職にあった最高裁判所長官は、発効日から6か月以内にその職を退き、以下のいずれかを選択することができる。
(a)司法官を退官する。
(b)第23条の審査を経て、引き続き控訴裁判所での職務を執行する。
2 新しい最高裁判所長官は、国民合意和解法に従い、首相と協議した後、下院の同意を得た上で大統領により任命されるものとする。
3 第2項の規定は、この憲法に基づく最初の総選挙の前に、最高裁判所長官職に欠員が生じた場合にも適用される。
第6部【委員会及び役職】
【憲法委員会】
第25条 憲法施行委員会及び歳入分配委員会は、発効日から90日以内に設置されるものとする。
2 給与報酬委員会は、発効日から9か月以内に設置されるものとする。
3 第250条において期待する法律が施行されるまで、給与報酬委員会の委員又は委員長に任命される者は、国家合意和解法に従い、首相と協議した後、下院の同意を得た上で大統領により任命されるものとする。
【ケニア国家人権平等委員会】
第26条 2002年ケニア国家人権委員会法に基づき任命されたケニア国家人権委員会の委員、及び2003年国家ジェンダー開発委員会法に基づき任命された国家ジェンダー開発委員会の委員で、事務次官及び司法長官又は司法長官の代理人以外の者は、任期が満了するまでケニア国家人権平等委員会の委員となる。ただし、各委員は発効日時点の任期をそのまま引き継ぐものとする。
2 ケニア国家人権委員会の委員長は、その委員長の任期が満了するまで、ケニア国家人権平等委員会の委員長となる。国家ジェンダー開発委員会の委員長は、その委員長の任期が満了するまで、ケニア国家人権平等委員会の副委員長となる。
【暫定独立境界委員会】
第27条 旧憲法下で設置された境界委員会は、同憲法に基づき第41B条及び第41C条の規定に従って、引き続き職務を執行する。ただし、
(a)この憲法に基づいて設立されたカウンティの境界は決定しないものとする。
(b)この憲法で定められた基準により、選挙区及び区の境界を決定するものとする。
(c)委員会の委員は、この憲法の第7章の規定に従うものとする。
3 第89条第2項における、選挙区及び区の境界の見直しは、総選挙の少なくとも12か月前に完了しなければならないという要件は、この憲法に基づく最初の選挙に先立つ境界の見直しには適用されない。
4 境界委員会は、この憲法に従って行われる最初の選挙区の見直しによって、発効日に存在していた選挙区が失われないようにしなければならない。
【暫定独立選挙管理委員会及び独立選挙区割委員会】
第28条 旧憲法第41条に基づき設置された暫定独立選挙管理委員会は、旧憲法に従ってその任期が満了するまで、又はこの憲法に基づき設置された独立選挙区割委員会が設置されるまでのいずれか遅い日まで、引き続きその職務を執行する。
2 独立選挙区割委員会の委員を選任する際に、継続の必要性及び専門知識と経験の保持に留意するものとする。
【新しい任命】
第29条 この憲法施行の結果生じた欠員を補充するための任命手続は、発効日に開始して1年以内に終了するものとする。
2 この別表に別段の定めがない限り、この憲法に基づく最初の選挙後まで、大統領が下院の同意を得た上で任命することを求める場合、大統領は、国民合意和解法に従い、首相と協議した後、下院の同意を得た上で任命しなければならない。
第6部【その他の事項】
【出生による公民権】
第30条 旧憲法第87条又は第88条第1項の規定により公民権を取得していたケニア国民は、出生による公民権を取得する。
2 第87条第2項を次のように読み替えれば公民権を取得していたケニア国民は、出生による公民権を取得する。
「ケニア国外で生まれ、1963年12月11日に英国及び植民地の市民又は英国の被保護者であるすべての者は、その父又は母が第1項によりケニア国民となり、又は死亡していなかったらなっていた場合、1963年12月12日にケニア国民となる。」
【既存の役職】
第31条 この別表に別段の定めのある場合を除いて、発効日の直前において旧憲法が定める役職にあった者は、発効日において、その任期が満了するまでの間、この憲法に基づいて引き続きその役職にあるものとする。
2 第7項及び第24条に従い、発効日の直前において法律が定める役職にあった者は、この憲法に合致する範囲において、この憲法に基づきその役職に任命された場合と同様に引き続きその役職にあるものとする。
3 本条の規定は、この憲法又は法律に基づいて個人又は機関に与えられた、第2項に規定する役職を廃止又は解職する権限に影響を及ぼすものではない。
4 発効日前に役職を退いた者は、その役職がこの憲法に基づいて維持又は新設された場合、資格を満たせば、この憲法が明確に別段の定めをする場合を除いて、この憲法の規定に従ってその役職に再び任命、選挙又はその他の方法で選任されることができる。
5 検事総長の職務は、この憲法に基づき検事総長が任命されるまでの間、司法長官が執行するものとする。
6 予算管理官の職務は、この憲法に基づき予算管理官が任命されるまでの間、会計検査院長が執行するものとする。
7 第1項の規定にかかわらず、司法長官及び会計検査院長は発効日から12か月を超えない期間、引き続きその職務を執行し、その後の任命はこの憲法に基づいて行われるものとする。
【年金、報酬及びその他の手当】
第32条 旧憲法上の役職者に関する年金に適用される法律は、それらの給付が行われた日に施行されていた法律又はその者に不利でない後の日に施行された法律のいずれかによるものとする。
【機関、役職、資産及び負債の継承】
第33条 この憲法に基づいて設置された役職又は機関は、同一の名称又は新たな名称かにかかわらず、発効日の直前に旧憲法又は議会の法律に基づき設置された、対応する役職又は機関の法的継承者である。
【通貨】
第34条 第231条第4項の規定は、発効日前に発行された硬貨及び紙幣の効力に影響を及ぼすものではない。